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乳がんの原因は「欧米型食事」? 乳がんを予防するための生活スタイル

 乳がんの発症リスクは、肉類・加工肉の食べ過ぎや、油で揚げた料理、塩分の多いスナック類などを食べる欧米型の食事によって上昇することが、約5万人の日本人女性を対象とした調査で明らかになった。健康的な生活スタイルによって、乳がんの発症リスクを下げられる。
欧米型食事が乳がんリスクを上昇させる
 乳がんは女性が発症する頻度がもっとも高いがんで、日本人女性でも乳がんの罹患率が増加している。乳がんが増えているのは日本人女性の生活スタイルが変化しているからだと考えられているが、食事バランスとの関連を調べた研究はなかった。そこで研究チームは女性の食事パターンと乳がんリスクとの関連について調べた。

 「JPHC研究」は日本人を対象に、さまざまな生活習慣と、がん・糖尿病・脳卒中・心筋梗塞などとの関係を明らかにする目的で実施されている多目的コホート研究。今回の研究は、国立がん研究センター、国立国際医療研究センターなどの研究チームがまとめたもの。

 研究チームは、岩手、秋田、長野、沖縄、新潟、茨城、高知、長崎に在住していた45~74歳の女性4万9,552人を対象に、1995年と1998年にアンケート調査を行った。2012年まで追跡して調査し、食事パターンと乳がんリスクとの関連を調べた。

 「欧米型食事」とは、肉類・加工肉、乳製品、アルコール類、果物ジュース、ソフトドリンク、マヨネーズなどを多く摂取する食事パターン。このうちアルコールや肉類・加工肉については、摂り過ぎが乳がんの発症リスクを高めることが過去の研究で確かめられている。

 調査に参加した女性のうち乳がんと診断されたのは718人。研究チームは食事のパターンをスコア化し5つのグループに分類、乳がんリスクとの関連を調べた。その結果、「欧米型食事パターン」のスコアがもっとも高いグループで、乳がんのリスクが32%上昇することが明らかになった。また、閉経後の女性でも同様に乳がんリスクは上昇した。

 乳がんの多くは、女性ホルモンである「エストロゲン」と「プロゲステロン」の影響を受けて分裂・増殖する。つまり、これらのホルモンが乳がん細胞の中にある受容体と結びつき、がん細胞の増殖を促す。これらの受容体がともに陽性の女性では乳がんリスクが高く、乳がんのリスクは2.49倍に上昇した。
不健康な生活スタイルが乳がんリスクを高める
 日本乳癌学会は、「欧米型食事」以外に乳がんのリスクを高める要因として次のことを指摘している。これらの不健康な生活スタイルを避けることで、乳がんの発症リスクを下げられる。

乳がんリスクを高める生活スタイル

・ アルコール飲料
 アルコール飲料に含まれるエタノールとその代謝産物であるアセトアルデヒドには発がん性があることが確かめられている。

・ 喫煙
 たばこは乳がん発症リスクを高める。喫煙だけでなく受動喫煙も発症リスクを高める可能性がある。

・ 肥満
 肥満が女性の健康に悪い影響を与え、女性のあらゆる死亡リスクを増加させることが多くの研究で確かめられている。欧米では肥満の女性が多く、乳がんとの関連について調べる研究が盛んに行われている。

・ 糖尿病
 2型糖尿病や肥満、運動不足は、特に閉経後女性で確実に乳がんリスクを高めるので、生活スタイルを改善し治療を受けて、これらの要因を取り除くことが大切だ。
 これらは女性ホルモンに影響するだけでなく、脂肪細胞から産生・分泌される「アディポサイトカイン」、血糖を下げるインスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」、インスリンが効きにくくなったのを補うためにインスリンが多量に分泌される「高インスリン血症」なとが乳がん発症リスクに関連すると考えられている。

乳がんリスクを下げる生活スタイル

・ 運動
 ウォーキングなどの運動を習慣として行うことが、あらゆる年齢層で乳がんリスクを減少させることが確かめられている。生涯を通じて適度な運動を継続して行うことは、乳がん予防の観点からも勧められる。

・ 牛乳などの乳製品
 牛乳にはタンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルなど、さまざまな栄養素が含まれる。このうちビタミンDやカルシウムは、乳がん発症リスクを減少される効果があると報告されいる。

・ 大豆食品(イソフラボン)
 日本人の乳がん発症率は欧米の女性に比べ低く、欧米と日本の食習慣の違いが影響していると考えられている。このうちイソフラボンを多く含む豆腐や納豆、みそ汁などの大豆食品の摂取が乳がんの発症を減らす可能性がある。

多目的コホート研究(JPHC Study)(国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究グループ)
乳癌診療ガイドライン(日本乳癌学会)
[Terahata]

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