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アルツハイマー病を指のタッピング運動で早期発見 患者の負担を軽減

 両手の親指と人差し指のタッピング運動から、アルツハイマー病を早期発見できる方法を、国立長寿医療研究センターと日立製作所の研究チームが開発した。
認知症の患者は左右の脳の連携が遅くなり、両手の指の運動機能が低下する
 超高齢化社会を迎えた日本では、認知症が大きな問題になっている。認知症のおよそ7割を占めるアルツハイマー病の患者数は増加している。

 アルツハイマー病の早期発見に向けたスクリーニング検査として、血液検査や嗅覚テスト、医師の問診をタブレット端末上で再現した検査などがあるが、採血時の痛みや検査時間の長さなど、被験者の負担が大きいという問題があった。

 一方、被験者の負担が少ない検査として、ボタン押しやタブレット端末を用いた片手の手指運動の計測による認知機能評価も行われてきたが、検査精度は十分ではなかった。

 そこで国立長寿医療研究センターと日立製作所の研究チームは2013年に、認知症の重症患者が音に対する左右の脳の連携が遅くなることに着目し、両手の親指と人差し指の運動計測の有効性を検証するため、臨床研究を開始した。

 長寿医療研究センターは、アルツハイマー病および予備群の外来患者23人と、高齢健常者22人を対象に、手指の運動計測を行った。その結果、片手の指タッピング運動と認知症の関連はみられなかったが、「両手交互指タッピング運動」で健常群と認知症群の間に有意差があることが判明した。

 特に認知症群では、両手同時の指タッピング運動で両手の位相差のばらつきや、両手交互の指タッピング運動での二指の接触時間のばらつきがみられた。

 アルツハイマー病の患者は、左右の脳の間で情報をやり取りする「脳梁」や、運動調節や認知機能などの役割を担う「大脳基底核」の委縮により、両手指のリズム運動機能が低下している。指タッピング運動の計測によってこれらを捉えられるという。
指タッピング運動を高い精度で評価できる装置とソフトを開発
 計測は、日立が開発した磁気センサ型指タッピング装置「UB1」で実施。計測結果の解析は、計測した両手の指タッピング運動の出力波形から多様な特徴を捉える日立の解析技術および解析ソフトによって行われた。

 UB1は、装着が簡便で生体安全性が高い小型の磁気センサを採用しており、計測時間は15秒と、被験者の負担が少ない評価が可能だ。

 また解析ソフトでは、UB1に搭載された指タッピング運動の振幅、タッピング間隔、両手の位相差などに関する基本的な21個の特徴量に加えて、両手指のリズム運動機能の低下を示す二指の接触時間や、両手の動作波形の類似度などに関する23個の特徴量を算出できるため、指タッピング運動のさまざまな性質を高い精度で評価できる。

 両者は今後、より多数の指タッピング運動データの計測と解析を進め有効性を検証していくという。

 精度が高く、被験者の負担が少ない簡易なスクリーニング検査を開発できれば、アルツハイマー病を早期発見できるようになり、患者の生活の質(QOL)の改善、医療費や介護費の削減にも貢献できる。

 研究成果は、回復期リハビリテーション病棟協会誌「Japanese Journal of Comprehensive Rehabilitation Science」に発表された。
国立長寿医療研究センター
Assessment of finger motor skills in individuals with mild cognitive impairment and patients with Alzheimer's disease: Relationship between finger-to-thumb tapping and cognitive function(Japanese Journal of Comprehensive Rehabilitation Science 2016年5月20日)
[Terahata]

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