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ネットの遺伝子検査は信用できるの? 「安易な利用に注意して」と専門家
2016年10月20日
「がんや2型糖尿病など、生活習慣病などの病気の発症リスクが分かります」・・・。ネットで気軽に利用できる「DTC遺伝子検査」が増えている。
遺伝子検査には予防医療、先制医療につながる大きな期待がある一方で、民間企業が医療機関を介さずに販売する「遺伝子検査ビジネス」の問題点が指摘されている。
遺伝子検査には予防医療、先制医療につながる大きな期待がある一方で、民間企業が医療機関を介さずに販売する「遺伝子検査ビジネス」の問題点が指摘されている。
インターネットで気軽に利用できる「遺伝子検査サービス」
DeNAやYahoo!、DHCなどの企業が新たなビジネスチャンスとして参入した「遺伝子検査」。経済産業省によると、国内で数十社が事業を展開している。病院など医療機関を通さないことから「DTC」(ダイレクト・トゥー・コンシューマー=消費者直接販売型)の遺伝子検査と呼ばれる。
企業が消費者に直販している「DTC遺伝子検査」では、ネットなどで申し込み、唾液、口腔粘膜、毛髪などを送ると、ゲノム(全遺伝情報)やその一部を解析し、結果が送られてくる。
最近は、被検者の遺伝学的情報を解析する発症前診断、疾患感受性の診断など、予防医学を前提とした遺伝学的検査にまで発展している。
また、遺伝型に合わせて作られたとするサプリメントや美容・スキンケア商品、運動プログラム、エステコースなどが販売され、市場が拡大している。
「あくまで確率に基づく疾病罹患の可能性を予測する検査であり、医療で診断のために行う確定的検査とは違う。健康増進のための検査商品であり診断や医療行為には当たらない」というのが企業側の主張だ。
これに対し「患者や家族から相談を受けた際には、安易な推奨は控え、極めて慎重に対応する必要がある」と、日本医学会は主張している。
遺伝カウンセリングを受けられる体制作りが必要
欧米には健康に関する「DTC遺伝子検査」を法的規制により制限している国があるが、日本では医療は厚生労働省、ビジネスは経済産業省の管轄となっているため、明確な規制がされていない。
このため厚生労働省と経済産業省は、健康維持・増進を与える可能性を否定できないと考え、有識者会議「ゲノム医療等実用化タスクフォース」を立ち上げた。
「科学的根拠の確保や遺伝カウンセリングを受けられる体制作りが必要だ。これまでは医療の枠外として扱われてきたが、DTC遺伝子検査も医療による検査も同じ基準、規範の下で行われるべきだ」と、規制の検討を始めている。
遺伝カウンセリングでは、問題解決の選択肢のひとつとして遺伝学的検査を考え、検査を行った場合のメリット、デメリット、検査を行わなかった場合のメリット、デメリットなどを十分説明したうえで、本人に考える機会を設ける。
「医師の診断を伴わないDTC遺伝子検査から得られる結果は、あくまで"確率の情報"で、検査の分析的妥当性(精度の高さ)や臨床的妥当性(結果の意味付け・解釈)は検査会社によって大きく異なっている」と、日本医学会は指摘している。
遺伝子検査サービスを利用するときのチェックリスト
日本医師会は「DTC遺伝子検査の多くは医療における遺伝学的検査に比べて発展途上であり、検査結果へのフォロー体制が不十分な場合は、利用者に誤解を与えかねない」と警鐘を鳴らしている。
東大医科研公共政策研究分野は「遺伝子検査サービスを購入しようか迷っている人のためのチェックリスト10か条」を公開している。
厚生労働省は、業界の健全な発展を促そうと、指針を定めて個人情報保護や検査の精度管理を要請。事業者36社が加盟する「個人遺伝情報取扱協議会」も昨年から自主認定制度を導入。約200の基準を満たした10社が認定を受けた。
医師などが検査結果をフォローしないと効果がない
MedPeer
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