ニュース

未認定施設での検査中止を要請 ~母体血による出生前遺伝学的検査

 日本医師会、日本医学会、日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本人類遺伝学会は11月2日、「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査」についての共同声明を発表した。2013年に日本産科婦人科学会が策定した指針や、当時出された上記5団体の共同声明に反し、認定や登録を行わずに同検査を実施している医療・検査機関があるとの報道がなされたことによるもの。

 母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査(NIPT)は、母体の血液中に浮遊しているDNA断片を分析し、胎児の染色体の数的異常を診断する。採血のみで診断できるため、羊水検査などに比べて妊婦や胎児への負担、リスクは少ないが、現在、普及している技術では特定の染色体(13番、18番、21番)の数的異常のみを対象としている。これら3つの染色体の数的異常については、NIPTで診断を行っても治療にはつながらない。

 そのためNIPTが普及すると染色体数的異常胎児の出生の排除や、異常を有する人の生命の否定へとつながりかねない、として日本産科婦人科学会は2013年3月9日、「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」を発表。

 同時に、日本医師会、日本医学会、日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本人類遺伝学会で共同声明を発表し、NIPTを実施する施設の認定、登録を「母体血を用いた出生前遺伝学的検査」施設認定・登録部会(日本医学会臨床部会運営委員会「遺伝子・健康・社会」検討委員会の下に設置)で行うこととした。その後、厚生労働省も医療機関などに学会指針を尊重するよう周知依頼を全国の都道府県などに通知している。

 10月12日現在、母体血を用いた出生前遺伝学的検査に関する臨床研究施設として認定を受けているのは全国75施設。しかしこのほど、指針などに従わず、未認定でNIPTを実施している施設がある、との報道があったことから、再び啓発のため共同宣言を出すに至った。

 共同声明では、未認定で検査を実施している医療機関や医療従事者、また検査機関や仲介業者などに対して、いずれも直ちに中止するよう促すとともに、出生前診断の実施については十分な遺伝カウンセリングが行われることが必要であると改めて表明。今回の事態は極めて遺憾であり、類似の事案が再発しないよう日本医学会に所属するすべての学会が会員の監督を適正に行い、また日本医師会に所属するすべての会員が指針などを遵守するよう求めた。

「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査」についての共同声明(日本産科婦人科学会)
[yoshioka]
side_メルマガバナー

「地域保健」に関するニュース

2023年08月28日
極端な「糖質制限」や「脂質制限」は危険? 日本人に適した食事スタイルは? 8万人超を調査
2023年08月28日
カラフルな野菜を食べている人は認知症の発症が少ない ホウレンソウやブロッコリーを食べて認知症を予防
2023年08月28日
わずか5分の運動でも「がんリスク」を32%減少 無理なく続けられる「新しい運動法」を開発
2023年08月28日
週末の「寝だめ」では平日の睡眠不足のダメージを回復できない 寝不足が心臓の健康に悪影響
2023年08月28日
高齢者の「フレイル」の発生リスクを40%低減 「要支援」の高齢者が通所系サービスを利用すると効果
2023年08月21日
肥満やメタボが「腰痛」を引き起こす コロナ禍でさらに増加 「腰痛」を改善する運動は?
2023年08月21日
朝食欠食が肥満やメタボのリスクを上昇 朝食を食べない人に共通する生活スタイルは?
2023年08月21日
アルコールが高血圧の原因に 飲酒量が少ない人も血圧が上昇 2万人弱を調査
2023年08月21日
ストレスを解消する簡単で効果的な方法 「みんなと楽しく食べる」「睡眠を改善する」
2023年08月21日
「運動アプリ」がメンタルヘルスも改善 スマホアプリの導入は運動指導で障壁の低い介入に
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶