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「公衆衛生大学院」と看護学部「3年次編入コース」を新設 聖路加国際大
2016年12月01日
聖路加国際大学は、「公衆衛生学研究科」の新設と、「看護教育カリキュラム」の改定と「3年次編入コース」の新設について発表した。
「公衆衛生大学院」を開設
聖路加国際大学は2017年4月に、専門職大学院「公衆衛生学研究科」を開設すると発表した。
個人の患者の病気やけがを対象とする臨床医学に対し、公衆衛生学は社会・集団の健康を対象とする。少子高齢化の進行や国民医療費の増大などを背景に、治療を中心とした医学から予防を中心とした医療への転換が求められているのを受け開設する。
公衆衛生学研究科は来年4月に開設予定で、同大学における新しい大学院の設置は37年ぶりとなる。
講演した福井次矢学長は、日野原重明・聖路加国際病院名誉院長が1954年に、民間病院として初の人間ドックを同病院に設置したことにふれ「医療職だけでは解決困難な課題が増えている現在、人文社会科学系のバックグラウンドをもつ方々が一堂に会して、柔軟で複眼的な実践力を身に付ける貴重な機会になる」と意義を強調している。
授業は原則英語で行われ、米国公衆衛生教育協議会(CFPH)の基準を満たした世界標準の教育プログラムが用意されている。定員は1学年25名で、修業は2年間。
「聖路加国際病院での豊富な臨床データを活用した医療の質の評価やEBMを学び、公衆衛生分野の諸問題をグローバルスタンダードにらし合わせて解決する能力を育成する場となる」と、福井学長は言う。
看護学部の3年次編入コース新設 看護で世界を切り拓くモデルナースに
また、聖路加国際大学は来年4月から、2年間で看護学学士と看護師国家試験受験資格を取得できる新カリキュラム、日本初の看護学研究科博士後期課程「DNPコース」を開設するほか、看護学部看護学科の入学定員を、75人から100人に増やす。
看護学以外の分野で学士号をもっている人が看護学部に入り直す場合、2年次に編入学し、3年間教育を受ける必要があるが、同大の新コースは3年次に編入し、看護師国家試験受験資格を2年間で取得できる日本初のプログラムとなる。
保健師助産師看護師法の改正で、看護師国家試験の受験資格付与対象者から「3年以上」という修業年限の縛りがなくなったのを受けて構想された。
「1976年から続く看護学研究科の編入学制度は、看護教育のエビデンスの蓄積と、そのエビデンスをもととした新たな看護教育の示唆をもたらした。新設する3年次編入コースでは、理論と実践を統合した学習展開と、幅広い知識・学習能力を基盤としたアクティブラーニングの融合により、自ら看護を学べる」と、福井学長は言う。
同大学では、3年次編入コース新設について「在籍期間の短縮、早期就業により経済的負担を軽減できる」と説明。期待する編入生像について「弱い立場の人の苦しみに共感でき、科学的探究にも関心をもつ多様な人材」と述べている。
日本看護協会の調査によると、2014年度に3年課程の看護師学校に入学した約2万7000人のうち、大卒者は8.4%に上る。
大学院には、専門看護師指導者を育成する博士後期課程「DNPコース」を全国で初めて開設する。1996年に制度化された専門看護師は現在、がん、老人、小児など11領域で1600人ほどが認定されている。
「セカンドキャリアを求めて再び大学に進学することは、経済的にも時間的にも精神的にも、チャレンジングなことです。学士編入学制度を利用して看護の道を志した方々は、使命に満ち、そして2つの学士号で得た多様性を活かし、世界中で活躍しています」と、福井学長は話している。
聖路加国際大学大学院 公衆衛生学研究科聖路加国際大学
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