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ICTを活用した次世代「保健医療システム」 一人ひとりに寄り添った医療を
2016年12月01日
厚生労働省は、ICT(情報通信技術)を活用した次世代の「保健医療システム」を整備すると発表した。国民一人ひとりの保健・医療データを、「価値を生み出す」「統合している」「安全かつ開かれた利用ができる」ものにするため、アクション・工程表を提示する考えを示した。
保健・医療分野でのICT活用を推進
この提言は、厚生労働省の「保健医療分野におけるICT活用推進懇談会」が先月まとめたもの。懇談会は、保健・医療分野でのICT(情報通信技術)の活用の現状について、「サービス自体の質の向上には不十分」「価値が共有されていない」などと指摘している。
限られた財源を効果的・効率的に活用し、保健医療サービスの質の最大化する必要があることや、ICTの活用を「患者・国民の価値主導」に切り替え、医療機関や産学官のデータを利活用していく考えを示した。
塩崎恭久・厚生労働大臣の諮問機関が、20年後の保健医療政策のビジョンを示した「保健医療2035」でも、「情報基盤の整備と活用」を新たな保健医療システムのインフラのひとつに位置付けている。
具体的には、(1)ビックデータの活用やAI(人工知能)による分析で、個人の症状や体質に応じた、迅速・正確な検査・診断、治療を受けられる仕組みをつくる、
(2)地域や全国の健康・医療・介護情報のネットワークを構築し、切れ目ない診療やケアを受けられるようにし、同時に検査や薬の重複を避け医療費の負担も軽減する、
(3)ICTを活用した遠隔診療や見守りを促進し、専門医がいない地域の患者や、生活の中で孤立しがちな高齢者も、医療や生活支援を受けられるようにする、
(4)最適な治療や薬を届けられ、有用な医療・保健サービスを創出できるよう、ビックデータ活用によるイノベーションをはかる
――といった対策が考えられている。

保健医療データを統合した情報基盤「ピープル」を整備
厚生労働省は、健康なときから病気や介護が必要な状態になるまでの国民の基本的な保健医療データを統合した情報基盤「PeOPLe」(ピープル:Person centered Open PLatform for well-being)を整備し、2020年度を目標に段階的に運用を開始し、2025年度までに本格運用をスタートさせる計画を立ち上げた。
「ピープル」の狙いは、全ての患者・国民がアクセスでき、活用できる開かれた情報インフラとして健康管理などに活用できる、オープンな情報基盤の整備だ。医師や保健師などの医療専門職が既往歴を介護歴を把握し、効果的な治療法を提案できるようになるほか、保健医療データを目的別に収集し、匿名化などをしてから提供し、産学官の多様なニーズに応える仕組みも考えられている。


保健医療2035
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