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がんを発症した女性の仕事と治療の両立 「柔軟に働ける制度」が必要
2017年11月01日
がんを発症した女性が、仕事と治療を両立するために周囲の理解を必要としており、がん治療のために利用できる制度の拡充も望んでいるという調査結果が発表された。
半数以上が「仕事への影響」を不安に感じている
国立がん研究センターによると、20代後半から50代前半の働く世代では、男性よりも女性の「がん罹患率」が高い。
2017年に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2017」(骨太方針)で、働き方改革のひとつとして、治療と仕事の両立推進が盛り込まれた。女性のがん罹患と働く環境の整備は大きな課題となっている。
大手人材サービス会社「アデコ」が、がんと診断されたときに正社員として就業していて、現在も就業中の20~50代の女性200名を対象に、がん治療と仕事の両立についてアンケート調査を実施した。
それによると、がんと診断されたときに感じた不安は、「仕事への影響」(56.5%)がもっとも多く、「家族への影響」(43.0%)、「治療による体調の変化」(42.5%)と続く。
具体的には、「職場への迷惑」(59.0%)、「業務遂行への影響」(46.0%)、「治療や療養のために休暇を取ること」(43.0%)といったことを不安に感じている。
「周りから必要以上に気を遣われること」(30.0%)、「不特定多数に知られ詮索されること」(25.5%)など、職場におけるコミュニケーションを懸念する声も多い。
職場への報告 半数以上が「理解・協力を得られた」
がんと診断された有職女性を対象に、勤務先や就業形態の変化について質問したところ、「同じ勤務先で、正社員として就業」(89.5%)と答えた女性が多かった。
治療や療養のために必要だった連続休暇日数は「20日以下」(58.5%)、年間の休暇取得総日数は「30日以下」(58.9%)という回答が多かった。
就労を続けた目的は、「家計を維持するため」(74.0%)がもっとも多く、次いで「治療費を工面するため」(35.5%)が続く。
治療と仕事が両立できた理由は、「職場の上司・同僚・部下等の理解・協力」(64.0%)がもっとも多く、「家族の理解・協力があったから」(53.0%)が続く。
がんの発症について、92.5%が「直属の上司」に伝えており、勤務先にがんを罹患したことを伝えたメリットとして、「職場の上司・同僚などの理解・協力を得ることができた」(53.4%)、「治療や病状に応じた休暇を取りやすくなった」(45.6%)を挙げた人が多かった。
就労継続のための勤務制度の整備が求められる
がん患者が仕事と治療を両立するために
アンケートは、企業の人事担当者も対象に行われた。企業がん治療のために利用できる導入済みの制度は、「傷病休暇・休業制度(賃金支給あり)」が47.5%と最多だったが、従業員数300人以上の企業では59.0%であるのに対して、従業員数300人未満の企業では35.8%と、企業規模によって差があった。
がん疾患啓発へり取り組みとして、「人間ドック、がん検診受診の促進」(52.0%)を実施している企業がほぼ半数に上るが、「社員へのがん治療に対する理解啓発、研修の実施」(11.4%)や「研修の実施治療と仕事の両立に向けた勤務制度の整備」(9.4%)などの取り組みは総じて低かった。
がん患者が仕事と治療を両立するために、周囲の理解とともに、がん治療のために利用できる制度も必要だが、現状では対応できていない企業が多い。
調査を行った「アデコ」はこのような結果を受け、がんを発症した女性の希望をふまえた上でのキャリア開発、職場環境の整備・改善を支援する必要があるとしている。
アデコ
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