ニュース

高齢者独居が4人に1人に 進む未婚・少子化 日本の世帯数の将来推計

 2040年に全世帯に占める一人暮らしの割合が39.3%に達するという予測が、国立社会保障・人口問題研究所がまとめた「日本の世帯数の将来推計」で発表された。未婚や晩婚の人が増えているためで、65歳以上の一人暮らしはほぼ4人に1人の22.9%に上昇するという。
 推計は5年ごとに実施しており、今回は2015年の国勢調査をもとに2040年まで予測を出した。
一人暮らし世帯の割合 2040年には39.3%に
 2015年の一人暮らし世帯の割合は34.5%(1,842万世帯)で、2040年は4.8ポイント増加し、39.3%(1,994万世帯)になる。総世帯数も減少しているため全世帯に占める割合は40%近くまで増える。

 未婚化の影響で高齢者(65歳以上)の単身世帯の割合が増えることが主な要因で、高齢者人口に占める単身者の割合(独居率)は、2040年に男性で5人に1人の20.8%(2015年は14.0%)、女性で4人に1人の24.5%(同21.8%)となる。

 2040年は1970年代前半生まれの「団塊ジュニア」が高齢者となり、高齢者人口がピークを迎える頃と重なる。結婚したことのない人の多い世代が次々と高齢期を迎える。
平均世帯人数は2040年に2.08人に
 総世帯数のうち世帯主が高齢者の割合は2015年の36.0%から2040年には44.2%と大きく伸びる。

 高齢者の単身世帯の割合は、男性は2040年に20.8%(356万世帯)となり、2015年の14.0%(206万世帯)の1.7倍に増える。女性は2040年に24.5%(540万世帯)で、2015年21.8%(420万世帯)の1.3倍に増える。

 一方、平均世帯人数は2015年の2.33人から2040年に2.08人になる。かつて40%以上を占めた「夫婦と子」世帯は15年の26.9%から40年には23.3%に減少。「夫婦のみ」は20.2%から21.1%に増える。

 「ひとり親と子」も8.9%から9.7%へ増え、2040年には492万世帯になる。シングルマザーなどの増加による子どもの貧困も大きな課題になりそうだ。

 このような世帯動向の背景にあるのは少子化だ。かつては1人の女性が産む子どもの数は4人以上だったが、16年には1.44まで減った。さらに結婚しない人も増えている。2015年には65歳以上男性の未婚率は5.9%だったが、2040年には14.9%となる見通しだ。
地域包括ケアシステムの整備が急務
 政府は介護保険制度の中で生活支援を充実させようとしているが、一方では財政の逼迫を理由に社会保障費の圧縮も進め、支援対象の絞り込みにも手を付けつつある。

 同研究所の鈴木透・人口構造研究部長は「未婚の単身高齢者には生活を助ける家族もおらず、国や社会がどう支援をしていくかという議論が求められる。高齢でも働き続けることができる社会環境の整備も求められる」と指摘している。

 地域包括ケアシステムは、そもそも持続可能な地域社会を守る戦略・戦術であり、介護予防、生活支援、見守り・気づきといった圧倒的に多数を占める地域の課題(=ポピュレーションアプローチ)については、住民組織や地域資源とのネットワーク・互助で可能な限り対応してもらい、専門性の高い困難事例への対応(=ハイリスクアプローチ)については、専門職や公的機関が専念できる体制を構築することが求められている。

国立社会保障・人口問題研究所
日本の世帯数の将来推計(全国推計) 2018年推計
[Terahata]
side_メルマガバナー

「地域保健」に関するニュース

2023年08月28日
極端な「糖質制限」や「脂質制限」は危険? 日本人に適した食事スタイルは? 8万人超を調査
2023年08月28日
カラフルな野菜を食べている人は認知症の発症が少ない ホウレンソウやブロッコリーを食べて認知症を予防
2023年08月28日
わずか5分の運動でも「がんリスク」を32%減少 無理なく続けられる「新しい運動法」を開発
2023年08月28日
週末の「寝だめ」では平日の睡眠不足のダメージを回復できない 寝不足が心臓の健康に悪影響
2023年08月28日
高齢者の「フレイル」の発生リスクを40%低減 「要支援」の高齢者が通所系サービスを利用すると効果
2023年08月21日
肥満やメタボが「腰痛」を引き起こす コロナ禍でさらに増加 「腰痛」を改善する運動は?
2023年08月21日
朝食欠食が肥満やメタボのリスクを上昇 朝食を食べない人に共通する生活スタイルは?
2023年08月21日
アルコールが高血圧の原因に 飲酒量が少ない人も血圧が上昇 2万人弱を調査
2023年08月21日
ストレスを解消する簡単で効果的な方法 「みんなと楽しく食べる」「睡眠を改善する」
2023年08月21日
「運動アプリ」がメンタルヘルスも改善 スマホアプリの導入は運動指導で障壁の低い介入に
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶