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薬の影響をカウンセリングし妊婦の不安を払しょく 国立成育医療研究センター
2018年06月25日
国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)の妊娠と薬情報センターはこのほど、妊娠中に薬剤を使用すると胎児にどのような影響があるか、適切に医療情報を提供すれば、不必要な人工妊娠中絶・妊娠中の不安払しょくに貢献する、とした研究結果を発表した。
同センターは、妊婦・胎児に対する服薬の影響について相談・情報収集を通して明らかになった成果をもとに、女性が安心して妊娠・出産のできる社会づくりに貢献している。今回の研究結果は6月、学術誌『Reproductive Toxicology』より発表された。
研究結果では、一般的に妊娠中の女性は、薬剤を使用した場合の胎児への影響について不安や心配を持っている、と解説。中には必要な治療の中止や、妊娠継続の中断を決断するといったケースも見られ、胎児への先天異常のリスクを過大評価する傾向にある、としている。
そこで同センターでは、妊娠中の女性に正しい医療情報の提供を施す対面カウンセリングを実施。その結果、681人の妊婦のうち、子どもに先天異常が起こるリスク認識の中央値は、カウンセリング前の33%から5%までに減少した。
またカウンセリング後、妊娠を継続する意思の中央値も86%から100%に増加。その後の調査でも、実際に97.1%が妊娠を継続していた。カウンセリングを通じた適切な医療情報の提供と不安の払しょくの有用性が明らかになったと言える。
今後も同センターは妊婦・胎児に対する服薬の影響に関する相談や情報収集を継続し、全国の拠点病院を通じた双方向の情報提供を行って、女性が安心して妊娠・出産できる社会づくりに貢献していく考え。
国立成育医療研究センター 報道発表「妊娠中の女性に薬剤使用による児への影響など適切な医療情報を提供することが、不必要な人工妊娠中絶・妊娠中の不安払しょくに貢献することを明らかに」
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