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甘いものを食べるなら日中の活動時間を選ぶとメタボになりにくい
2018年08月21日
糖質の摂り過ぎはメタボリックシンドロームの原因になる。しかし、糖質を摂取する時間帯を日中の活動時間帯に調整すれば、糖質がエネルギーとして利用されやすくなり、過剰摂取によって起こる脂肪肝や高中性脂肪などの脂質代謝異常、メタボリックシンドロームを抑えられる可能性があるという研究を名古屋大学が発表した。
糖質は日中の活動時間帯に摂ると悪影響を抑えられる
糖質を摂り過ぎるとメタボリックシンドロームを発症しやすくなるが、摂取するタイミングを日中の活動している時間帯に限ると、肝臓に中性脂肪がたまる「脂肪肝」と、動脈硬化の原因になる「高中性脂肪」が改善することが、名古屋大学の研究で明らかになった。
研究は、名古屋大学大学院生命農学研究科の小田裕昭准教授を中心とする研究グループによるもので、米国科学雑誌「PLOS ONE」電子版に掲載された。
関連情報
糖質の甘味には習慣性がある
これまで、メタボリックシンドロームは、食べ過ぎ(エネルギーの摂り過ぎ)や運動不足、動物性食品に含まれる飽和脂肪酸の過剰摂取などが原因と考えられてきたが、最近では、「果糖ブドウ糖液糖」などの糖質を含む清涼飲料やお菓子などの食べ過ぎも原因であることが明らかになっている。
ジュースやコーラなどに使われている果糖ブドウ糖液糖は「異性化糖」とも呼ばれ、デンプンを加水分解してグルコースに変えて、そのおよそ半分をフルクトースに異性化させ作られる。安価に大量生産でき甘味が強いので、さまざまな食品に使われている。
糖質の摂り過ぎがもたらす危険性の多くは、異性化糖などを構成するフルクトース(果糖)が原因であることが分かっている。こうした糖質は高カロリーで、その甘味には習慣性があり、完全に抑えるのは難しい。
世界保健機関(WHO)は、糖質による健康被害を抑えるため、1日のエネルギー摂取量の5%未満に抑えることを奨励するガイドイランを2015年に発表した。これは砂糖に換算すると1日小さじ6杯分程度(約24g)に相当する。
「時間栄養学」に着目 食事が体内時計を調整
日中の活動時間帯に摂ると脂肪肝が改善
具体的には、夜行性のラットを用いて、人間なら日中の活動時間帯に当たる夜間にだけ餌を食べるグループと、時間にかかわらず食べるグループに分けて実験した。糖質やデンプンを4週間与えた後、肝臓の脂肪量などを調べた。
その結果、活動時間帯に糖質を与えられたグループでは、肝臓1gに含まれる脂肪は平均で約69mgだったが、時間調整のないグループは約85mgと多かった。血液中の中性脂肪の量も、時間調整のないグループの方が、夜間にだけ与えられたグループの約1.2倍多かった。
糖質を抑えるのはなかなか難しい
研究グループはこれまで、昼夜を問わず、四六時中食べていると、主に悪玉のLDLコレステロールが増加し「高コレステロール血症」が起きることを報告している。逆に、メリハリのある摂取法として、主に日中に限って食事をする「時間制限摂取」をすることで、高脂肪食による肥満などを改善できると考えられる。
逆に糖質を夜間など活動時間外に摂ってしまうと、脂肪肝や脂質異常症を引き起こし、肥満やメタボになりやすくなるおそれがある。
「甘味は特別な魅力があり、一種の習慣性があります。糖質を控えなければいけないことは理解していても、糖質摂取を抑えるのはなかなか難しい。もちろん、糖質の悪影響を避けるため、摂取量を抑えることも重要ですが、甘いものを食べるのは日中の活動時間帯だけに調整することで、糖質の取りすぎの悪影響をある程度抑制できる可能性があります」と、研究グループは述べている。
「今回の研究で、肝臓脂質代謝のリズムには振幅があり、摂食時間を日中の活動時間帯だけに調整することで、脂質代謝異常を改善できることが分かりました。時間栄養学の観点から、糖質の過剰摂取によるメタボリックシンドロームを予防するために、時間制限摂取が効果的と考えられます」としている。
名古屋大学大学院生命農学研究科Time-restricted feeding suppresses excess sucrose-induced plasma and liver lipid accumulation in rats(PLOS ONE 2018年8月15日)
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