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【新連載】「熱中症」の健康障害を防ぐために(山田誠二産業保健センター所長/山田誠二)

 新連載「熱中症」の健康障害を防ぐために(山田誠二産業保健センター所長/山田 誠二) 第1回~第4回目を公開しました。

 今夏(平成30年)は例年になく酷暑が続き、全国の熱中症による搬送者数も増えており、今後、特に国として懸念されるのは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催です。また、開催前においても、急ピッチで進む会場づくりに携わる建設労働者の方々の熱中症対策は課題となっています。

 このオピニオンでは医療・健康スタッフに知っていただきたい「熱中症」に関する知見を紹介します。

暑い環境で働かざるを得ない場合の熱中症対策

 平成27年度の労働現場での「熱中症」の罹患件数は、464件(6.3%)で、29人が死亡している。平成28年度、462件(6.3%)、12人が死亡している。

 業種別では、屋外の建設業での罹患率が高く、
・平成26年度 144件(全熱中症の34%)内6名の死亡
・平成27年度、113件(全熱中症の24.4%)内11名の死亡
・平成28年度、113件(全熱中症の24.4%)内7名の死亡

 製造業全体としては、
・平成26年度84件(全熱中症の19.9%)内1名の死亡
・平成27年度85件(全熱中症の18.3%)内4名の死亡
・平成28年度97件(全熱中症の21.0%)死亡者なし

熱中症への対応の遅れは、「安全配慮義務違反」あるいは「業務上過失致死罪」

 熱中症による死亡者数を年齢階級別に調べた実験結果(1968年~2014年)によると、15歳で約180人死亡している。これは練習や試合中のスポーツで起こった熱中症のため死亡した少年・少女の数である。身体を鍛えるために行なっているスポーツで死亡することは許されない。中・高等学校の部活や少年クラブ中に熱中症が起こり、部やクラブの責任者がその責任を問われることが多くなり、新聞などで繰り返し報道されているが、事件は毎年起こっている。

 若い人が死ぬと最低1億円の損害賠償が必要になるが、死亡せず介護が必要な場合には、介護料として、さらに最低1億が加算される。

 一学期の期末テストが終えた直後の部活の練習でキャプテンだった女性が指示された練習メニューをこなそうとして練習中に熱中症で倒れ、一時心停止になった。命はとりとめたが、重度の意識障害が残り、寝たきりになった。裁判所は、「学校側が熱中症への注意義務を怠り、部活動中に倒れて重い障害が残った」として、県側の責任を認定して約2億4千万円の賠償請求を命じた。将来の介護費用として、約1億円を算出している。

[保健指導リソースガイド編集部]
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