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腸内環境を人工知能(AI)で解析 特定保健指導に腸内環境という新たな視点を導入
2019年11月20日

腸内環境を人工知能(AI)で解析して、それをもとに特定保健指導で最適な体重コントロールや生活習慣病の予防を実現しようという研究が開始される。
特定保健指導に腸内環境という新たな視点を
研究は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が推進している「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」の一環として行われる。
この事業では、AIシステムの開発と共用データ基盤の開発を通じて、国内企業にとどまらない幅広いデータ連携により、生活の不便の解消や少子高齢化が抱える社会課題を解決することを目指している。
研究では、これまでの特定保健指導の現場で考慮されていなかった個人差に起因する体重を減少させる腸内環境因子を利用することで、効果的・効率的な生活習慣の改善指導サポートを行うAIシステムの開発を目指す。
腸内細菌叢のバランスを整えることが健康改善につながる
ヒトの腸内は、地球上でもっとも高密度に細菌が存在する場所とされている。そこに棲む「腸内細菌」は、1人あたり数百〜1,000種類以上、数にして約40兆個にも達するとみられている。
近年の研究で、こうした腸内細菌の群集である腸内細菌叢が、肥満や生活習慣病の発症や増悪に腸内細菌叢が関与していることが分かってきた。
また、腸内細菌叢のバランスは個々人で異なり、食習慣がこの差異に大きく影響する。腸内環境情報をもとに適切に食習慣の改善を促し、腸内細菌叢のバランスを整えることが、減量の効率化や生活習慣病の予防・改善につながると考えられている。
食習慣や定期的な運動など、生活習慣の改善によって生活習慣病を予防する取り組みとして実施される特定保健指導に腸内環境という新たな視点を加えることで、個々人に対して最適な指導を行い、改善効果を高められる可能性がある。

保険費・医療費の削減にも貢献
研究は、生活習慣病の予防で重要な食習慣の改善を促す手がかりとして腸内環境に着目し、個人の腸内環境に応じた生活習慣の改善指導サポートを行う人工知能(AI)システムを開発するというもの。
研究の助成先であるメタジェンとMOLCUREは、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防・改善を目的とする特定保健指導の現場で適用可能な、業界横断型AIシステムを開発する「腸内環境情報を利用した生活習慣指導AIの事業化を目指した開発事業」を開始する。
メタジェンは、腸内に細菌がどのくらいいるかを調べる遺伝子解析(メタゲノミクス)と、どのような代謝物質があるかを調べる代謝物質解析(メタボロミクス)を統合して、独自の腸内環境評価手法「メタボロゲノミクス」(メタボロミクス+メタゲノミクス)を開発した実績をもつ。
また、MOLCUREは、次世代シーケンサーの解析とアルゴリズムを用いることで、これまで抗体探索の困難だった低分子、糖鎖や感染症ウイルス・バクテリアなどをDNA配列解析する能力がある。
「予防医療を促進し、生活習慣病を克服することで、世界が抱える健康課題の解決とともに、保険費・医療費の削減といった社会課題の解決にも貢献できる可能性がある」としている。
Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業(新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO))メタジェン
MOLCURE
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