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厚労省が「高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン第2版」を公表
2019年12月12日
厚生労働省はこのほど「高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン第2版」を策定、公表した。
これまで健康診査が中心だった後期高齢者医療制度の保健事業に対し、高齢者の特性を踏まえた保健事業の考え方や具体的な内容を示すものとして活用が期待されている。
高齢者のQOL向上には特性を踏まえた健康支援等が必要
高齢者(特に後期高齢者)は複数の疾患を持つほか、フレイル(加齢に伴う予備能力低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態)やサルコペニア(高齢期の骨格筋量減少と、筋力または身体機能の低下状態)、認知症なども進行する。
このような健康上の不安を取り除き、住み慣れた地域で自立した生活を延伸し、QOLの維持向上を図るには、高齢者の特性を踏まえた健康支援や相談を行う必要がある。
しかしこれまでの後期高齢者医療制度における保健事業は健康診査が中心で、高齢者の特性を踏まえた保健事業の考え方や具体的な内容を示す指針はなかった。
そのため国は高齢者の保健事業のあり方検討ワーキンググループおよび作業チームで検討を行い、平成29年4月に暫定版、平成30年4月に「高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン」の策定にいたった。
住民の活動に寄り添う意識が大切に
ガイドラインは基本的な考え方について伝える「総括編」と、保健事業の実施内容・方法・手順と、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施の手順などについてまとめた「実践編」に分かれている。
このうち「実践編」では「高齢者の保健事業の取り組み」と「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施の推進に向けたプログラム」について解説。
高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施にあたっては、「事業の企画・調整・分析・評価などを行う人材と、通いの場などへの関与や個別訪問などの支援を行う医療専門職が必要になる」として、保健師や管理栄養士、歯科衛生士などの医療専門職も加わり、取り組みの充実をはかるよう指南した。
具体的には、住民主体の通いの場などを活用し、保健師や管理栄養士、歯科衛生士などの医療専門職が関与を深め、高齢者に広くフレイル予防の重要性について浸透することなどを目的として挙げた。
ガイドラインでは、地域のふれあいサロンや通いの場を地域包括支援センターの保健師が訪問し、フレイル予防啓発活動を行っている千葉県柏市の例なども紹介している。ほかにも通いの場などを活用した健康教育や相談の実施、健康状態などの把握についても言及。
そのうえで、通いの場などで医療専門職が関わるときの留意点として、場を運営している住民の希望を聞きながらどのように関わるかを明らかにし、住民の活動に寄り添う意識を持つことや、ハイリスク者が特定されないよう配慮することなどを挙げている。
同ガイドラインには別添として「後期高齢者の質問票の解説と留意事項」も合わせて公表。
厚生労働省は来年度から75歳以上を対象に「フレイル」状態かどうかをチェックする健診を実施するとしており、高齢者が安心して暮らせるよう安定的な社会保障制度を強化していきたい考え。
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