ニュース

生活習慣病予防のための「5つの生活スタイル」とは? 50歳までに実行すると寿命が延びる

 5つの健康的な生活スタイルを維持することで、2型糖尿病、心血管疾患、がんといった慢性疾患を発症しないでいられる期間を延長できることが、米国の研究で明らかになった。5つの生活スタイルを実行することで、平均余命は女性で10年以上、男性では8年近く長くなるという。
5つの生活スタイルを実行すると寿命が延びる
 ハーバード大学公衆衛生大学院が提唱する「5つの健康的な生活スタイル」とは、▼健康的な食事を摂ること、▼運動を習慣として行うこと、▼健康的な体重を維持すること、▼アルコールを飲み過ぎないこと、▼喫煙しないこと。

 こうした生活スタイルを中年期に実行することで、2型糖尿病、心血管疾患、がんの発症リスクを低下できることが確かめられている。

 研究チームが2018年に発表した研究では、5つの健康的な生活スタイルを実行することで、約30年間の研究期間中に、心血管疾患で死亡する割合が82%低下し、がんで死亡する割合が65%低下したことが明らかになった。

 5つの健康的な生活スタイルをすべて実行している人は、まったく実行していない人に比べ、期間中に死亡する可能性が74%低く、平均余命が男性で平均12年、女性で平均14年、それぞれ延長するという結果になった。
糖尿病、心臓病、がんの発症を遅らせることができる
 「これまでの研究で、健康的な生活スタイルにより慢性疾患のリスクが低下し、平均余命が延びることは分かっていましたが、生活スタイルが病気のない期間にどう影響するかを研究はほとんどありませんでした」と、ハーバード大学公衆衛生大学院の栄養学部の上級研究員であるヤンピン リー氏は言う。

 そこで、研究チームは今回の研究で、健康的な生活スタイルを続けると、糖尿病、心血管疾患、がんとった慢性疾患を発症することなく、健康に生きられる期間を延長できるかを検証した。

 研究チームは、「看護師健康研究(Nurses' Health Study)」に参加した7万3,196人の女性を平均34年、「医療者追跡研究(Health Professionals Follow-up Study)」に参加した3万8,366人の男性を平均28年、それぞれ追跡した調査した。

 健康的な食事は「代替健康的な食事指数(Alternate Healthy Eating Index)」の得点で判定。運動については、中等度から活発な運動を1日に30分以上行っている場合を運動習慣ありと判定した。

 体重については、体格指数(BMI)が18.5~24.9の場合を健康的な体重と判定。アルコールについては、男性は1日に2ドリンクまで、女性は1ドリンクまでを飲んでいる場合に適度な飲酒と判定した。
余命に女性で10年以上、男性では8年近くの差が
 その結果、50歳で健康的な生活スタイルを1つも実行していない人は、平均余命が、男性は23.5年、女性は23.7年だったのに対し、4~5つ実施していると、男性は31.1年、女性は34.4年に延長されることが分かった。

 一方、もっとも平均余命が短かったのは、ヘビースモーカーで肥満のある男女だった。

 「糖尿病、心血管疾患、がんとった慢性疾患は、高い医療費が必要となるだけでなく、患者の生活の質(QOL)を低下します。生活スタイルを改善し、健康的な食事や運動を続ければ、QOLが向上し、医療費も削減できます」と、ハーバード大学公衆衛生大学院栄養学部のフランク フー教授は言う。

 「これまで以上に健康的な生活スタイルを促進する公共政策を推し進めるべきです」と、フー教授は指摘している。「米国人は健康的な生活を送ることに関心をあまり払わない傾向があります。健康的な食品の流通を増やし、都市計画を立案し、社会環境を整備するために、より多くの注力が必要です」。

Following healthy lifestyle habits at middle age may increase years lived free of chronic diseases(ハーバード大学公衆衛生大学院 2020年1月8日)
Healthy lifestyle and life expectancy free of cancer, cardiovascular disease, and type 2 diabetes: prospective cohort study(BMJ 2020年1月8日)
Following five healthy lifestyle habits may increase life expectancy by decade or more(ハーバード大学公衆衛生大学院 2018年4月30日)
Impact of Healthy Lifestyle Factors on Life Expectancies in the US Population(Circulation 2018年4月30日)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「健診・検診」に関するニュース

2025年06月02日
肺がん検診ガイドライン19年ぶり改訂 重喫煙者に年1回の低線量CTを推奨【国立がん研究センター】
2025年05月20日
【調査報告】国民健康保険の保健事業を見直すロジックモデルを構築
―特定健診・特定保健指導を起点にアウトカムを可視化
2025年05月16日
高齢者がスマホなどのデジタル技術を利用すると認知症予防に 高齢者がネットを使うと健診の受診率も改善
2025年05月16日
【高血圧の日】運輸業はとく高血圧や肥満が多い 健康増進を推進し検査値が改善 二次健診者数も減少
2025年05月12日
メタボとロコモの深い関係を3万人超の健診データで解明 運動機能の低下は50代から進行 メタボとロコモの同時健診が必要
2025年05月01日
ホルモン分泌は年齢とともに変化 バランスが乱れると不調や病気が 肥満を引き起こすホルモンも【ホルモンを健康にする10の方法】
2025年05月01日
【デジタル技術を活用した血圧管理】産業保健・地域保健・健診の保健指導などでの活用を期待 日本高血圧学会
2025年04月17日
【検討会報告】保健師の未来像を2類型で提示―厚労省、2040年の地域保健を見据え議論
2025年04月14日
女性の健康のための検査・検診 日本の女性は知識不足 半数超の女性が「学校教育は不十分」と実感 「子宮の日」に調査
2025年03月03日
ウォーキングなどの運動で肥満や高血圧など19種類の慢性疾患のリスクを減少 わずか5分の運動で認知症も予防
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶