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医療ビッグデータの利活用が本格化 EHRは医療者にも患者にもメリットがある 「千年カルテプロジェクト」が進行中
2020年02月19日

電子カルテなどの医療情報を大量に収集し、診療や研究、行政、AI(人工知能)の開発などに活用する「千年カルテプロジェクト」が進行している。
日本でも医療ビッグデータの利活用が本格化している。PHRによりカルテ情報を開示する、患者参加型の医療の実現も視野に入っている。
日本でも医療ビッグデータの利活用が本格化している。PHRによりカルテ情報を開示する、患者参加型の医療の実現も視野に入っている。
EHRのデータを匿名加工して医療・研究に活用
日本でも医療ビッグデータの利活用が本格的にはじまっている。電子カルテなどの医療情報を大量に収集し、診療や研究、行政、AI(人工知能)の開発などに活用するための基盤が整いつつある。
EHR(電子健康記録:Electronic Health Record)は、全国の医療機関の診療データを集積し、診療データを患者に開示、さらに複数の医療機関が連携して診療するというもの。
EHRで得られたデータを匿名加工して研究に利用し、未来の医療発展に役立てようという動きが本格化している。

「千年カルテプロジェクト」が進行中
2015年に開始された「次世代医療ICT基盤協議会」で、新たに大規模なデータセンターを立ち上げ、「千年カルテ」としてスタートすることが決められた。
「千年カルテプロジェクト」は、参加医療施設や患者にEHR機能などによる付加価値を提供したうえで、医療情報利活用を促進し、自立採算で継続するというもの。

匿名加工医療情報の利活用を促進する団体を認定
2018年5月に施行された「次世代医療基盤法」にもとづき、医療情報を収集・匿名加工する認定匿名加工医療情報作成事業者が認定された。
これに合わせて、匿名加工医療情報の利活用を促進する団体として、一般社団法人ライフデータイニシアティブ(LDI)が2018年4月に発足した。
LDIは、「千年カルテプロジェクト」を推進する日本医療ネットワーク協会(JMNA)と連携し、次世代医療基盤法の施行にもとない認定事業者として認定を受けた。
LDI代表理事で、宮崎大学病院EHR普及推進センター特別教授と京都大学大学院医学研究科EHR共同研究講座ディレクターを務める、京都大学名誉教授・宮崎大学名誉教授の吉原博幸氏は、「健康・医療・介護分野での情報通信の利活用を推進することが、日本が抱えている医療費の高騰、介護負担の増大などの問題への対処策になる」と指摘している。
「千年カルテ」にはこんなメリットがある
「千年カルテプロジェクト」の利点として、▼災害に備えたバックアップ、▼医療施設間情報連携(EHRサービス)、▼患者への情報提供(PHRサービス)、▼患者様の申込みにより本人の治療/健康に関する情報を提供――を挙げている。
全国の医療機関等の診療データを安全に集積し、診療データを患者に開示、そして、複数の医療機関同士が連携して診療することが、医療や研究開発の質の向上につながる。
「千年カルテプロジェクト」では患者と医療者がそれぞれインターネット経由でカルテを閲覧することができる。地域を超えて患者が安全にアクセスできるようにするとともに、次世代医療基盤法に沿ったかたちで二次利用することを視野に入れている。

千年カルテプロジェクト
日本医療研究開発機構・医療情報基盤担当室(内閣府)
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