ニュース

糖類の多い甘い飲み物を1日1杯飲むだけで、糖尿病や心臓病のリスクが上昇 低カロリー甘味料は効果的

 ジュースやコーラ、加糖コーヒーなどの甘い高カロリー飲料は、たまに飲むのは良いが、毎日飲むのは避けた方が良さそうだ。
 米カリフォルニア州の研究によると、果糖やブドウ糖、ショ糖などの単糖類の入った甘い飲み物を毎日飲み続けると、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高くなることがある。
 低カロリー甘味料であれば、肥満や糖尿病の検査値を悪化させないという研究も発表された。
毎日飲むと心臓病や脳卒中のリスクが上昇
 果糖やブドウ糖、ショ糖などの単糖類が多く含まれるジュースやコーラなどの高カロリーの飲料を飲む習慣のある人は、まったく飲まない人に比べ、心筋梗塞などの心血管疾患のリスクが20%上昇するという調査結果が発表された。

 調査は、カリフォルニア州の平均年齢52歳の女性教員10万6,000人以上が参加して行われた。参加者は研究に登録したときに心臓病、脳卒中、2型糖尿病を発症していなかった。

 この調査は、米国のカリフォルニア大学によるもので、1995年に開始され現在も続けられている。

 その結果、糖類の入った高カロリー飲料を毎日1杯以上飲む人は、飲まない人に比べ、血管形成などの血管再建手術が必要になるリスクが26%上昇し、脳卒中のリスクも21%上昇した。

 この研究で高カロリー飲料は、果糖やブドウ糖などが加えられた果汁飲料やフレーバーウォーター、コーヒー、お茶と定義された。
果汁飲料でも安心はできない
 とくに果糖などが加えられた果汁飲料を飲む人はリスクが高く、毎日1杯以上飲んでいる人は心血管疾患リスクが42%高かった。

 果汁が入っていると健康的というイメージがあるが、実は果糖などが加えられたものが多い。飲む前に栄養表示をよく見て、どれだけのカロリーと糖類が含まれているかを確かめた方が良さそうだ。

 また、コーラやサイダーなどの炭酸飲料を飲んでいいる人は、心血管疾患の全体的なリスクが23%高かった。

 高カロリー飲料を多く飲んでいる人は、肥満が多く、喫煙率が高く、健康的な食品を食べる頻度が低く、比較的若い傾向がみられた。
高カロリー飲料の飲み過ぎが肥満や2型糖尿病を引き起こす
 「今回は観察研究であり、因果関係を証明していませんが、高カロリー飲料に含まれる、吸収の早い果糖やブドウ糖などのに単糖類は、肥満につながり、心血管疾患のリスクを高めると考えられます」と、カリフォルニア大学の家庭医学・公衆衛生学部のシェリル アンダーソン教授は言う。

 「そうした糖は、血中の血糖とインスリンの値を上昇させ、それがさらに食欲を高めるという、悪循環におちいりやすくなります。コーヒーやお茶を飲むときも、無糖のものを選んだ方が良いのです」。

 高カロリー飲料の飲み過ぎが、肥満や2型糖尿病を引き起こす。さらに、血糖値が上昇することで、血管に酸化ストレスや炎症がもたらされ、インスリン抵抗性、高コレステロール、高中性脂肪になりやすくなる。

 こうした多くの要因が、アテローム性動脈硬化症の進展につながり、心血管疾患のリスクを上昇させる。
たまに飲むのは良いが、毎日飲むのはNG
 米国心臓学会(AHA)は、単糖類の1日の摂取量を、女性は100kcal分以下、男性は150kcal以下に抑えることを推奨している。

 もっとも多く飲まれている炭酸飲料であるコーラには、果糖ブドウ糖液糖や砂糖などの糖類が含まれている。1缶(354mL)のカロリーは130kcalで、34gの炭水化物(糖類)が含まれ、これは砂糖小さじ8杯分に相当する。

 ジュースやコーラのなどの甘い高カロリー飲料は、たまに飲むのは良いが、毎日飲むのは避けた方が良さそうだ。
低カロリー甘味料が脂肪肝のリスクを減少
 糖類の摂り過ぎは肥満や2型糖尿病、脂肪肝の発症につながることを示した研究は多い。

 では、こうした糖類を低カロリー甘味料に置き換えた場合はどうだろう?

 米ロサンゼルス小児・子供病院の研究チームは、低カロリー甘味料を利用することで、脂肪肝の発症リスクが低下するという研究を発表した。

 研究チームは、肥満マウスを使い前臨床研究を行った。フルクトース(果糖)とショ糖を入れた飲料水を与えたマウスと、低カロリー甘味料を与えたマウスとを比較して、肝臓への影響を調べた。
低カロリー甘味料は血糖値もインスリン感受性も改善
 その結果、高脂肪食により肥満になったマウスでは、低カロリー甘味料は体重増加やエネルギーバランスに影響しないことが明らかになった。

 さらに、低カロリー甘味料は、果糖とショ糖と比較して、空腹時血糖値、インスリン感受性、小胞体ストレス、膵島の細胞量などを改善して、脂肪肝や肝臓の線維化を防ぐことが分かった。

 米国では子供の肥満の増加が社会問題になっている。研究グループは、小児疾患でも低カロリー甘味料が良い効果をもたらすかを調べる臨床試験を現在進めている。

California study finds drinking sugary drinks daily may be linked to higher risk of CVD in women(米国心臓学会 2020年3月13日)
Sugar‐Sweetened Beverage Intake and Cardiovascular Disease Risk in the California Teachers Study(Journal of the American Heart Association 2020年3月13日)
Non-caloric sweetener reduces signs of fatty liver disease in preclinical research study(ロサンゼルス小児・子供病院 2020年5月5日)
Rebaudioside affords hepatoprotection ameliorating sugar sweetened beverage- induced nonalcoholic steatohepatitis(Scientific Reports 2020年4月21日)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「健診・検診」に関するニュース

2023年08月09日
8020達成率は5割以上 若い世代の歯周病増、口腔ケアが課題に
厚労省「令和4年歯科疾患実態調査」より
2023年08月08日
若い世代でも「脂肪肝疾患」が増加 やせていても体脂肪が蓄積 肥満とどう違う?
2023年07月28日
2022年度版「健診・保健指導施設リスト」状況を報告します【保健指導リソースガイド】
2023年07月24日
標準体重でも3分の1は実は「肥満」 BMIは健康状態をみる指標として不十分 やせていても安心できない
2023年07月11日
自治体健診で高齢者のフレイルを簡便に判定 「後期高齢者の質問票」でリスクが分かる 「フレイル関連12項目」とは?
2023年06月20日
肝臓学会が「奈良宣言2023」を発表 肥満・メタボの人は「脂肪肝」にもご注意 検査を受けることが大切
2023年06月12日
自治体健診で「心房細動」を早期発見 健康寿命と平均寿命の差を縮める 日本初の「健康寿命延伸事業」 大分県
2023年06月05日
要介護認定リスクと関連の深い健診6項目が明らかに 特定健診・後期高齢者健診のデータから判明 名古屋市
2023年05月19日
令和4年度「東京都がん予防・検診等実態調査」 受診者増加のための取組み率は健康保険組合で85%に上昇
2023年05月18日
さんぽセンター利用の5割以上「健診結果の措置に関する説明力が向上」
-『令和4年度産業保健活動総合支援事業アウトカム調査報告書』-
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶