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在宅での高齢者の健康づくりに活用できるスマホ用アプリを公開 健康長寿医療センターなど

 東京都健康長寿医療センターと慶應義塾大学は、在宅での高齢者の健康づくりに活用できるスマートフォン用アプリ「運動カウンター」「食べポン」を公開した。
 このアプリを利用してもらい、高齢者に在宅で運動習慣や良好な食習慣を保持してもらうことを期待している。
直接交流をともなわない非対面下での健康づくりが必要
 アプリを公開したのは、東京都健康長寿医療センター研究所社会参加と地域保健研究チームの遠峰結衣研究員らと、慶應義塾大学理工学部の杉浦裕太准教授らの研究グループ。

 新型コロナウイルス感染症は、国内では6月現在で収束に向かっているが、警戒が緩めば感染が再拡大する可能性がある。政府は、長期的に感染拡大を予防するため、▼身体的距離の確保、▼マスクの着用、▼手洗いなどを軸とした「新しい生活様式」を求めている。

 高齢者のフレイルや認知症に対策するため、これまでは積極的な外出や社会参加が重要とされてきたが、現状では、緊急事態宣言が解除された後でも、高齢者の「通いの場」などの再開には慎重にならざるをえない状況が続いている。

 通いの場は、高齢者などが定期的に集い、体操や趣味活動などのさまざまな活動を行い、生活に活気を取り入れてもらう場で、介護予防に直結すると期待されてきた。

 「こうした通いの場の再開に向けた対策が必要ですが、直接交流をともなわない非対面下での健康づくりの方策もあわせて検討していく必要があります」と、研究グループは述べている。

 そこで研究グループが目を付けたのが、近年では多くの高齢者にとってスマートフォンやインターネットが身近なものになっていること。

 そうして開発したのが「運動カウンター」と「食べポン」だ。両アプリは無料で、スマートフォンとLINEを使い利用できる。このアプリにより高齢者に在宅で運動習慣や良好な食習慣を保持してもらうことを期待している。
運動記録を楽しく実施できるアプリ
 「運動カウンター」は、運動記録を楽しく実施できるアプリ。メニューから運動の種類をワンクリックで選択すなると、ランダムに組まれたメンバーと協力しながら運動を実践できる。

 スマートフォンアプリLINEのトークルームを利用して、自宅でできる8種類の簡単な運動の動画を見ることができる。その実践回数を記録し、回数によって加算されるポイントを家族や友人らと共有・競争することができる。

 8種類の運動は、▼フレイル予防に重要な5種類の下肢の筋力運動、▼腰痛予防体操、▼口腔体操、▼ウォーキング。YouTubeで、ライブ体操「ゆるっとスマホ体操」を連携配信しており、よりレベルアップした運動を実践することもできる。

 自宅で過ごす時間が長期化し、身体を動かさないでいると、とくにシニア世代ではフレイルに陥る危険性が高まる。このアプリを活用し、日常に身体活動や運動を取り入れてもらうことを期待している。

摂取した10の食品群を記録できるアプリ
 また、「食べポン」は、メニューから摂取した食品群をワンクリックで登録できるアプリ。10の食品群(肉類、魚介類、卵、大豆製品、牛乳、海藻類、緑黄色野菜、果物類、イモ類、油脂類)のうち、1日に摂取した食品群を記録することができる。

 10の食品群のうち、何品目を食べたかを得点化し(1食品群で1点)、その得点を家族や友人らと共有・競争することができる。また、足りていない食品の摂取を教えてくれる。

 東京都健康長寿医療センターでは、これまでの疫学研究の成果を「健康長寿新ガイドライン」として集約しており、食・栄養面では、10の食品群のうち、1日で7食品群以上を摂取することを推奨している。

 この10の食品群は、日本の栄養指導でも用いられている「三色食品群」や「六つの基礎食品」にもとづいている。これを意識することでバランスの良い栄養素摂取につながり、高齢者に限らずどの世代にも勧められるという。

AIP加速PRISM研究 健康貯金のための運動誘発AI基盤構築 「健康Appsシリーズ」

東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加と地域保健研究チーム
應義塾大学理工学部情報工学科 LIFESTYLE COMPUTING
東京都介護予防・フレイル予防ポータル 「食べる」フレイル予防!
[Terahata]
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