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【新型コロナ】「PCR検査拡充プロジェクト」を開始 アートや教育、福祉分野にPCR検査を無償で提供
2020年08月25日
東京大学先端科学技術研究センターや村上財団などが発起人となり「PCR検査拡充プロジェクト」というクラウドファンディングが展開されている。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大のために、活動や公演の延期もしくは中止を余儀なくされている、(1)芸術、(2)スポーツ、(3)教育、(4)災害対策、(5)医療福祉の5分野で、PCR検査を無償で提供し、費用負担が足かせになり検査を受けられないことがないようにしようというもの。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大のために、活動や公演の延期もしくは中止を余儀なくされている、(1)芸術、(2)スポーツ、(3)教育、(4)災害対策、(5)医療福祉の5分野で、PCR検査を無償で提供し、費用負担が足かせになり検査を受けられないことがないようにしようというもの。
いち早く必要なところにPCR検査を
日本でも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大は止まらず、現在も活動自粛を続けている団体は多い。活動にともなう感染対策のための手段の1つとしてPCR検査は重要だ。
COVID-19の拡大を防止するために、全体像を把握し、必要な対象者・場所に対し、適切な対策を徹底して行うことが重要となる。そのために、スクリーニング検査が必要となる。
また、PCR検査は「その時に感染しているかどうか」の検査になるため、陰性か陽性か判断が必要な際は検査を受けるのが望ましい。
ただ活動自粛をするだけでなく、できる限り経済活動を止めずに感染予防して活動していく手段としてPCR検査を活用する必要がある。
活動を維持してもらうためにPCR検査を無償で提供
しかし、PCR検査は現状では、医療機関で実施する場合には、診療費用を含め1回3~4万円の費用がかかり高額だ。
そのため、(1)芸術分野、(2)スポーツ分野、(3)教育分野、(4)迅速な対応が必要とされる災害対策分野、(5)日夜対応に追われる医療福祉分野の5分野で、PCR検査を受けられず活動ができない状態が続いている。
「PCR検査拡充プロジェクト」は、この5分野でのPCR検査を支援しようというもの。そのため寄付を広く呼びかけている。
1万円の寄付で1人以上の検査(往復の輸送費など込みの目安)が可能になる。寄附募集は11月6日までを予定している。
「感染の危険があるからといって活動をむやみに止め続けるのではなく、スクリーニングをして検査することで、経済活動を含むこれからの社会活動を維持していくことにつなげていきたい。より多くの寄附が集まればコストを抑えられ、より多くの対象者に対して検査が可能になります。多くの皆さまの支援をお願いいたします」と呼びかけている。
人の心を豊かにするために芸術や文化が必要
このプロジェクトは、大規模抗体検査の実現のためにに協働してきた東京大学先端科学技術研究センター、村上財団、ピースウィンズ・ジャパンの三者が連携し実施するもの。PCR検査の実施は、東京PCR衛生検査所(東京都港区)からの特別協力を得て行う。
同検査所は、24時間365日稼働し、1日あたり4,300件の検査数、および検体集荷から24時間以内、最短6時間での結果回答の実現を目指している。
東京大学先端科学技術センターでは、児玉龍彦名誉教授がプロジェクトリーダーとなり、大規模抗体検査によるCOVID-19防止の研究を進めている。
「これまでデータに基づいた対応が大切と考え、研究を進めてきて分かってきたことは、ウイルスの変容が早いということと、今、日本で感染拡大しているウイルスは海外からではなく、日本に根付いたウイルスであるということです。だからこそ早くウイルスを制圧することと人の営みを守る必要があると日々奮闘しています」と、児玉名誉教授は言う。
「人の心を豊かにし、元気にしてくれる芸術、文化、スポーツが必要です。そして、災害支援の活動も安心してできるようにすることが不可欠です。そのために、みなさんと一緒に挑戦を始めたいと思います」としている。
東京大学先端科学技術研究センターの児玉龍彦名誉教授のコメント
村上財団はクラウドファンディングに先立ち、文化・芸術関連の団体のために、すでにPCR検査の無償提供を開始しており、5,000人分の検査費用を開始しているという。
「社会活動を可能な範囲で維持するために、必要なところへ"もっと早く、もっと多く"実施することが必要です。大規模な検査・追跡、そのデータの集積が、自身や家族など大切な人の身を守ること、そして日本の将来を支えるために最重要だと考えます」と、村上財団の村上世彰氏は述べている。
COVID-19の研究にも貢献できる
プロジェクトに賛同する団体は増えている。たとえば、東京交響楽団および東響コーラスでは、「PCR検査500検体を有効に使うことで、音楽家がより安全な形で演奏会に臨めることが可能となり、世の中に不可欠な芸術活動を継続的に行うことが可能となります」と述べている。
日本新劇製作者協会では、「多くの劇団の制作者は、苦慮しながら感染と向き合ってきましたが、今、各地巡演の際にはPCR検査の陰性証明を求められます」と述べている。
なお、プロジェクトの3万円以上の支援者で、PCR検査を届けたい団体を推薦したい場合は、5分野(芸術分野、スポーツ分野、災害支援、教育分野、医療・福祉分野)の活動団体に限り推薦することができる。
プロジェクトは、児玉龍彦名誉教授をリーダーとするCOVID-19の研究活動との連携により実施する。東大先端研はウイルスゲノムシーケンス解析による感染症の実態調査研究を進めている。そのため、陽性反応が出た人に研究への協力の案内をする場合もあるという。
東京大学先端科学技術研究センター一般財団法人 村上財団
一般社団法人 ピースウィンズ・ジャパン
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