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電解水素水が酸化ストレスと炎症を抑制する可能性 ストレス負荷に対する生体応答を調査

 理化学研究所と日本トリムの共同研究グループは、電解水素水により、ストレスにさらされた際の生体の酸化ストレスと炎症が抑制され、ストレスに対する耐性が強くなることを確認したと発表した。
 整水器から生成される電解水素水を事前に飲用させたラットの、ストレス負荷に対する生体応答への影響を調べた実験で明らかにしたもの。
整水器から生成される電解水素水の事前飲用によるストレス抑制効果を検証
 この研究は、理化学研究所生命機能科学研究センター・チームリーダーの渡辺恭良氏、日本トリムMD室の樺山繁室長らの共同研究グループによるもの。研究成果は、「Biochemical and Biophysical Research Communications」に掲載された。

 生体に対して、制御しにくいストレス(心理的、肉体的)が負荷されると、さまざまな不調が発生し、精神疾患、慢性疲労症候群、感染症、生活習慣病などが引き起こされやすくなると考えられている。その避けられないストレスに対して耐性をもつことができれば、健康寿命延伸に寄与することが期待される。

 また、電解水素水は、水道水を整水器で浄水・電気分解することで得られる、アルカリ性で分子状水素(molecular hydrogen)を含む飲用の水。分子状水素および微量に存在する白金ナノ粒子に保持された反応性の高い水素により抗酸化作用を示すことは、学術発表されている。

 今回の実験は、整水器から生成される電解水素水を事前に飲用しておくことにより、制御しにくい持続的なストレスにさらされた際の生体応答への影響を評価することを目的に行われた。

 研究グループは、実験用ラットを電解水素水飲用群または対照水飲用群の2つに分け、1週間自由に飲水させた。その後、高さ2.2cmの水を張ったゲージに5日間置くことで慢性ストレスを与えた。その5日間は、自由飲水と一定量の強制飲水をした。持続的ストレスの前後で血中の酸化ストレスマーカー、抗酸化ストレスマーカー、炎症マーカー、ストレス応答ホルモン濃度の変化を調べた。

 その結果、電解水素水の事前飲用により、浸水ストレスによる血液中の酸化ストレスマーカーの1つである酸化度(d-ROMs)の上昇が有意に抑制され(図1A)、抗酸化能の指標の1つである抗酸化力(BAP)の低下が抑制された(図1B)。

 また、電解水素水飲用群は抗酸化力/酸化度比(BAP/d-ROMs)も、6.8±0.2から7.7±0.2へ上昇しており、還元側へ有意にシフトしていた。

出典:日本トリム、2020年

 さらに、電解水素水の事前飲用は、浸水ストレスによる血液中の炎症マーカーの1つ(IL-1β)の上昇が有意に抑制された(図2)。IL-1βは、感染やストレスを受けた際に上昇する血中の初期炎症マーカーだ。

出典:日本トリム、2020年

 電解水素水の事前飲用は、浸水ストレスによる血液中のストレス応答ホルモン濃度の変動も防いだ(図3)。

出典:日本トリム、2020年

 これらから、電解水素水を事前飲用しておくことで、ストレス環境下におかれても、電解水素水の抗酸化作用と抗炎症作用によりストレス応答が緩和される、つまりストレス耐性を強くすることが示唆された。

 今回の研究により、飲み水を、水道蛇口に接続した整水器から生成される電解水素水に替えるだけで、ストレス耐性を強くできる可能性が示された。「生活習慣化しやすいソリューション(解決策)の1つになることが期待される。今後ヒトでの検証も期待される」と、研究者は述べている。

電解水素水の飲用は、ストレス耐性を強くする(理化学研究所 2020年12月28日)
電解水素水の飲用は、ストレス耐性を強くする(日本トリム 2020年12月28日)
[Terahata]
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