【新型コロナ】テレワークでオーバーワークや孤独感などに課題―第4回「働く人の意識調査」より
公益財団法人 日本生産性本部(本部・東京都千代田区)はこのほど、第4回「働く人の意識調査」の結果レポートを公開した。新型コロナウイルス感染症が組織で働く人の意識にどのような影響を及ぼしているのか継続調査しているもので、今回は2回目の緊急事態宣言が発出された直後に実施された。
このうち働き方ではテレワーク実施率に大きな変化は見られなかったものの、テレワークの継続を望む声は過去4回の調査で最多となった。一方、「オーバーワーク(働きすぎ)を回避する制度や仕組み」をテレワークの課題だとする人が過去最多となり、労務管理上でも「孤独感や疎外感」「健康維持や勤務中の事故」といった不安が引き続き寄せられている。
今回の調査は、2020年5月22日公表の第1回(調査期間:5月11日~13日)、7月21日公表の第2回(同:7月6日~7日)、10月16日公表の第3回(調査期間:10月5日~7日)に続く4回目で、2021年1月12日から13日に行われた。
対象は20歳以上で日本の企業や団体に雇用されている人1,100名で、インターネットで回答を回収。今回は年末年始の過ごし方の変化や、感染不安と不要不急の外出自粛に関する設問などを新たに追加している。
このうち「働く人の意識の変化」についての継続調査では、勤め先が従業員の健康に十分配慮しているかどうかを尋ねているが、「そう思う」「まずまずそう思う」は合計で65%と肯定的な評価が引き続き見られた。勤め先への信頼度についても、「信頼している」「まずまず信頼している」の合計は62.7%だった。これらは10月調査に比べて大差ない結果で、健康配慮や信頼度は肯定的評価で安定していると言える。
一方、今後の自身の雇用については「不安を感じる」と「不安を感じない」が、いずれも5割前後で拮抗(きっこう)した状態が続いている。
「働き方の変化」については、テレワークの実施率が10月調査の18.9%から22%へ増加していたが、5月調査の31.5%より下回っている。1月調査では、緊急事態宣言が先行して出された首都圏の1都3県のテレワーク実施率は32.7%で、それ以外の地域の14.6%に比べて高い値を示した。
ただし両地域の有意差は5月調査以降、継続して見られており、緊急事態宣言の発出に限らず、1都3県にテレワーク実施率の高い企業が多く立地しているからではないかと考えられている。
直近1週間の週あたりの出勤日数は1月調査では「1~2日」が33.5%と最多で、次いで「3~4日」が24.8%、「0日」が21.5%となった。職種別のテレワーク実施率を見ると「管理的な仕事」が43.2%と最も多く、続いて「専門的・技術的な仕事」が36.3%、「事務的な仕事」が25.4%だった。このうち「専門的・技術的な仕事」は10月調査の22.8%に比べて大幅に増えていた。テレワークの実施率が低いのは「生産工程の仕事(9.8%)」、「保安の仕事(9.1%)」、「運搬・清掃・包装等の仕事(5.3%)」などだった。
テレワークの課題は「部屋、机、いす、照明など物理的環境の整備」「Wi-Fiなど、通信環境の整備」を挙げる人が多く、これらは第1回調査から改善されていない。一方、今回調査では「オーバーワーク(働きすぎ)を回避する制度や仕組み」を挙げる人が19.0%で過去最多だった。
また、労務管理上の課題では「仕事の成果が適切に評価されるか不安」とする人が最多であったが、「孤独感や疎外感」が19.8%、「健康維持や勤務中の事故が心配」が13.2%などメンタルやヘルスケアの不安を感じている人もいた。
このような状況ではあるが、コロナ禍終息後もテレワークを行いたいとする人は76.4%で過去最多となった。調査のまとめでは「分析の結果、勤め先が健康に十分な配慮をしてくれているという認識が強い者ほど、外出を自粛する割合が多いことが分かった」とし、企業等の健康配慮への取り組みが「社員の自覚を高め、新型コロナウイルスの感染拡大抑止に間接的な効果をもたらすことを示唆している」と評価した。
同調査は今後も3カ月に1回実施される予定。
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