ニュース
コンニャクでメタボを予防 コンニャク粉入り粥が中性脂肪を低下 血糖値の上昇を抑制する効果も
2021年08月24日

群馬大学の研究グループが、コンニャク粉入り粥の摂取が、中性脂肪を低下させることを発見した。
中性脂肪の増加は動脈硬化を進行させ、心血管疾患発症へつながる肥満やメタボとも強い関連がある。
過去の研究では、コンニャク粉が食後の血糖値とインスリン値の上昇を抑制することも確かめている。
炭水化物の多い主食にコンニャク粉を混ぜると、食物の胃内の通過時間を延長させ、腸管粘膜での蠕動運動が促されるとしている。
中性脂肪の増加は動脈硬化を進行させ、心血管疾患発症へつながる肥満やメタボとも強い関連がある。
過去の研究では、コンニャク粉が食後の血糖値とインスリン値の上昇を抑制することも確かめている。
炭水化物の多い主食にコンニャク粉を混ぜると、食物の胃内の通過時間を延長させ、腸管粘膜での蠕動運動が促されるとしている。
コンニャク粉が中性脂肪を低下
群馬大学は、コンニャク粉入り粥の摂取が中性脂肪を低下させる効果があることを発見した。さらに、コンニャク粉が、中性脂肪を分解する酵素で、中性脂肪の代謝で中心的な役割を担っているリポ蛋白リパーゼ(LPL)の血中濃度を上昇させることも明らかにした。
研究グループはこれまでに、健常者や糖尿病予備群を対象に行った試験では、コンニャク粉を添加した粥を摂取すると、血糖値とインスリン値の両方の上昇を抑えられることも確認している。
コンニャク粉が中性脂肪や血糖の上昇を抑える理由としては、コンニャク粉が胃内容物の粘りけを高め、食物の胃内の通過時間を延長させ、腸管粘膜での糖質吸収を抑制することが考えられるという。
研究は、群馬大学大学院医学系研究科臨床検査医学・食健康科学教育研究センターの葭田明弘助教、木村孝穂准教授、村上正巳教授らの研究グループによるもの。研究成果は、学術誌「Nutrients」に掲載された。
コンニャク粉により中性脂肪を分解する酵素が上昇
コンニャクは群馬県の特産物だ。コンニャク芋の生産量は全国の80%を群馬県がになっている。コンニャクは100gあたりのエネルギーがわずか8kcalの低カロリー食品で、炭水化物3.3g、脂質0.1g、食物繊維が3.0gが含まれ、コレステロールは0mgだ。
研究グループは今回の研究で、コンニャク粉入り粥の摂取により血中の中性脂肪が低下する効果を確かめ、さらに、中性脂肪代謝の中心的な役割を担っているリポ蛋白リパーゼ(LPL)の血中濃度が上昇することも明らかにした。
LPLは中性脂肪を分解する脂質分解酵素。中性脂肪を分解することで脂肪酸が生成され、これが筋肉や脂肪組織に取り込まれてエネルギー源として使われる。そのため、LPLはエネルギー代謝にも関与していると考えられている。
研究グループは、健常な37~60歳の男性13人のボランティアを対象に、3種類の粥(五分粥、0.4%コンニャク粉含有粥、0.8%コンニャク粉含有粥。いずれも約80kcal)を食べてもらい、摂食前と摂食後30分、60分、120分の時点での中性脂肪と、LPLをはじめとする脂質代謝に関わる蛋白の血中濃度を測定した。
その結果、五分粥にコンニャク粉(0.8%)を加えたことで、五分粥食後30分後以降、120分後まで中性脂肪が低下した。さらに、LPL濃度は五分粥では食後30分後以降、120分後まで低下した一方で、コンニャク粉入りの粥ではLPLの低下はなく、120分後には摂食前と比較して上昇した。
これらより、コンニャク粉の食後の中性脂肪を低下させる作用は、主食と混合することにより強く発揮される可能性が示された。
コンニャク粉を加えた五分粥を摂食前と摂食後30分、60分、120分の時点で検査をした
コンニャク粉を加えることで中性脂肪が低下した
中性脂肪を分解する酵素であるLPLは上昇した

中性脂肪を分解する酵素であるLPLは上昇した

出典:群馬大学、2021年
コンニャク粉でメタボや肥満を抑制
「健常者を対象として行った研究で、通常の粥に比較してコンニャク粉入り粥の摂取により中性脂肪が低下することを確かめました。本研究はコンニャク粉入り粥が中性脂肪を低下させ、リポ蛋白リパーゼ(LPL)の上昇をともなうことを示した初めての報告です」と、研究者は述べている。
これまで、コンニャクを長期間、習慣的に摂取していると脂質代謝が改善するという報告はあったが、摂取後30分から2時間という短時間に中性脂肪が低下する報告はなかった。
中性脂肪の増加は動脈硬化を進行させ、心血管疾患発症へつながる肥満やメタボリックシンドロームとも強い関連がある。「とくに心筋梗塞や脳卒中のような大血管障害は、メタボでも健常人に比べて危険度が大きくなります。健常者からメタボへの移行を予防することは大変重要なテーマです。コンニャク粉がメタボへの移行を抑制して、人々の健康増進に貢献することが期待されます」と、研究者は述べている。
コンニャク粉を開発したグリンリーフは、1990年からコンニャク芋の有機栽培を行っている。コンニャク芋の生産量は全国の90%を群馬県がにない、その約6割が利根郡昭和村周辺で生産されているという。
グリンリーフは、有機栽培のコンニャク、板コンニャク、シラタキ、巻きシラタキなどに加えて、シラタキを麺やパスタに加工したり、コンニャクサラダなどの新しい食べ方を提案している。
群馬大学食健康科学教育研究センターKonjac Glucomannan Attenuated Triglyceride Metabolism during Rice Gruel Tolerance Test(Nutrients 2021年6月25日) グリンリーフ
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「特定保健指導」に関するニュース
- 2025年02月25日
- 【国際女性デー】女性と男性はストレスに対する反応が違う メンタルヘルス対策では性差も考慮したアプローチを
- 2025年02月25日
- 【国際女性デー】妊娠に関連する健康リスク 産後の検査が不十分 乳がん検診も 女性の「機会損失」は深刻
- 2025年02月25日
- ストレスは「脂肪肝」のリスクを高める 肥満やメタボとも関連 孤独や社会的孤立も高リスク
- 2025年02月25日
- 緑茶を飲むと脂肪肝リスクが軽減 緑茶が脂肪燃焼を高める? 茶カテキンは新型コロナの予防にも役立つ可能性が
- 2025年02月17日
- 働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
- 2025年02月17日
- 肥満やメタボの人に「不規則な生活」はなぜNG? 概日リズムが乱れて食べすぎに 太陽光を浴びて体内時計をリセット
- 2025年02月17日
- 中年期にウォーキングなどの運動を習慣にして認知症を予防 運動を50歳前にはじめると脳の健康を高められる
- 2025年02月17日
- 高齢になっても働き続けるのは心身の健康に良いと多くの人が実感 高齢者のウェルビーイングを高める施策
- 2025年02月12日
-
肥満・メタボの割合が高いのは「建設業」 業態で健康状態に大きな差が
健保連「業態別にみた健康状態の調査分析」より - 2025年02月10日
- 【Web講演会を公開】毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」2025年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」