メンタルヘルスも「予防」する時代―第10回日本ポジティブサイコロジー医学会の紹介
高血圧や糖尿病などの生活習慣病と呼ばれる身体疾患は、生活習慣を見直すことが発症リスクの低下につながる。そのために日本生活習慣病予防協会の活動も含め、生活習慣改善を促す啓発活動が続けられている。しかしその一方で近年のストレス社会の影響で、メンタルヘルス上の問題を抱えている人の増加が報告されている。さらに新型コロナウイルス感染症のパンデミックがそのような事態に追い打ちをかけていることも明らかになってきた。
このようなメンタルヘルス関連疾患に対しては従来、早期に受診することが予後改善につながると伝えられてきた。もちろん早期治療は大切であるが、近年のストレス社会という環境因子により増加しているメンタルヘルス関連疾患は、リスク因子に対処することで「予防」できる可能性がある。
本年10月30日(土)には、10回目となる日本ポジティブサイコロジー医学会の学術集会が開催される。同医学会は医師を中心としているが、学術集会はZoom開催となり、有料(要事前登録)ではあるものの、一般の方でも視聴登録はできる。Zoomは集会後1週間視聴可能である。
学術集会会長の海原純子先生(日本医科大学特任教授)は、同学会サイト内のビデオレターで、以下のように解説している。「ポジティブサイコロジーとは、人間のプラスの特性を科学的に研究する学問です。マイナスの感情が芽生えそうになった時に、例えば部屋の中に花を飾ったり、誰かへの感謝の気持ちを思い出したり、何かへの好奇心を大切にすることなどで、うつのスパイラルに入るのを防ぐことができます」。
第10回学術集会のテーマは「Withコロナ、Afterコロナのポジティブサイコロジー」。会長講演は、「女性の健康とポジティブネス~多様性を活かせる社会へ~」。海原純子先生は、日本で初めて女性のメンタルクリニックを設立し、多くの著書で知られている。一方、ジャズ歌手をしながら医学部を卒業され、まさに多様な人生を実践していることも知る人ぞ知るエピソードである。
坪田一男先生(慶應義塾大学名誉教授)は、「ステイホーム時代における太陽の下で過ごす意味」という時宜を得た講演タイトルで、戸外で過ごす事とメンタルを脳の機能から分析した講演である。
同学会の理事長である大野裕先生(国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター顧問、他)は、「AIを用いたセルフカウンセリング」と題して講演する。大野先生はインターネットを介してストレスレベルを判定し、その結果に応じてチャットボット(AIを応用した自動会話)による認知行動療法などにより問題解決を導くシステムを展開している。
なお、日本生活習慣病予防協会が主催する「全国生活習慣病予防月間2022」(2022年2月)の市民公開講演会(無料)では、大野 裕先生には、同テーマでの講演と海原純子先生とのトークショーが予定されている。
元ロボット科学者で、幸福経営学が専門の前野隆司先生(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科)は、「コロナ時代の幸福経営」というタイトルで、コロナ時代の幸福経営企業経営を分析する。
そのほか、元マラソン選手の瀬古利彦氏(横浜DeNAエクゼクティブアドバイザー)と海原先生のトークショー「心で走る ~ 笑う・ひとと繋がるというレジリエンス」など、教育、運動、経営、音楽など広範な分野でさまざまなプログラムが企画されている。
高血圧や糖尿病などの身体疾患を予防できたとしても、うつ状態では人生を十分に享受できない。10月末の秋の1日、この新しい考え方に関心を寄せてみてはいかがだろうか。
第10回日本ポジティブサイコロジー医学会学術集会
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5月5日~5月11日
厚生労働省では、子どもや家庭、子どもの健やかな成長について国民全体で考えることを目的、毎年5月5日の「こどもの日」から1週間を児童福祉週間と定め、児童福祉の理念の普及・啓発のための各種行事を行っています。平成29年度標語は「できること たくさんあるよ きみのてで」。 関連リンク 児童福祉週間(厚生労働省)
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5月12日
毎年5月12日は、近代看護を築いたフローレンス・ナイチンゲールの誕生日にちなみ「看護の日」に制定されています。そして、12日を含む週の日曜日から土曜日までが「看護週間」です。メインテーマは「看護の心をみんなの心に」。気軽に看護にふれていただける楽しい行事が、全国各地で行われます。なお、国際看護師協会では、5月12日を「国際看護師の日」に定めています。 関連リンク 看護の日(日本看護協会)
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5月17日
日本高血圧学会と 日本高血圧協会は、第30回日本高血圧学会総会において、毎年5月17日を「高血圧の日」と制定しました。 関連リンク 高血圧の日(日本高血圧学会)
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5月31日
毎年5月31日は世界禁煙デー。WHOによると、世界中でタバコの煙害で毎年600万人近くが死亡しており、そのうちの60万人は受動喫煙による非喫煙者とされています。このまま何も対策をとらなければ、2030年までに毎年800万人がタバコの煙害で死亡するとされています。 関連ニュース 5月31日から6月6日は世界禁煙デーおよび禁煙週間-今年のテーマは 「タバコは地球環境への脅威」!(日本生活習慣病予防協会) 関連リンク 禁煙指導のかんどころ(斎藤 照代/勤労者健康科学研究所)
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5月31日~6月6日
「世界禁煙デー」は、たばこを吸わないことが一般的な社会習慣となるよう様々な対策を講ずるべきであるという世界保健機構(WHO)の決議により昭和63年に設けられ、平成元年からは5月31日と定められました。また、厚生労働省は平成4年から、毎年5月31日から6月6日までを「禁煙週間」と定めています。 関連リンク たばこと健康に関する情報ページ(厚生労働省)

