ニュース

COPD(慢性閉塞性肺疾患)について知っていますか? 咳・痰・息切れがある人は要注意

 咳・痰・息切れがあり、進行・悪化すると自力では呼吸が難しくなる慢性閉塞性肺疾患(COPD)。
 COPDを早期診断するために、その特徴を正しく知ることが必要となる。
COPDの有病者は多いが、予防の知識は十分に知られていない
 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、タバコの煙などの有害な物質を長い間吸い続けることで起こる肺の病気。COPD患者の肺では、空気の通り道である気道が炎症を起こしたり、酸素を取り込む肺胞の壁が壊れるなどして、動いた時に息切れをしたり、慢性的に咳や痰が続く。

 国内の調査では、40歳以上の約530万人、70歳以上の約210万人がCOPDに罹患していると報告されている。COPDの有病者は多いが、予防が可能な病気であることは十分に知られていない。

 日本ベーリンガーインゲルハイムは2021年7月に、全国の喫煙歴のあるCOPD罹患リスクのある成人(COPDリスク群)880人と、COPD患者373人を対象に、インターネット調査を行った。

 その結果、COPDリスク群の47%に症状があり、その68%が症状の改善を望みながらも、受診行動をとったのは18%であることが示された。患者の多くは、「重症になると酸素吸入が必要になる」「気づかないうちに進行する」ことを知っていれば、もっと早い時期に受診行動をとったと回答した。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)を知る~あなたの肺、おいくつですか?~
東京都が公開しているビデオ

COPDのリスク群で受診行動をとったのは18%
 調査では、COPDリスクとして、通算の喫煙歴が20年以上で、COPDの診断がされていない50~60代とした。患者は、喫煙歴があり、医療機関でCOPDの確定診断がされている50~70代を対象とした。

 リスク群の74%はCOPDという疾患を認知しており、47%に症状があり、うち68%が症状を改善したいと思いながらも、実際に受診行動をとったのは18%だった。

 受診行動をとらない理由は、「通院するほど症状がひどくないから」が51%、「加齢による症状で仕方ないと思っていたから」が40%、「病気だと思っていなかったから」が29%だった。

 リスク群が知っているCOPDの特徴としては、「重症になると酸素吸入が必要になる」31%、「新型コロナ感染症による肺炎の重症化因子である」20%、「気づかないうちに進行する」20%があげられ、COPDのリスクを認知している割合が低いことが示された。

 「COPDの主な自覚症状は労作時の息切れ、咳・痰ですが、これらの症状がCOPDという疾患によるものであると気づかず、確定診断や治療開始が遅れてしまうという可能性があります。また、COPDは新型コロナの重症化のリスク因子であることも報告されており、早期に診断し、適切な管理を行うことが重要です」と、同社では述べている。

「重症になると酸素吸入が必要になる」「新型コロナ感染症による肺炎の重症化因子である」などを知っていれば、受診が早期化する可能性が

出典:日本ベーリンガーインゲルハイム、2021年
予防と早期発見が大切
 一方、COPDの治療を受けている患者では、現在の治療への満足度は、「とても満足している」2%、「満足している」16%となり、現在の治療効果に満足していない患者の割合が高いことが示されました。今後の治療に望むこととしては、病気の進行を止める・完治することを含めた「症状改善」「効果の高い薬剤」が34%と多かった。

 「現在のCOPD治療に満足している患者が18%にとどまるという結果は、COPDの診断と治療介入が遅れたために、病状が進行し、患者が期待するほどの治療効果が得られていないことが要因のひとつとして考えられます。早期にCOPDが診断され、適切な診療と治療が開始されることにより、治療への満足度が上がることが期待されます」と、調査を監修した奈良県立医科大学呼吸器内科学講座の室繁郎教授は述べている。

 「比較的長期の喫煙歴がある方々、なかでも呼吸器症状を自覚しておられる方々は、未診断COPDである可能性は十分にあります。未診断のCOPD潜在患者が多数おられるといった事実と、今回明らかとなった患者視点からのCOPD診療の実態を広く周知することで、リスクを有する方々が早期受診され、ひいては疾患の重症化の防止につながることが期待できるのではないでしょうか」としている。

ベーリンガーインゲルハイム

イキイキTOWN
咳や痰、COPDなどの呼吸器症状のある人に医療機関の受診を勧めている。

COPD-jp.com
COPDの疾患に関する詳しい情報を提供している。
[Terahata]

「特定保健指導」に関するニュース

2023年02月27日
毎日のウォーキングで女性の認知症を予防 活発な運動を1日30分増やすと認知症リスクは21%低下
2023年02月27日
「子宮頸がん(HPV)ワクチン」の安全性をあらためて支持 「副反応説」には科学的欠陥が 近畿大学
2023年02月24日
「難聴」の高齢者は認知症リスクが61%上昇 加齢性難聴は高齢者の3分の2に影響 適切なケアが重要
2023年02月20日
コロナ禍で孤独を感じる人が増えている 孤独はうつ病や認知症のリスクを高める こうして孤独を解消
2023年02月20日
【新型コロナ】なぜ男性は女性よりも重症化しやすい? 後遺症は女性の方が多いという報告も
2023年02月20日
「良い睡眠」に心臓病・脳卒中・脂肪肝の予防効果 「運動」で睡眠を改善 とくに女性で高い効果
2023年02月20日
「認知症の前段階」が5分でわかる 早期発見し認知症を予防 「バランスWiiボード」を活用
2023年02月14日
新型コロナの後遺症は「健康的な生活スタイル」により減少 心理的・社会的なストレスも影響
2023年02月14日
【新型コロナ】施設での感染拡大を防ぐために 適切な換気で「エアロゾル感染」を予防 気流の確認と管理が必要
2023年02月13日
【新型コロナ】加熱式タバコでも感染と重症化のリスクは上昇 燃焼式タバコと併用するとさらに危険
アルコールと保健指導

トピックス・レポート

無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(毎週木曜日・約11,000通)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶