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COPD(慢性閉塞性肺疾患)について知っていますか? 咳・痰・息切れがある人は要注意
2021年10月26日
咳・痰・息切れがあり、進行・悪化すると自力では呼吸が難しくなる慢性閉塞性肺疾患(COPD)。
COPDを早期診断するために、その特徴を正しく知ることが必要となる。
COPDを早期診断するために、その特徴を正しく知ることが必要となる。
COPDの有病者は多いが、予防の知識は十分に知られていない
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、タバコの煙などの有害な物質を長い間吸い続けることで起こる肺の病気。COPD患者の肺では、空気の通り道である気道が炎症を起こしたり、酸素を取り込む肺胞の壁が壊れるなどして、動いた時に息切れをしたり、慢性的に咳や痰が続く。
国内の調査では、40歳以上の約530万人、70歳以上の約210万人がCOPDに罹患していると報告されている。COPDの有病者は多いが、予防が可能な病気であることは十分に知られていない。
日本ベーリンガーインゲルハイムは2021年7月に、全国の喫煙歴のあるCOPD罹患リスクのある成人(COPDリスク群)880人と、COPD患者373人を対象に、インターネット調査を行った。
その結果、COPDリスク群の47%に症状があり、その68%が症状の改善を望みながらも、受診行動をとったのは18%であることが示された。患者の多くは、「重症になると酸素吸入が必要になる」「気づかないうちに進行する」ことを知っていれば、もっと早い時期に受診行動をとったと回答した。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)を知る~あなたの肺、おいくつですか?~
東京都が公開しているビデオ
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COPDのリスク群で受診行動をとったのは18%
調査では、COPDリスクとして、通算の喫煙歴が20年以上で、COPDの診断がされていない50~60代とした。患者は、喫煙歴があり、医療機関でCOPDの確定診断がされている50~70代を対象とした。
リスク群の74%はCOPDという疾患を認知しており、47%に症状があり、うち68%が症状を改善したいと思いながらも、実際に受診行動をとったのは18%だった。
受診行動をとらない理由は、「通院するほど症状がひどくないから」が51%、「加齢による症状で仕方ないと思っていたから」が40%、「病気だと思っていなかったから」が29%だった。
リスク群が知っているCOPDの特徴としては、「重症になると酸素吸入が必要になる」31%、「新型コロナ感染症による肺炎の重症化因子である」20%、「気づかないうちに進行する」20%があげられ、COPDのリスクを認知している割合が低いことが示された。
「COPDの主な自覚症状は労作時の息切れ、咳・痰ですが、これらの症状がCOPDという疾患によるものであると気づかず、確定診断や治療開始が遅れてしまうという可能性があります。また、COPDは新型コロナの重症化のリスク因子であることも報告されており、早期に診断し、適切な管理を行うことが重要です」と、同社では述べている。
「重症になると酸素吸入が必要になる」「新型コロナ感染症による肺炎の重症化因子である」などを知っていれば、受診が早期化する可能性が
出典:日本ベーリンガーインゲルハイム、2021年
予防と早期発見が大切
一方、COPDの治療を受けている患者では、現在の治療への満足度は、「とても満足している」2%、「満足している」16%となり、現在の治療効果に満足していない患者の割合が高いことが示されました。今後の治療に望むこととしては、病気の進行を止める・完治することを含めた「症状改善」「効果の高い薬剤」が34%と多かった。
「現在のCOPD治療に満足している患者が18%にとどまるという結果は、COPDの診断と治療介入が遅れたために、病状が進行し、患者が期待するほどの治療効果が得られていないことが要因のひとつとして考えられます。早期にCOPDが診断され、適切な診療と治療が開始されることにより、治療への満足度が上がることが期待されます」と、調査を監修した奈良県立医科大学呼吸器内科学講座の室繁郎教授は述べている。
「比較的長期の喫煙歴がある方々、なかでも呼吸器症状を自覚しておられる方々は、未診断COPDである可能性は十分にあります。未診断のCOPD潜在患者が多数おられるといった事実と、今回明らかとなった患者視点からのCOPD診療の実態を広く周知することで、リスクを有する方々が早期受診され、ひいては疾患の重症化の防止につながることが期待できるのではないでしょうか」としている。
ベーリンガーインゲルハイム
イキイキTOWN咳や痰、COPDなどの呼吸器症状のある人に医療機関の受診を勧めている。 COPD-jp.com
COPDの疾患に関する詳しい情報を提供している。
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