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【新型コロナ】良い睡眠は免疫システムを高めるために必要 睡眠を改善するための5つの方法

 良い睡眠をとることは、疲労を回復し、健康を維持し、肥満やメタボのリスクを減らすためにも必要だ。
 睡眠をとれていないと、食欲を調節するホルモンの分泌にも悪い影響が出てくる。
 睡眠は体の免疫システムの機能を高めるのにも役立つ。新型コロナやウイルスとの戦いに打ち克つため、十分な睡眠をとる必要がある。
睡眠は肥満・メタボに影響 コロナ禍に打ち克つためにも良い睡眠を
 米国立睡眠財団によると、睡眠を十分にとれていないと、食べ過ぎと体重増加に関わるホルモンの分泌が乱れやすくなる。睡眠をとれていないと、食欲を調節するレプチンやグレリンといったホルモンの分泌に悪い影響が出てきて、空腹感や食欲が高まり、食べ過ぎにつながりやすい。

 睡眠不足は成長ホルモンの欠乏とコルチゾールのレベル上昇にも関連しており、どちらも肥満に関わっている。さらに、睡眠不足により食物の消化・吸収にも悪影響が出てくる。

 新型コロナの拡大にともなうストレスの増加は、睡眠にも関わっていると考えられている。十分な睡眠はメンタルヘルスを高める促進剤であり、ストレス、うつ病、不安症を打ち負かすのに役立つとしている。

 夜間にしっかりと休息をとることは、昼間に思考・記憶・学習・意思決定などを高めるために必要だ。睡眠は気分も高める。睡眠不足であると、イライラしたり、活力を失ったり、うつの感情が引き起こされることは、多くの人が体験している。

 睡眠は健康を維持し、体の免疫システムの機能を高めるのにも役立つ。ウイルスとの戦いに打ち克つため、十分な睡眠をとる必要がある。睡眠不足が新型コロナのワクチンの効果を低下させる可能性があるという報告も発表されている。
睡眠時間が短いと食べ過ぎに
 米国睡眠医学会なども、成人に1晩に7時間以上の睡眠をとることを勧めている。

 十分な睡眠時間をとれていないと、高カロリーであったり、炭水化物や糖質、脂肪、カフェインが多く含まれる、栄養価の低いジャンクフードを食べ過ぎてしまうおそれがあることが、オハイオ州立大学の研究で明らかになった。

 十分な睡眠をとれていない人は、1日を通してお菓子やスナックを食べ、カロリーをとり過ぎている傾向も示された。これは、20~60歳の1万9,650人の米国成人のデータを解析したもの。

 7時間以上の睡眠をとっている人に比べ、睡眠時間の短い人は、カロリーが多く栄養価の低いスナックなどを、朝に食べていることが多く、1日を通しても食べる量も多かった。

 「夜遅くまで起きている生活スタイルは、運動不足、テレビやスマホなどを見ているスクリーンタイムの増加、高カロリーな食品の食べ過ぎなど、肥満や糖尿病のリスクを高める不健康な行動につながりやすいのです」と、オハイオ州立大学健康リハビリテーション科学部栄養学科のクリストファー テイラー教授は言う。

 「十分な睡眠をとることは、不健康な習慣を絶つことにつながります。逆に、夜遅くまで起きている時間が長いほど、何か食べ物を口に入れたくなる欲求が強くなります」。

 「その結果、糖尿病や肥満のリスクを高めるスナックやお菓子などを食べ過ぎてしまい、全粒穀物、野菜、果物といった健康的な食品を食べることは少なくなります。睡眠を改善することは重要です」としている。
ウォーキングなどの運動で睡眠を改善できる
 十分な睡眠時間をとり、質の良い睡眠をとるために、どうすればよいのだろうか?

 運動をすると、ぐっすり眠れるようになり、睡眠の質が良くなることが多い。運動をどのように行うと効果的かを探るため、カナダのコンコルディア大学の研究グループは、運動と睡眠について調べた15件の研究を解析した。

 「運動は睡眠を改善するのに有効ですが、運動を行う時間帯やその種類により、睡眠に対する影響は変わってくることが分かりました」と、同大学睡眠・認知・神経イメージング研究所のエマヌエル フリンポン氏は言う。

 「研究では、就寝時刻の2時間前までに終わらせていると、入眠の促進や睡眠時間の延長など、睡眠のベネフィットを得られやすいことが分かりました。一方で、就寝前の2時間前よりも後に運動をしていると、睡眠に悪影響が出やすいことが示されました」。

 その他にも、下記のことが明らかになった。

  • 夕方に適度な強度の運動をすると、とくに日中は座りがちな生活をしている人にとって、入眠を促進し、睡眠時間を改善する効果を期待できる。
  • 1回に運動をする時間は30~60分であると効果を得られやすい。
  • 運動の強度が強過ぎると、レム睡眠が少し減少することが示された。レム睡眠は急速眼球運動を特徴とする、夢をよくみる睡眠段階。レム睡眠の減少は、脳の認知機能に影響するという報告がある。夕方や夜に行う運動は、激し過ぎないものをした方が良さそうだ。

 「運動スケジュールをうまく調整して、運動が終わった後でシャワーを浴びるなどしてリラックスし、就寝前に食べ過ぎないようにしたり、水を飲み過ぎないなどの工夫をすると、睡眠を改善しやすいです」と、フリンポン氏は述べている。
睡眠を改善する5つの方法
 睡眠障害や社会的時差ぼけなど、睡眠の質を下げる要因について研究しているピッツバーグ大学医学部によると、次のことを実行すると睡眠を改善しやすい。

快眠はまずは規則正しい生活から

 規則正しい生活によって、体内時計がホルモンの分泌や生理的な活動を調節し、睡眠に備えて準備してくれる。この準備は自分の意志ではコントロールできない。体内時計を整え、体を睡眠に導くために、毎日同じ時刻に就眠・起床をすると効果的だ。

夜遅い時間に食事しない

 体内時計を整えるために規則正しい食事が望ましい。食事で摂取した食べ物が消化・吸収されるまでに2~3時間が必要となる。夜遅い時間に夕食をとると、胃の消化活動が活発になり、大脳皮質や肝臓の働きが活性化し、結果として睡眠が妨げられる。

適度な運動が良い睡眠をもたらす

 日中に体をアクティブに動かし運動する習慣のある人は、質の良い睡眠を得られるという調査結果がある。30分のウォーキングなどの運動を毎日続けよう。運動の習慣化は、睡眠の質を高めるだけでなく、肥満や2型糖尿病の改善・予防にもつながる。

入浴して深部体温を上げる

 寝る少し前に体の奥の体温である「深部体温」をいったん上げると、その後に下がって、眠りに入りやすくなる。入浴には加温効果があり、運動と同じように体温を一時的に上げる。就寝1~2時間前に入浴すると深部体温が上がり、その後に睡眠に入りやすくなる。

光で体内時計を整える

 朝に太陽光を浴びると体内時計が24時間周期にリセットされる。起きたらまずカーテンを開けて、自然の光を部屋の中に取り込むと効果的だ。

 反対に夜に強い光を浴びると睡眠が妨げられる。夜の光には体内時計を遅らせる作用があり、時刻が遅くなるほどその力は強まる。照度が100~200ルクスの家庭照明であっても、長時間浴びると体内時計が乱れる原因になる。

 スマートフォンやパソコンの画面にも注意が必要だ。スマートフォンなどの画面に含まれるバックライトには波長の短いブルーライトが含まれており、体内時計に影響を与えやすい。スマートフォンは目のすぐ近くで操作するのでとくに影響が強い。寝る前にはスマートフォンを操作しないようにしよう。

Obesity and Sleep(米国立睡眠財団 2020年11月20日)
Sleep Guidelines During the COVID-19 Pandemic(米国立睡眠財団 2021年4月7日)
Role of sleep duration as a risk factor for type 2 diabetes among adults of different ages in Japan:the Niigata Wellness study(Diabetic Medicine 2014年7月30日)
Meeting sleep recommendations could lead to smarter snacking(オハイオ州立大学 2021年9月20日)
Differences in Snacking Intakes by Meeting Sleep Recommendations(Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics 2021年9月1日)
Intense workouts before bedtime won't guarantee a good night's rest, new research shows: Evening exercise is better for uninterrupted sleep(コンコルディア大学 2021年9月28日)
The effects of evening high-intensity exercise on sleep in healthy adults: A systematic review and meta-analysis(Sleep Medicine Reviews 2021年12月)
The Social Jet Lag Study(ピッツバーグ大学)
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