ニュース

特定保健指導+予防医療プログラム 地域の特性に合わせた指導でメタボ改善 保健師によるきめ細やかな対応が効果的

 山形県東置賜郡高畠町は、町民のメタボリックシンドローム改善に向け、山形市のNPO法人地域健康プランと共同で研究を実施。独自の予防医療プログラムを運営している。

 2013年度から共同で実践している研究で、3年後に平均の体格指数(BMI)を改善させることに成功した。

 町の保健師による地域の現状に合わせたきめ細やかな指導が成果を後押しした。「全国的に統一された基準と方法だけでは、地域住民の行動の変化を促進し維持するのに十分ではない可能性があります」としている。
町の現状にあわせてきめ細やかな保健指導を行う予防医療プログラム
 高畠町は、山形県の南東にある人口約2万3,000人の町。2016年に第2次げんき高畠21を策定し、町民の健康増進に取り組んでいる。

 特定健診の受診率は、2019年には55.3%に向上した。電話による受診勧奨や、ターゲットとなる町民の特性に合わせたメッセージや効果検証を行うなど、町の保健師などが町民1人ひとりに合わせて行ったきめ細やかな指導を目指している。

 一方で、40代の特定健診の受診率は39.3%と伸び悩んでいる。メタボリックシンドロームの該当者の割合も21.9%、予備群の割合は11.0%と、目標に達していない。

 また、町の2019年の調査によると、運動習慣者の割合は男性34.6%、女性29.1%、適正体重を維持している人の割合は男性66.7%、女性74.1%と、前回の調査より改善しているものの、健診で要指導以上の判定を受けた人は、血圧値は52.8%、血糖値は74.0%と、高い割合になっている。

 そこで、町民のメタボリックシンドローム改善に向け、町はNPO法人地域健康プランと共同で、独自の予防医療プログラムを運営し、2013年度より共同で研究を開始した。

 現在、実施している特定健診、全国一律である特定保健指導の基準や方法だけでは、町民の行動変容を起こしにくく、それを維持していくことも難しいと考えた。

 そこで、調査で収集したデータを解析し、町の現状にあわせたアプローチ法を検討、将来、心疾患や脳卒中など、健康に大きな影響をあたえる可能性の高い疾患のハイリスク集団へ集中的な介入をおこなう予防医療プログラムを作成した。

集中的な介入により長期にわたるメタボ改善の効果を
 この予防医療プログラムを、生活習慣病のリスクが高いと判定された町民195人を対象に2014~2017年に実施。研究成果は、国際的学術誌「Risk Management and Healthcare Policy」に掲載された。

 対象となったのは、特定健診や医療費のデータ解析により、メタボのリスクが高いと判定された町民。保健指導に予防医療プログラムを追加し、効果を得られるかを検証する前向き介入研究を行なった。

 参加者の年齢は65歳以下、体格数(BMI)は25以上、推定糸球体濾過率(eGFR)は90ml/min/1.73m²以下だった。78人を介入群に、117人を対照群に割り当てた。

 1年後、介入群ではBMIは26.7±2.17(対照群は27.3±2.12)、eGFRは72.2±11.1ml/min/1.73m²(73.1±10.5)と有意差はつかなかったが、3年後には、BMIは26.4±2.05(対照群は27.4±2.26)と有意差がついた。

 保健師による地域の現状にあわせたきめ細やかな指導と集中的な介入により、長期にわたりメタボ改善の効果を得られることが示された。介入により長期的には医療費削減につながる可能性がある。

 「全国的に統一されたガイダンスの基準と方法だけでは、行動の変化を促進し維持するのに十分ではない可能性があります。1人ひとりにリスク要因に対応し、調整したアプローチが求められており、地域に適した予防医療プログラムが必要です」と、研究者は述べている。

山形県東置賜郡高畠町
特定非営利活動法人 地域健康プラン
Efficacy of Additional Intervention to the Specific Health Guidance in Japan: The Takahata GENKI Project(Risk Management and Healthcare Policy 2021年9月21日)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「特定保健指導」に関するニュース

2025年06月10日
【アプリ活用で運動不足を解消】1日の歩数を増やすのに効果的 大阪府健康アプリの効果を8万人超で検証
2025年06月09日
【睡眠改善の最新情報】大人も子供も睡眠不足 スマホと専用アプリで睡眠を改善 良い睡眠をとるためのポイントは?
2025年06月09日
健康状態が良好で職場で働きがいがあると仕事のパフォーマンスが向上 労働者の健康を良好に維持する取り組みが必要
2025年06月09日
ヨガは肥満・メタボのある人の体重管理に役立つ ヨガは暑い夏にも涼しい部屋でできる ひざの痛みも軽減
2025年06月05日
【専門職向けアンケート】飲酒量低減・減酒に向けた酒類メーカーの取り組みについての意識調査(第2回)
2025年06月02日
【熱中症予防の最新情報】職場の熱中症対策に取り組む企業が増加 全国の熱中症搬送者数を予測するサイトを公開
2025年06月02日
【勤労者の長期病休を調査】長期病休の年齢にともなう変化は男女で異なる 産業保健では性差や年齢差を考慮した支援が必要
2025年06月02日
女性の月経不順リスクに職場の心身ストレスが影響 ストレスチェック活用により女性の健康を支援
2025年06月02日
自然とのふれあいがメンタルヘルスを改善 森が人間の健康とウェルビーイングを高める
2025年05月30日
都民の健康意識は高まるも特定健診の受診率は66% 「都民の健康と医療に関する実態と意識」調査
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,800名)
登録者の内訳(職種)
  • 医 師 3%
  • 保健師 47%
  • 看護師 11%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 20%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶