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【新型コロナ】あおもり藍葉の天然成分が感染を防止 ウイルスのスパイクタンパク質の結合を阻害

 近畿大学・東北医科薬科大学・富山大学・神戸大学の研究グループは、青森県で栽培されたタデ藍の葉から抽出した「あおもり藍葉エキス」が、新型コロナウイルスのヒト細胞への侵入を防ぎ、新型コロナの感染予防に役立つ可能性があることを発見した。

 あおもり藍葉エキスは、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質のヒト細胞受容体への結合を阻害するという。1万倍以上に希釈しても阻害効果を発揮し、人体に安全な濃度で使用できる。

 研究成果を、新型コロナウイルスへの感染を予防する点鼻薬などに役立てることなどが期待されている。

あおもり藍葉エキスが新型コロナウイルスのスパイクタンパク質が受容体へ結合するのを阻害

 近畿大学・東北医科薬科大学・富山大学・神戸大学の研究グループは、「あおもり藍葉エキス」が、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質のヒト細胞受容体への結合を阻害することを発見した。

 あおもり藍葉エキスは、青森県で農薬不使用により栽培されたタデ藍の葉から抽出したエキス。抗菌性や消臭性に優れ、消臭スプレーなどの商品に活用されている。さらに近年、農作物の病害予防や成長促進効果、抗インフルエンザウイルス効果などがあることも分り、さまざまな研究が進んでいる。

 スパイクタンパク質は、ウイルスのもっとも外側の構造で、ウイルスがヒト細胞に侵入する際に必要となるタンパク質。新型コロナウイルスがヒトの細胞に侵入する際、スパイクタンパク質がヒト細胞表面にある受容体に結合することが最初のステップとなる。

 そこで研究グループは、スパイクタンパク質と受容体の結合を阻害する成分の発見を目指して研究を行った。まず、体内でのウイルスの結合を再現する細胞の実験系を樹立し、スパイクタンパク質を蛍光標識することで、細胞に結合したスパイクタンパク質の量を測定できる手法を確立した。

 次にさまざまな天然物や化合物を、スパイクタンパク質と同時に細胞実験系に添加したところ、青森県で栽培されたタデ藍の葉から抽出したあおもり藍葉エキスを使用した際に、受容体に結合するスパイスタンパク質の量が減少することを突き止めた。

 この結果から、あおもり藍葉エキスが、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質が受容体へ結合するのを阻害することが明らかになった。

 また、このエキスを1万7,300倍に希釈しても、阻害効果が確認できたため、人体に十分安全な濃度で使用可能であり、研究成果を新型コロナウイルスへの感染を予防する点鼻薬などに役立てることが可能だという。

 研究は、近畿大学医学部病理学教室主任教授の伊藤彰彦氏、東北医科薬科大学薬学部生薬学教室教授の佐々木健郎氏、富山大学学術研究部医学系(計算創薬・数理医学講座)教授・神戸大学大学院医学研究科客員教授の髙岡裕氏らの研究グループによるもの。研究成果は、国際的な学術誌「Experimental and Therapeutic Medicine」に掲載された。

あおもり藍の葉と抽出された「あおもり藍葉エキス」
出典:神戸大学、2022年

あおもり藍葉エキスを1万7,300倍に希釈しても結合阻害の効果が

 近畿大学医学部を中心とする研究グループは、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質が、ヒト細胞の受容体であるACE2(アンジオテンシン変換酵素2)に結合するのを阻害する天然物の発見を目指して研究を行っている。

 まず、スパイクタンパク質と受容体の結合を再現する細胞培養系を樹立するため、ACE2を定常的に細胞表面に発現するイヌ腎上皮細胞と、蛍光標識した組換えスパイクタンパク質を用意した。上皮細胞を通常培養した後、スパイクタンパク質を細胞培養液に添加し、細胞に結合したスパイクタンパク質の量を蛍光の強度で測定した。

 次に、スパイクタンパク質と同時に種々の天然物エキスや天然化合物を培養液に添加し、蛍光強度が減弱するかを検証した。その結果、青森市のあおもり藍産業が栽培管理し、青森県で農薬不使用により栽培されたタデ藍の葉から抽出したあおもり藍葉エキスを添加した際に、スパイクタンパク質の量を示す蛍光が減少し、スパイクタンパク質がACE2へ結合するのを阻害することが明らかになった。また、添加するあおもり藍葉エキスを1万7,300倍に希釈しても、結合阻害効果を確認できた。

培養細胞系を蛍光観察した画像
(左) ACE2が発現していない通常の細胞に、蛍光で標識したスパイクタンパク質を添加した場合
(中央) ACE2を定常的に発現させた細胞に蛍光で標識したスパイクタンパク質を添加した場合
(右) 中央の状態に、さらにあおもり藍葉エキスを添加した場合
出典:神戸大学、2022年

ウイルス増殖を阻害するトリプタンスリン以外にも有効成分が含まれる?

 あおもり藍葉エキスは、藍に含まれるアルカロイドである「トリプタンスリン」を高濃度に含有している。トリプタンスリンは、新型コロナウイルスと異なる種類のコロナウイルスの増殖を阻害することが知られているため、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質とACE2の結合阻害効果はトリプタンスリンが要因である可能性が考えられた。

 そこで、あおもり藍葉エキスの代わりに、同濃度のトリプタンスリンを培養系に添加したところ、スパイクタンパク質とACE2との結合は阻害されたが、その阻害効果はあおもり藍葉エキスの半分程度にとどまった。

 さらに、トリプタンスリンによる結合阻害について、コンピュータシミュレーションによって検証したところ、トリプタンスリンが優先的に結合するスパイクタンパク質のアミノ酸残基は、スパイクタンパク質がACE2と結合するアミノ酸残基と同一であることが分かった。つまり、トリプタンスリンはスパイクタンパク質がACE2に結合する際に、競合的に働くと考えられる。

 以上のことから、あおもり藍葉エキスは、含有するトリプタンスリンがスパイクタンパク質とACE2との間に介在することで、スパイクタンパク質のACE2への結合を阻害していると考えられる。また、このエキスはトリプタンスリン以外にも結合阻害成分を含有している可能性も示唆された。

 「あおもり藍葉エキスは、オレンジの皮から精製した成分であるd-リモネンを抽出する際の溶媒として用いられており、既存のアルコール抽出エキスなどとは異なる成分を数多く含んでいます。それら成分のいずれかが結合阻害に寄与していると考えられ、今後はその成分の同定に取り組む予定です」と、研究グループでは述べている。

 また、「あおもり藍葉エキスは十分に希釈した、ヒトに安全な濃度で阻害効果を発揮できるため、新型コロナウイルスへの感染を予防する点鼻薬などへの実用化を目指し、研究を継続します」としている。

近畿大学医学部病理学教室
東北医科薬科大学薬学部生薬学教室
神戸大学大学院医学研究科
Indigo Plant Leaf Extract Inhibits the Binding of SARS-CoV-2 Spike Protein to Angiotensin-Converting Enzyme 2 (Experimental and Therapeutic Medicine 2022年2月10日)
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