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「旅行セラピー」のすすめ 活動的な休日はメンタルヘルスと幸福の向上に役立つ
2022年07月11日
音楽セラピーや芸術セラピーについて聞いたことのある人は多いだろうが、「旅行セラピー」についてはどうだろう。
最近の研究は、「旅行セラピー」により、観光の見方を変えることを提案している。
休暇をとり旅行に行くことは、メンタルヘルスの問題を抱えている人にとって、多くの面でプラスの影響をもたらす可能性があるという。
観光は、レクリエーション体験としてだけでなく、健康上の大きな利益をもたらす機会にもなりえる。
旅行はメンタルヘルスにどんな効果をもたらすか
研究は、オーストラリアのエディスコーワン大学の精密医療センターとビジネス ロースクールが共同で行ったもの。研究は、「ポジティブ心理学にもとづく認知症治療としての観光」と題して発表された。 観光・公衆衛生・マーケティングなどの多様な分野の専門家で構成された研究グループが、観光が認知症の人にどのように有用な効果をもたらすかを調査した。 「認知症の治療として、食事や運動などの生活スタイルの改善、認知や感覚への刺激、環境への適応、メンタルヘルスケアなどに加え、音楽セラピーや芸術セラピーも有用であることはよく知られています」と、同大学の主任研究員のジュン ウェン氏は言う。 「今回の研究は、休日を利用した観光体験が、認知症への対応として、どのように機能する可能性があるかを検討したはじめてのものです」としている。旅行は心と体に多くの作用をもたらす
旅行には、▼感情経験(感情や気分への影響)、▼認知経験(思考や記憶への影響)、▼感覚経験(感覚への影響)、▼経験への働きかけ(行動による影響)、▼予測と計画(脳機能への刺激)といった要素がある。 「旅行中は、ふだんより多く歩くことが多く、身体活動の増加につながります。運動はメンタルの健康にも影響します。また、環境を新しくし、新しい経験をすることは、認知および感覚への刺激となります」と、ウェン氏は言う。 旅行先では、食事もふだんとは違ったものになる。食事のメンタルヘルスへの影響も大きい。一般的に、食事は複数の人と交流するための社会的な行為であり、家族で食事をすることが認知症患者の食事行動にプラスに影響することが分かっている。 さらに、新鮮な空気を吸い、日光を浴びることが、ビタミンDやセロトニンのレベルに影響する可能性がある。日光を浴びることで、ビタミンDが生成される。セロトニンは、脳を活発に働かせる神経伝達物質のひとつで、ビタミンDにはセロトニンの生成を助ける働きがある。旅行によりうつ病・不安・ストレスが軽減
コロナ禍により旅行のあり方にも変化が求められている
さらに、近年の新型コロナの流行は、旅行のあり方にも変化をもたらしている。コロナ禍により、生活スタイルや経済的要因を超えた観光の価値について、疑問が投げかけられているという。 「観光は、身体的・心理的幸福を高めることが示されています。そのため、新型コロナ以降は、健康な観光客だけでなく、基礎疾患があるなど感染症に対して脆弱な人々にとっても、どのように安全な観光の機会を提供できるかが公衆衛生上の課題になっています」と、ウェン氏は言う。 観光や旅行は、個人の楽しみだけのものではなく、産業でもある。観光業が現代社会で果たす役割についても再考する必要があるとしている。 「観光業が、さまざまな条件の人々の生活をどのように向上できるかを調査するため、新しい共同研究を開始することを望んでいます」。 「旅行のメリットについての考え方は新しいものではありません。私たちは、観光と健康科学のあいだの橋渡しをして、認知症の人々を助けるために観光のコンポーネントを実装する方法を提案したいと考えています」としている。 'Travel therapy': Could holidays help mental health and wellbeing? (エディスコーワン大学 2022年6月23日)Tourism as a dementia treatment based on positive psychology (Tourism Management 2022年10月)
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