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特定健診を受けた日に健康相談が受けられるサービスを開始 健診結果に関わらず保健師などが対応 京都府
2022年11月22日

京都府で特定健診(メタボ健診)を毎年受診している人の割合は、男性では10人に3人、女性では4人に1人。府では「年に1回健診を受けましょう」などと呼びかけているが、なかなか受診率の向上を達成できないでいる。
そこで、特定健診を受けたその日に、保健師や管理栄養士などに健康相談ができる新しいサービスを開始した。健診を受けた日を「健康について考える日」と定め、府民にライフステージに応じて、自らの健康維持や疾病・介護予防に取り組んでもらうことを促している。
京都府民の平均寿命と健康寿命の差は10年 対策が必要
平均寿命と健康寿命の差は、健康上の問題で何らかの生活が制限されている期間の長さを示しているが、京都府民のこの差が約10年ある。府によると、男性は9.55年、女性は13.38年の差があり、男女ともに全国でも低い水準になっており、とくに女性の健康寿命は全国最下位と深刻だ。 京都府では、府民の健康寿命を5年間で1歳延伸することを目標に、2015年度から「きょうと健康長寿・未病改善センター事業」を、2018年度から「健康長寿・データヘルス推進事業」を展開し、「年に1回健診を受けましょう」などと府民に呼びかけ、健康づくりの推進をはかっているが、なかなか成果を得られないでいる。 健康寿命を延伸できない理由のひとつは、府民の健診の受診率の低さだ。府の2020年度の調査によると、特定健診(メタボ健診)を毎年受診しているという人の割合は、男性で30.1%、女性で24.6%と伸び悩んでおり、とくに、女性40~49歳では7割強が「受けたことがない」と回答している。
京都府民の平均寿命と健康寿命の差は約10年ある

出典:京都府
健康診断を受けたその日に健康相談ができる新サービスを開始
府の特定健診の実施主体は、健康保険協会などの医療保険者だ。そこで、全国健康保険協会京都支部では、京都で働く人の「ヘルスリテラシー向上」を目指して、広報プロジェクト「健康の現在値(いま)をみよう」に取り組んでいる。 その一環として新たに、健康診断を受けたその日に健康相談ができる、新たな健康診断サービス「トータルヘルスケアサポート事業」を全国に先駆けて開始した。 同協会が行っている通常の特定保健指導での健康相談は、健診結果で「高リスク」と判定された人のみを対象としているが、この事業ではより多くの人を対象とする。 「健康について考える日=健康診断(生活習慣病予防健診)を受診したその日」と定め、いつもの健診にプラスして、健診結果や生活習慣などを保健師・看護師・管理栄養士と一緒に振り返り、健康づくりをサポートする。 健診では、自身の身体のチェックを行い、メンテナンスにつなげていくことが重要となることから、この事業を2年間の試行実施を経てスタートした。
協会けんぽ京都支部広報プロジェクト
現在値(いま)が見える場所
現在値(いま)が見える場所
事業所・加入者での健診受診の促進や、特定保健指導の利用率向上などに向けて、2021年度より、「現在値(いま)が見える場所」という統一テーマを掲げた広報プロジェクトを開始。生活のなかからみえる数値「現在値(いま)」を意識して、自身の体について、考えるきっかけにしてほしいとしている。
まずは健診を受けて自分の体の現在値を知ることが大切
同協会によると、府内には健診も医療機関も受診していないおそれがあり、生活習慣病の状態が不明な人が約13万人いるという。 「自身の体の現在値をみるには、まずは健康診断を受けることが大切。年に1回の健診では、ふだんの暮らしを通信簿としてみることができます。現在値をみることは、暮らしをどう捉えて、工夫していくべきなのかを考えるための大きな指針となります」としている。 「ライフステージに応じて、自分自身の健康状態を把握し、自らの健康維持や疾病・介護予防に取り組み、医療保険制度を持続することができる仕組みづくりが必要とされています。人生100年時代を迎えるいま、ヘルスリテラシーを高め、将来も健康に過ごすために備えることが求められます」と、同協会ではコメントしている。京都府の新しい健康診断サービス「トータルヘルスケアサポート事業」 | |
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府内の特定の施設で健診(生活習慣病予防健診)を申し込むと、"健診を受けた当日"に、保健師などへ健康に関する質問や、健診結果を見ながら健康アドバイスを受けられるサービスです。 | |
受診方法 | 面談は5分程度実施します。巡回健診でも実施しています。 |
利用期間 | 2022年9月~2023年1月末日(予定) |
健康寿命の令和元年値について (厚生労働省 2021年12月20日)
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