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「低炭水化物ダイエット」と「低脂肪ダイエット」のどちらが良い? 肥満・メタボを改善する食事

 体重をコントロールするための食事法として、「低脂肪ダイエット」も「低炭水化物ダイエット」も、それぞれ長所と短所があるという研究が発表された。

 低脂肪ダイエットは、カロリー摂取量と体脂肪を減らすのに有利で、食欲を抑えるのにも役立つが、低炭水化物ダイエットは、インスリン値と血糖値をより低く安定させるという。

 「自分にどのような食事スタイルが合っているか、栄養士などの専門家とも相談しながら、よく見極める必要があります」と、研究者は指摘している。

低脂肪ダイエットと低炭水化物ダイエットは何が違う?

 低脂肪ダイエットとは、その名の通り「食事から摂取する脂質を制限する食事法」。

 食事に含まれる3大栄養素である脂質・糖質・タンパク質のなかで、脂質は1gあたりのカロリーが多いので、脂質を制限すると食事全体のカロリーコントロールを行いやすい。脂質を制限しながらタンパク質を十分に摂取すれば、筋肉が落ちにくいというメリットもある。

 一方、低炭水化物ダイエットは、糖質制限ダイエットとも呼ばれている、「食事から摂取する糖質を制限する食事法」。

 糖質は炭水化物に含まれていて、もっとも血糖値を上げやすい。糖質の摂取量を減らすことで、血糖上昇を抑えることを期待できる。カロリー制限食に比べてメニュー作りが簡単で取り組みやすく、満腹感を得やすいというメリットがある。

 最近は、1食で摂取する糖質量を40gまでに調整する(コンビニおにぎり1個に含まれる糖質は約40g)、穏やかな糖質制限を勧める食事法も提唱されている。

低脂肪ダイエットと低炭水化物ダイエットのどちらが良い?

 低脂肪ダイエットも低炭水化物ダイエットのどちらも長所・短所があるという研究が発表された。自分にどのような食事スタイルが合っているか、よく見極める必要があるとしている。

 植物性食品をベースに、低脂肪のスタイルの食事を続けると、動物性食品をベースに、低炭水化物のスタイルの食事をしたときに比べ、毎日のカロリー摂取量は少なくなるものの、インスリン値と血糖値は高くなりやすいという。研究は、米国国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所(NIDDK)によるもの。

 「これまで高脂肪の食事スタイルは、1度に摂取するカロリーが多くなりがちで、全体のカロリー摂取が多くなると考えられていました。また、高炭水化物の食事スタイルは、血糖値とインスリンの変動を大きくし、空腹感も高め、過食につながるおそれがあります」と、同研究所生理学研究室のケビン ホール氏は言う。

 「今回の研究では、低炭水化物ダイエットと、低脂肪ダイエットのどちらが、より少ないカロリー摂取をもたらすかを調べました。その結果、それぞれ長所も短所もあることが示されました」としている。

どちらの食事スタイルにも長所と短所が

 研究グループは、糖尿病のない20人の成人を対象に4週間連続の試験を行った。植物性食品ベースの低脂肪食または動物性食品ベースの低炭水化物食のいずれかを2週間摂取してもらい、その後すぐに食事スタイルを交換して2週間摂取してもらった。

 植物ベースの低脂肪ダイエットには、脂肪が10.3%、炭水化物が75.2%、それぞれ含まれていた。動物ベースの低炭水化物ダイエットには、炭水化物が10%、脂肪が75.8%含まれていた。どちらの食事スタイルも14%のタンパク質が含まれた。また、低炭水化物ダイエットは低脂肪ダイエットに比べ、食品1gあたりのカロリーが2倍だった。

 その結果、低脂肪ダイエットでは、低炭水化物ダイエットに比べ、1日あたりの摂取カロリーが550~700kcal少なくなったが、空腹感や食事の楽しみ、満腹感について、2つの食事スタイルで差はでなかった。また、両方の食事スタイルでも体重は減ったが、体脂肪の大幅な減少につながったのは低脂肪ダイエットだった。

適切な食事スタイルは1人ひとり異なる

 「炭水化物、とくに糖質を多く含む食事スタイルでは、血糖値とインスリン値の変動が大きくなりましたが、植物食品ベースの低脂肪ダイエットを行った人では、カロリー摂取量と体脂肪が大幅に減少しました。一方、動物食品ベースの低炭水化物ダイエットでは、脂肪を多く摂っているにもかかわらず、体重は増加しませんでした」と、ホール氏は指摘している。

 「興味深いのは、少なくとも短期的には、両方の食事スタイルにそれぞれベネフィットがあることが示されたことです。低脂肪で植物ベースの食事スタイルは、食欲を抑えるのに役立ちますが、低炭水化物で動物ベースの食事スタイルは、インスリン値と血糖値をより低く安定させるといった具合にです」。

 「もっとも適切な食事スタイルは、1人ひとりみな異なり、栄養素のどれかを減らして別の栄養素を増やしても、それが必ずしも良い結果につながるわけではないことが示されました。この食事スタイルであれば絶対的に良いということはないのです」としている。

 なお、研究グループの過去の研究では、ジャンクフードなどの超加工食品を多く摂る食事スタイルは、炭水化物と脂肪のバランスが変わらない場合でも、過食や体重増加につながりやすいことも示されている。どの食事スタイルでも、脂肪や糖質、塩分が多く含まれる超加工食品はなるべく控えた方が良いことが示された。

栄養士などの専門家に相談を

 「私たちの体のなかには、私たちが食べたもの以外から作られるものは何も存在しない。体は食事次第で、良くも悪くもなる」という考え方がある。

 糖尿病の食事療法は、一生涯にわたり継続することが大切になる。そのためには、個々の人の生活スタイル、食事の好みに応じながら、病態の違い、年齢なども考慮し、柔軟に進める必要がある。

 食事や栄養の専門家である管理栄養士が食事指導に参加すると、糖尿病の人の血糖管理をより改善しやすくなり、体重減少、HbA1cの改善、悪玉コレステロールの低下など、好ましい変化を得られるという研究も発表されている。

 どのような食事法をしていても、糖質・タンパク質・脂質を極端に摂り過ぎないようにすることが大切で、医療機関で定期的に検査を受け、血糖値や血圧、脂質、体重、腎臓病などのチェックをすることも大切だ。

 糖尿病の食事療法を実践するときは、食事の支援やアドバイスのスキルのある管理栄養士に早くから参加してもらい、個別のアドバイスをもらうことが推奨されている。食事で困ったり悩んでいるときは、1人で悩んでいないで、管理栄養士に相談するのはひとつの方法となる。

NIH study compares low-fat, plant-based diet to low-carb, animal-based diet (米国国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所 2021年1月21日)
Effect of a plant-based, low-fat diet versus an animal-based, ketogenic diet on ad libitum energy intake (Nature Medicine 2021年1月21日)
NIH study finds heavily processed foods cause overeating and weight gain (米国国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所 2019年5月16日)
A systematic review and meta-analysis of nutrition therapy compared with dietary advice in patients with type 2 diabetes (American Journal of Clinical Nutrition 2017年11月1日)
Prospective Randomized Controlled Trial to Evaluate Effectiveness of Registered Dietitian-Led Diabetes Management on Glycemic and Diet Control in a Primary Care Setting in Taiwan (Diabetes Care 2009年11月12日)
[Terahata]

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