ニュース
「ジャガイモ」は肥満・メタボの人に良くない? 工夫して食べれば健康的 どんな食べ方をすれば良い?
2022年12月13日

ジャガイモは、糖質が多く含まれので、「肥満・メタボの人は食べない方が良い」と考えている人は多い。
しかし、食べ方を工夫すれば、ジャガイモは体重を増やしたくないという人にも安全で有益とした研究が、米国糖尿病学会が刊行している「Diabetes Care」に発表された。
ジャガイモは栄養価が高い食材なので、食べ過ぎには注意が必要となるものの、適量を積極的に食べた方が良いとしている。
では、ジャガイモはどんな食べ方をすれば良いのだろうか?
ジャガイモは肥満・メタボの原因にならない
ジャガイモは、早く吸収される糖質が含まれ、血糖や中性脂肪を上げやすいので、「肥満・メタボの人は食べない方が良い」と考えている人は多い。
しかし実際には、ジャガイモが糖尿病リスクを上昇させることはないという研究結果を、オーストラリアのエディス コーワン大学(ECU)が発表した。
茹でたジャガイモも含め、ジャガイモを使った料理の多くは、体重を増やしたくないという人にも安全だとしている。ジャガイモは栄養価が高く、利用しやすい食材なので、食べ過ぎには注意が必要となるものの、積極的に使った方が良いとしている。
ただし、油で揚げたフライドポテトや、バターや牛乳を加えたマッシュポテトは、高カロリーで脂肪も多く含まれるので、避けた方が良いとしている。100gあたりのカロリーは、フライドポテトは237kcal、マッシュポテトは357kcalにもなる。
ジャガイモは血糖値を上げやすい?
ジャガイモは、日本でも1年を通して手に入りやすく、価格も安く比較的安定している。調理方法も、茹でる・蒸す・焼く・揚げるなど豊富にある。煮物や炒め物、カレーなど、さまざまなメニューに活用できるので人気が高い。
蒸したジャガイモ100g(皮なし)のカロリーは76kcal、炭水化物は18g含まれ、そのほとんどは吸収の早い単糖だ。ただし、イモ類に含まれる糖質はデンプンが多く、ジャガイモも白米に比べると血糖値を上昇させにくいとされている。食物繊維も3.5g含まれる。
その他にも、ビタミンC、ビタミンB、カリウム、マグネシウムなどの大切な栄養素も含まれる。ジャガイモは可食部だけではなく、皮にも栄養が多く含まれている。
野菜には肥満や糖尿病リスクを軽減する重要な役割が
ジャガイモは、欧米では野菜に含まれるとみられている。野菜を十分に食べる食事スタイルが、肥満や糖尿病のリスクを下げることは、よく知られている。
「ホウレンソウ、レタス、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなどの葉物野菜やアブラナ科の野菜を多く食べている人は、肥満症や糖尿病を発症するリスクが大幅に低いことが分かりました。野菜を食べる食事スタイルは、糖尿病リスクを軽減するために重要な役割を果たしていると考えられます」と、ECU栄養・健康イノベーション研究所のニコラ ボンドノ氏は言う。
「それでは、ジャガイモはどうでしようか? 低炭水化物ダイエットの人気が高まっており、糖質が多く含まれるジャガイモは、野菜のなかでは避けられている傾向がみられます」。
「しかし今回の研究では、ジャガイモには、糖尿病のリスクを下げるなど、他の野菜と同じような利点があるわけではないにしても、やはり健康的な選択肢となりうることが明らかになりました」としている。
ジャガイモを食べても糖尿病リスクは上昇しない

野菜にジャガイモを添えると健康的な食事に
「ジャガイモは、肥満や糖尿病のリスクを減らす効果があるとは言えませんが、健康的な方法で調理すれば、悪い食物ではありません」と、ボンドノ氏は指摘している。
研究では、ジャガイモを多く食べていて糖尿病のリスクが高い人は、同時にバターや赤身の肉、高カロリーの清涼飲料なども多く摂取している傾向があることも示された。脂肪や糖質、塩分の多い高カロリーの食品を避けていれば、肥満や糖尿病のリスクを上げることにはならないとしている。
「肥満や糖尿病を予防・改善するためには、ジャガイモを他の野菜を分けて考えるべきですが、白米やパン、パスタなどの精製された穀物をジャガイモに置き換えれば、ジャガイモは良質な炭水化物の供給源になり、食物繊維やその他の栄養素も豊富に含まれているので、食事の質を向上できます」。
「炭水化物はすべてが悪いと思っている人もいますが、実際には炭水化物の種類によって健康への影響は変わってきます。ホウレンソウ、レタス、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなどの葉物野菜やアブラナ科の野菜に、茹でたジャガイモを加えれば、糖尿病リスクの低い、健康的な食事を実現できます」としている。
It's not them, it's you: why potatoes don't deserve their bad reputation (エディス コーワン大学 2022年12月6日)Vegetable, But Not Potato, Intake is Associated With a Lower Risk of Type 2 Diabetes in the Danish Diet, Cancer and Health Cohort (Diabetes Care 2022年12月5日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2023 SOSHINSHA All Rights Reserved.

「特定保健指導」に関するニュース
- 2023年02月27日
- 毎日のウォーキングで女性の認知症を予防 活発な運動を1日30分増やすと認知症リスクは21%低下
- 2023年02月27日
- 「子宮頸がん(HPV)ワクチン」の安全性をあらためて支持 「副反応説」には科学的欠陥が 近畿大学
- 2023年02月24日
- 「難聴」の高齢者は認知症リスクが61%上昇 加齢性難聴は高齢者の3分の2に影響 適切なケアが重要
- 2023年02月20日
- コロナ禍で孤独を感じる人が増えている 孤独はうつ病や認知症のリスクを高める こうして孤独を解消
- 2023年02月20日
- 【新型コロナ】なぜ男性は女性よりも重症化しやすい? 後遺症は女性の方が多いという報告も
- 2023年02月20日
- 「良い睡眠」に心臓病・脳卒中・脂肪肝の予防効果 「運動」で睡眠を改善 とくに女性で高い効果
- 2023年02月20日
- 「認知症の前段階」が5分でわかる 早期発見し認知症を予防 「バランスWiiボード」を活用
- 2023年02月14日
- 新型コロナの後遺症は「健康的な生活スタイル」により減少 心理的・社会的なストレスも影響
- 2023年02月14日
- 【新型コロナ】施設での感染拡大を防ぐために 適切な換気で「エアロゾル感染」を予防 気流の確認と管理が必要
- 2023年02月13日
- 【新型コロナ】加熱式タバコでも感染と重症化のリスクは上昇 燃焼式タバコと併用するとさらに危険