日本産業保健師会が「新任期産業保健師養成研修」「産業保健師リーダー養成研修」を開催
参加型研修を重視し、キャリアラダーに基づいた産業保健師のための研修会
日本産業保健師会が、2022年度「新任期産業保健師養成研修」「産業保健師リーダー養成研修」を開催した。
ここ数年はオンラインでの開催を余儀なくされていたが、本年度は3年ぶりの集合開催ということで注目が集まっており、募集開始から早々に定員となった好評の研修会である。
新任期/中堅期以上の産業保健師を育成するための2つの研修
2022年11月、一般社団法人 日本産業保健師会(会長:岡田睦美氏)が、2022年度「新任期産業保健師養成研修」「産業保健師リーダー養成研修」(以下、新任期養成研修/リーダー養成研修)の前期研修を神奈川県川崎市・ユニオンビルで開催した。
講義を聞くのみに留まらず、実践課題を用いた演習やグループワークといった「参加型演習」を通して、能力の強化を図ることを目的にしている。また、前期(11月)から後期(2月)までの約3カ月は、自組織でのそれぞれの課題に取り組む実践期間とするプログラムになっている。
新任期産業保健師養成研修
新任期養成研修は、産業保健師経験半年から5年未満の産業保健現場で活動している保健師が対象で、健康管理の柱である「健康診断」を通じて、保健活動の基礎知識や保健計画のスキルを習得することを目的としている。
前期研修を受けた後、各自が自組織の健康診断の現状を把握した上で「保健計画」を作成し、後期研修ではその成果発表を行い、計画のブラッシュアップを図る。また、日々の実践を計画的に行うことの重要性を学ぶ機会としている。
冒頭の講義では、日本産業保健師会が考える産業保健師の育成について、その背景や研修の意図、キャリア形成や資質の向上(キャリアラダー)が丁寧に解説された。
キャリアラダーは本来「はしご(ラダー)を登るようにキャリアアップできる仕組み」のことを指すが、本研修では日本産業保健師会が検討した「産業保健師版キャリアラダー」を用いている。上り下りや回り道といったさまざまなルートを辿り頂上を目指す、産業保健師の実態を反映したキャリアラダーを用いることで、参加者は具体的にキャリア構築を思い描ける。
産業保健師リーダー養成研修
リーダー養成研修は、産業保健師経験5年以上の産業保健現場で活動している保健師が対象で、産業保健活動推進のリーダー的立場や役割を担える保健師に必要な能力の強化を目的としている。
本研修の中心となる実践課題のテーマは、参加者が自分の担当業務の中から決める。基礎となるデータ収集や根拠法の確認、対象者や関係者から収集した情報を整理しアセスメントした後、次の実践計画を考えて文章にまとめるという一連のプロセスに取り組む。後期研修では、その実践結果を共有する。新任期研修同様、グループワークを中心に仲間とともにディスカッションすることで、多くの気づきがある。
産業保健活動の業務は年々、複雑・多様化しており、これらを担えるリーダー的役割を持つ保健師が必要とされている。しかし、現任教育は体系化されておらず、産業保健師の中堅期研修の受講率は低く、研修そのものがないという調査結果がある(平成30年度保健師の活動基盤に関する基礎調査より)。
参加型演習に比重を置いた本研修は、中堅期以上の保健師の能力強化に大きな意義をもつ。
「産業保健」に関するニュース
- 2024年04月30日
- タバコは歯を失う原因に 認知症リスクも上昇 禁煙すれば歯を守れて認知症も予防できる可能性が
- 2024年04月25日
-
厚労省「地域・職域連携ポータルサイト」を開設
人生100年時代を迎え、保健事業の継続性は不可欠 - 2024年04月23日
- 生鮮食料品店が近くにある高齢者は介護費用が低くなる 自然に健康になれる環境づくりが大切
- 2024年04月22日
- 運動が心血管疾患リスクを23%低下 ストレス耐性も高められる 毎日11分間のウォーキングでも効果が
- 2024年04月22日
- 職場や家庭で怒りを爆発させても得はない 怒りを効果的に抑える2つの方法 「アンガーマネジメント」のすすめ
- 2024年04月22日
- 【更年期障害の最新情報】更年期は健康な老化の入り口 必要な治療を受けられることが望ましい
- 2024年04月22日
- 【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い
- 2024年04月16日
- 塩分のとりすぎが高血圧や肥満の原因に 代替塩を使うと高血圧リスクは40%減少 日本人の減塩は優先課題
- 2024年04月16日
- 座ったままの時間が長いと肥満や死亡のリスクが上昇 ウォーキングなどの運動は夕方に行うと効果的
- 2024年04月15日
- 血圧が少し高いだけで脳・心血管疾患のリスクは2倍に上昇 日本の労働者8万人超を調査 早い段階の保健指導が必要