最優秀賞は「治療より予防」に注目した活動 「第11回健康寿命をのばそう!アワード」生活習慣病予防分野
このうち生活習慣病予防分野では57件の応募があり、厚生労働大臣最優秀賞1件、厚生労働大臣優秀賞2件、スポーツ庁⾧官優秀賞2件、厚生労働省健康局⾧優良賞7件を決定した。
「健康寿命をのばそう!アワード」の生活習慣病予防分野は、生活習慣病予防の啓発活動の奨励・普及を測るため、優れた啓発活動や取り組を表彰。第11回となる今年度は企業や団体、自治体から計57件の応募があった。
審査の結果、厚生労働大臣最優秀賞には、大橋運輸株式会社「『治療より予防』社内の健康経営から地域の健康活動へ。」が選ばれた。
運輸業に携わる同社は、健康に長く働き続けることを重視し、10年以上前からES(従業員満足)の一環として健康経営に取り組んできた。キーワードは「健康あっての安全」「治療より予防」で、「現役時代に良い健康習慣を身につけ定年後も健康で暮らす」を目的にしている。
具体的には勤務時間内で毎月、バランスボールやヨガなどの講師を招き、運動する機会を設けているほか、食生活にも気を配り、朝食用にバナナやトマトジュース、ゆで卵を用意するなどしている。
また禁煙・受動喫煙防止、健診・検診機会の増加、メンタルヘルスなどにも気を配り、総合的な取り組みを続けてきた結果、社員の健康意識は向上。肥満率は令和元年の39%から令和4年には20%に、喫煙率は平成25年の55%から令和4年には33%となっている。 さらに地域健康活動として市民向けの取り組みにも力を入れ、地域全体が元気になるよう目を向けている点も評価された。
一方、厚生労働大臣優秀賞には、企業部門で4社合同健康研究会(浅野製版所/サイショウ・エクスプレス/高木建設/ルピナ中部工業)による「中小企業4社が集結し、業種と地域を越えて共に社員の健康課題に挑む!」、自治体部門で熊本県南阿蘇村による『地元企業と連携した「まるっと減塩」活動による高血圧対策の推進』が選ばれた。団体部門の該当はなかった。
このうち自治体部門で優秀賞を受賞した熊本県南阿蘇村は人口約1万人で、高齢化率が43.1%(令和4年7月末時点)。介護認定を受ける人や脳血管疾患の人が多く、高血圧の割合も高いため高血圧対策が重要と考えられてきた。
そのため令和元年度から減塩食品による重点的な普及啓発を開始。地元の飲食店や小売業らも協力する中、減塩食品の購入などでインセンティブがつくスマートフォンアプリの活用、村の広報誌での継続的な啓発記事掲載、減塩推進協力店での住民への普及など、さまざまな方法で高血圧対策に取り組んできた。
その結果、国保加入者の特定健診でのI度高血圧は平成28年の32.2%から令和3年の19.7%まで、同じくII度高血圧は13.7%から5.0%まで、いずれも大きく減少。これらの結果は地元企業と家族、村役場全てが当事者として関係する「まるっと減塩」活動の成果として評価された。同アワードの生活習慣病予防分野では、スポーツ庁長官優秀賞、厚生労働大臣健康局長優良賞が選ばれている。
また他にも「第11回健康寿命をのばそう!アワード」では、「母子保健分野」「介護予防・高齢者生活支援分野」にてそれぞれ表彰が行われた。 「母子保健分野」の最優秀賞については、<思春期ピアカウンセリングの取り組みが最優秀賞 「第11回健康寿命をのばそう!アワード」母子保健分野>にて掲載。


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