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がん検診発見例が減り早期がんも減少傾向だが、現時点での評価は困難
国立がん研究センター「院内がん登録全国集計」速報値より

がん検診推奨の5つの検診発見例はコロナ禍以前に戻らず

 がん検診推奨部位(胃、大腸、肺、乳房、子宮頸部)別の検診発見例の推移()をみると、2018~2019年平均比で2020年には85.6%まで減少したが、2021年には97.2%まで回復している。いずれも回復傾向は示したが、乳房を除き、コロナ禍以前の水準までには至っていない。

表 21年のがん検診推奨部位別の検診発見例・コロナ禍前2か年平均と20年・21年の平均登録数との比

がん検診推奨部位 2020年 2021年
77.7 87.3
大腸 86.7 96.6
87.6 97.8
乳房(女性) 89.0 105.7
子宮頸部 86.8 97.5

(数値は%)

 一方、非検診発見例が減少したのは、胃がんの92.1%のみで、そのほかの部位はやや増加していた。

早期のがん発見も減少傾向だが、現時点での評価は困難

 病期(ステージ)別に見ると、胃がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんでは2018~2019年と比較して、 ステージ0期やⅠ期などの割合がやや減少の傾向が見られた。コロナの影響で受診控えなどもあり、早期がんの発見が減っている可能性も指摘された。

 治療推移をみると、2020年では外科的治療/鏡視下治療・内視鏡治療が4~7%減少したが、2021年は回復傾向にある。だが、胃がんと子宮頸がんにおける外科的治療/鏡視下治療実施割合の減少がみられ、早期がん発見の減少を反映している可能性が考察された。

 ただし同センターでは、進行期がんの上昇が懸念されていることは事実だが、より正しい実態把握のためには、病期別登録数検診受診率・精密検査受診率と併せて注視していくことが必要であり、現時点での評価は困難である考えを示している。

 新型コロナウイルスの予防策やワクチンなどが開発された今、がん検診や有症状時の受診はコロナ禍前と同様に行われることが大切だろう。

 なお、2月14日に同センターから全国870施設から約110万件の院内がん情報を収集し、集計を行った「院内がん登録2021年全国集計」が公表された。同センターは「新規がん患者登録数推移など各集計の傾向は施設種別によらず同様であったため、各がん種における分析は『院内がん登録2021年全国集計速報値』をご確認ください」としており、今回は速報値の報告を中心にレポートした。

参考資料

院内がん登録2021年全国集計速報値 公表
 2021年のがん診療連携拠点病院等におけるがん診療の状況 (国立がん研究センター)

院内がん登録2021年全国集計 公表
 2021年の院内がん登録実施施設におけるがん診療の状況(国立がん研究センター)

院内がん登録全国集計(国立がん研究センター がん情報サービス)

[保健指導リソースガイド編集部]
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