健保組合の2021年度医療費は、昨年比9.1%増
―コロナ禍前に比べると3.9%増
健康保険組合連合会(健保連)は、2月2日、2021年度の「健保組合医療費の動向に関する調査」を公表した。
それによると21年度医療費の総額は4兆8,132億円。新型コロナウイルス感染症の影響が大きく出た20年度に比べて9.1%増、コロナ禍前の19年度に比べて3.9%増となっていたことがわかった。
コロナ禍前の19年度比では、3.9%増
健康保険組合連合会(健保連)は、一定規模以上の社員(被保険者)のいる企業が設立する健康保険組合の連合組織である。全国1,387(2022年4月1日現在)の健康保険組合で構成され、被保険者とその家族を合わせると、全国民のおよそ4分の1にあたる約3,000万人が加入している。
調査は、社会保険診療報酬支払基金「診療報酬等請求内訳書等データ」と健保組合提供のデータをもとに、2021年度の健保組合医療費の動向をとりまとめたもの。
20年度は新型コロナ感染拡大による患者の受診控えなどの影響で、健保連医療費総額は4兆4,112億円と対前年度(19年度)比4.8%減、2,235億円の減少であった。だが、21年度は対前年度(20年度)比9.1%増と4,020億円増え、4兆8,132億円となった。ただし、コロナ禍前の19年比でみてみると、3.9%増にとどまっている。
国の医療費と比較すると、健保組合は一歩先の動向か
国全体の医療費をみてみると、20年度の医療費(概算)は、19年度の医療費43.6兆円に対して1.4兆円減と3.2%減少し、42.2兆円となった。21年度の医療費は、44.2兆億円で、前年度比4.6%の2兆円増となった。コロナ禍前の19年度と比べると1.4%増で、1年に換算すると0.7%の伸びだ。
20年度に医療費が大幅に減少した原因は、いうまでもなくコロナ感染症の影響。代表的なものをあげると下記になるだろう。
- 外来や検査の受診控えがあったこと
- マスク着用や手洗いの徹底など、衛生面の向上により感染症全般の発生が減少したこと
- 受診するまでもない軽症患者が医療機関を受診しなかったこと
- コロナ重症患者へ医療資源を集約化・重点化するために、予定入院・予定手術が延期されたこと
これらさまざまな要因によって受診者が減少し、医療費減に結びついたといえる。
21年度の医療費をみると、徐々にではあるが、コロナ禍前に戻りつつある。健保組合の医療費は、国全体の医療費と同じ傾向ではあるが、伸び率をみると国全体の医療費よりもコロナ禍前の水準へ少し進んでいることを示しているようだ。

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