健保組合の2021年度医療費は、昨年比9.1%増
―コロナ禍前に比べると3.9%増
訪問看護と医科入院外の伸び率が高い
診療区分別にみると、医科入院:6.8%増(コロナ禍前の19年度と比べると0.6%増)、医科入院外:13.2%増(同5.7%増)、歯科:5.3%増(同6.3%増)、調剤:6.2%増(同2.1%増)、訪問看護:14.6%増(同38.7%増)。ただし訪問看護については、事業所数(訪問看護ステーション)の増加が、大幅増に影響を及ぼしていることに留意が必要だ。
診療区分別の1人当たり医療費をみると、医科入院:4万1,774円(前年度比7.9%増、コロナ禍前の19年度比15.2%増)、医科入院外:7万1,610円(同14.3%増、9.8%増)、歯科:2万1,095円(同6.4%増、11.9%増)、調剤:3万3,703円(同7.3%増、3.6%増)となっている。
受診率は歯科を除き、コロナ禍前には戻っていないようだ。だが、1日当たりの医療費はコロナ禍前に比べ、大きく伸びている。
次に1,308の健保組合のレセプトデータを基にした医療費の動向では、1人当たり医療費は、本人:15万9,364 円、家族:15万7,533 円。1人当たり医療費の伸び率をみると、本人:7.8%、家族:11.3%となっている。
呼吸器系疾患の伸び率は高いが、コロナ禍前には戻っていない
疾病19分類別に 1人当たり医療費をみると、新生物が1万5,937 円と最も高く、次いで、呼吸器系疾患:1万3,614円、内分泌・栄養・代謝疾患:1万2,877円となっている。構成比でみると、新生物:12.1%(前年度比0.6%減、コロナ禍前の19年度比0.2%増)、呼吸器系疾患:10.3%(同0.3%増、4.0%減)、内分泌・栄養・代謝疾患:9.7%(同0.4%減、0.3%増)、これに循環器系疾患、消化器系疾患を加えた上位5疾患で医療費の約半分を占める。
呼吸器系疾患の医療費は、コロナ禍前の19年度では最も高かった(14.3%)。コロナ感染症の影響で20年に大幅に減少。21年度では医療費や受診率ともに伸び率は高かったが、まだコロナ禍前の水準に戻ってはいない。
実際の診療データでみても、メディカル・データ・ビジョン(株)が保有する344施設の大規模診療データを分析した「新型コロナウイルス禍前後の外来・入院患者数の推移」の調査では、外来延べ患者数は第7波(昨年9月末)までに回復傾向を示しているものの、コロナ禍前には届いていなかった。入院患者数では、疾患別で消化器、循環器が回復基調をみせている半面、呼吸器の戻りは鈍いままだという。
また人口動態調査による主な死因別にみた死亡率の年次推移をみると、肺炎で亡くなる人は急激に減少している。
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