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コロナ禍で「生活が悪くなった」人が4割以上 孤独・孤立の全国調査を実施 どんな人が孤独を感じているか 内閣官房
2023年05月08日
孤独感のある人は全体の4割で、男性は30代~50代、女性は20代~30代で比較的多いことなどが、内閣官房の「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査」で示された。
「ひとり世帯」「ひとり親と子」の世帯や、「経済的な暮らし向きが苦しい」という人、「外出頻度が低い」「コミュニケーション手段が少ない」「社会活動への参加がない」という人で、孤独感が強い。
新型コロナの感染拡大の影響として、人と直接会わずにコミュニケーションをとることが「増えた」という人が多く、生活が「悪くなった」という人も4割以上に上る。
コロナ禍での日常生活の変化としては、「地域・社会とのつながり」「職場環境(働き方を含む)など」「家族以外の親しい人との関係」「心身の健康状態」を挙げた人が多かった。
孤独感のある人は、若い世代で多く、高齢者では少ない傾向
- 孤独感が「しばしばある・常にある」「時々ある」「たまにある」という人は2022年は40.3%に上り、2021年の36.4%より増えている。
- 孤独感が「しばしばある・常にある」という人が多いのは若い世代で、30代 7.2%、40代 5.9%、50代 6.2%。一方、高齢者では比較的少なく、70代 2.7%、80歳以上 2.3%となっている。
- 男女別にみると、孤独感が「しばしばある・常にある」という人は、男性 5.1%、女性 4.6%。男性は30代 6.8%、40代 5.9%、50代 7.3%、女性は20代 7.1%、30代 7.9%、40代 5.9%が比較的多い。
孤独感が「ある」という人は全体の4割
出典:内閣官房、2023年
「ひとり世帯」「ひとり親と子」「失業中」「暮らし向きが苦しい」という人で孤独感が強い
- 孤独感が「しばしばある・常にある」という人がもっとも多いのは、「ひとり世帯」9.5%で、次いで「ひとり親と子」6.5%が多い。「夫婦のみ世帯」は3.3%、「両親と子」は3.9%。
- 単身者では、孤独感が「しばしばある・常にある」という人は男性 11.9%、女性 7.0%。同居人がいると、孤独感は減る。
- 仕事別にみると、孤独感がある人の割合は、「正社員」5.0%、「非正規雇用」5.3%、「会社役員」1.7%、「自営業」3.3%、「仕事なし(失業中)」9.9%。
- 経済的な暮らし向きでみると、孤独感がある人の割合は、「大変ゆとりがある」4.2%、「ややゆとりがある」3.4%、「普通」2.3%、「やや苦しい」5.3%、「大変苦しい」14.2%。
「外出頻度」「コミュニケーション手段」「社会活動への参加」「他者へのサポート意識」が少ない人で孤独感が強い
- 外出頻度でみると、孤独感がある人の割合は、「週5日以上」4.3%、「週1日未満」7.8%、「外出しない」16.0%。外出頻度の低い人で孤独感が強い傾向が示された。
- コミュニケーションについては、その頻度が「月1回未満」6.7%、「全くない」14.4%と、コミュニケーション手段の少ない人で孤独感が強い。
- 社会活動への参加については、「いずれかの活動に参加している」2.8%、「特に参加はしていない」6.7%。社会活動への参加のある人は孤独感が少ない。
- 不安や悩みが生じた際の相談相手が「いる」という人は89.3%、「いない」という人は10.4%。その相手は、「家族・親族」90.8%、「友人・知人」62.5%、「仕事・学校関係者(職場の同僚・学校の先生など)」23.2%。
- 他者へのサポート意識については、手助けを「しようと思う」3.3%、「しようと思わない」10.4%となり、他者へのサポート意識のある人は孤独感が少ない。
- 現在の孤独感に影響を与えたと思う出来事としては、「人間関係による重大なトラブル(いじめ・ハラスメントなどを含む)」「心身の重大なトラブル(病気・怪我など)」「一人暮らし」「転校・転職・離職・退職」「家族の病気・障害」「家族との死別」が多い。
外出頻度の低い人や、コミュニケーション手段の少ない人で、孤独感は強い
出典:内閣官房、2023年
コロナ禍で生活が「悪くなった」人が4割以上 日常生活にも変化が
コロナ禍の影響で人とのコミュニケーションが減った人が多い
出典:内閣官房、2023年
調査は、全国の満16歳以上の個人2万人を対象に、2022年12月に実施されたもの。調査の所要を検討したのは、「孤独・孤立の実態把握に関する研究会」(座長:石田光規・早稲田大学文学学術院文化構想学部教授)。
孤独に関する事項として、▼孤独感(UCLA尺度・直接質問)、▼孤独感の継続期間、▼これまでに経験した孤独感に強く影響を与えたと思われる出来事、孤立に関する事項として、▼家族や友人とのコミュニケーション手段や頻度、▼社会活動への参加状況、▼行政機関・NPOなどからの支援、▼他者へのサポート意識、さらには、▼外出頻度、▼日常生活での不安や悩み、▼不安や悩みの相談相手、▼相談することへの感情、▼心身の健康状態、▼生活の満足度、コロナ禍でのコミュニケーションや生活の変化などについて尋ねた。
孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和4年人々のつながりに関する基礎調査) (内閣官房 孤独・孤立対策担当室)
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