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30代~40代に健診で高血圧や肥満を指摘された人は高齢になると認知症リスクが上昇 若いうちから健康改善を
2023年09月19日

30代から40代の成人初期に健康診断などで高血圧や肥満を指摘された人は、高齢化して70代になると、脳の健康状態が悪化しやすく、認知症リスクが高いことが明らかになった。
とくに男性では若い頃の高血圧は、高齢化すると脳に悪影響を及ぼしやすいとしている。
「肥満や高血圧は保健指導などで改善が可能です。若年期に健診などで危険因子を指摘されても、自身の健康に気を付けない人も多い。生涯を通じて自身の健康を守ることが大切です」と、研究者は指摘している。
30代~40代に健診で高血圧を指摘された人は認知症リスクが高い
30代から40代の成人初期に健康診断などで高血圧を指摘された人は、高齢化して70代になると、脳の健康状態が悪化しやすく、認知症リスクが高いことが明らかになった。 これは、米カリフォルニア大学が、研究開始当時に30代から40代だった427人の男女を、40年以上追跡した調査で明らかになったもの。 研究グループは、1964年~1985年の30代から40代の頃に健康診断を受けた427人の男女を、2017年~2022年まで追跡して調査し、磁気共鳴画像法(MRI)による脳スキャンを実施した。 その結果、若いころに高血圧を指摘されたグループは、高齢化すると局所的な脳容積が著しく低下し、白質の完全性が悪化しやすいことが明らかになった。どちらの要因も認知症に関連している。 さらに、脳の灰白質や前頭皮質の体積が減少するなど、脳の領域のマイナスの変化は、男性の方が女性よりも強いことも示された。 神経細胞が集まっている灰白質は、認知機能とも関連しており、高齢になると委縮していく。前頭皮質は、思考や創造性にも関わっている。 女性は、閉経前には女性ホルモンであるエストロゲンが分泌されており、これが脳の保護に関連しており、脳への影響が男性よりも少なかった可能性があると指摘している。若いうちから生活改善に取り組み認知症リスクを減らすことが重要
このように研究では、30~40歳の成人初期の段階で、高血圧などの危険因子をもっていると、数十年後の脳の健康に影響がもたらされることが示された。 「認知症と診断された時点の数十年前から、脳に異常タンパクが蓄積され、認知症の前兆がはじまっていることが分かっています。若いうちから生活スタイルを見直して、認知症のリスクを減らす対策を開始する必要があります」と、同大学公衆衛生学部のクリステン ジョージ氏は言う。 「現在のところ、認知症の治療法は非常に限られています。そのため、年齢を重ねてから認知症を発症するのを防ぐため、若いうちから生活改善に取り組み、リスクをなるべく減らすことがカギとなります」。 「高血圧は認知症の発症につながりやすい、もっとも多くみられる危険因子です。しかし、食事や運動などの生活スタイルを見直し、治療を受ければ、高血圧は改善が可能です」としている。 米国では、収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上、拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg以上だと、高血圧と判定されるが、上の血圧が130mmHg以上、下の血圧が80mmHg以上でも「血圧高値」として、食事や運動などの生活改善が必要とされている。 米国疾病予防管理センター(CDC)は、米国の成人の47%が高血圧だと推定している。高血圧の割合は性別で異なり、男性の50%が高血圧であるのに対し、女性は44%だ。20代~40代の肥満・メタボも認知症リスクを上昇

Association of Early Adulthood Hypertension and Blood Pressure Change With Late-Life Neuroimaging Biomarkers (JAMA Network Open 2023年4月3日)
Being overweight is linked with an increased risk of dementia in new research(英国国立衛生研究所 2021年3月19日)
Higher risk of dementia in English older individuals who are overweight or obese (International Journal of Epidemiology 2020年6月23日)
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