ニュース

高血圧と悪玉コレステロールの組み合わせは最悪 心筋梗塞や脳卒中のリスクが2倍に 肥満・メタボの改善も必要

 高血圧のある人が、悪玉のLDLコレステロールの値も高いと、心筋梗塞・狭心症・脳卒中などの心血管疾患のリスクが2倍超に上昇することが、大規模な調査で明らかになった。

 「健康診断などで高血圧や脂質異常を指摘された人は、食事や運動などの生活スタイルを改善することが大切です。健診を定期的に受けることも重要です」と、研究者はアドバイスしている。

 米国心臓学会によると、心血管疾患を防ぐためには、血圧や脂質を下げるだけでなく、肥満やメタボを解消することも重要だ。

 さらには、体重が正常範囲におさまっている人でも、内臓脂肪がたまった状態にあると、やはり心血管疾患のリスクは上昇するという。

血圧と悪玉コレステロールの値が高いと心血管疾患リスクが上昇

 高血圧のある人が、悪玉のLDLコレステロールの値も高いと、心筋梗塞・狭心症・脳卒中などの心血管疾患のリスクが18~20%上昇することが、6,674人を対象とした調査で明らかになったと、米国心臓学会(AHA)が発表した。

 「高血圧は、よく知られている心血管疾患の危険因子です。また、LDLコレステロールは、必要なコレステロールを全身に運ぶ働きをしますが、増えすぎると動脈硬化を促進するため、悪玉と呼ばれています」と、アトリウム ヘルス ウェイク フォレスト バプテスト医療センターのリシ リキ氏は言う。

 「これまで脳卒中や心臓病を発症したことのない人でも、高血圧と高コレステロールが重なると、心臓病や脳卒中などの深刻な心血管イベントのリスクが大幅に上昇することが分かりました」。

 「健康診断などで高血圧や脂質異常を指摘された人は、食事や運動などの生活スタイルを改善することが大切です。健診を定期的に受けることも重要です」としている。

 米国心臓学会は、心臓血管の健康を改善するために、▼健康的な食事、▼運動の習慣化、▼禁煙、▼十分な睡眠、▼健康的な体重の維持、▼脂質・血糖、血圧の値の管理という、8つの健康的な生活スタイルを提唱している。

 これらの生活改善により、心臓血管の健康を改善でき、毎年多くの人の命を奪っている心筋梗塞・狭心症・脳卒中などを予防できることが分かっている。

高血圧と高コレステロールがある人は心血管疾患のリスクが2倍超に

 研究グループは今回、米国で実施されている大規模研究「多民族アテローム性動脈硬化症研究(MESA)」に参加した、6,674人の男女を14年間追跡して調査した。

 参加者は、多様な人種で構成されており、白人が38.6%、アフリカ系が27.5%、ヒスパニック系が22.1%、アジア系が11.9%だった。

 収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上、拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg以上、あるいは降圧薬の使用している場合を高血圧と判定した。

 なお米国心臓学会は、上の血圧が130mmHg以上、下の血圧が80mmHg以上でも「血圧高値」として、食事や運動などの生活改善が必要としている。

 研究グループは、参加者の血圧値とコレステロール値により、以下の4つのグループに振り分けた。なお、リポタンパク(a)は、悪玉のLDLコレステロールの一部で、動脈硬化を促進するとみられている。基準値は40mg/dL以下。

グループ1 (42.5%)高血圧なしリポタンパク(a)が50mg/dL未満
グループ2 (9.2%)高血圧なしリポタンパク(a)が50mg/dL以上
グループ3 (37.5%)高血圧ありリポタンパク(a)が50mg/dL未満
グループ4 (10.8%)高血圧ありリポタンパク(a)が50mg/dL以上

 解析した結果、心血管疾患イベントの発生率は、グループ1(高血圧も高コレステロールもない)と、グループ2(高血圧はないが高コレステロールはある)では、10%未満だった。

 しかし、グループ3(高血圧はあるが高コレステロールはない)では、発生率は1.66倍に上昇し、グループ4(高血圧と高コレステロールの両方がある)では、発生率は2.07倍ともっとも高かった。

肥満やメタボの改善も必要 心筋梗塞や脳卒中の90%は防げる

 米国心臓学会によると、心血管疾患を防ぐためには、血圧や脂質を下げるだけでなく、肥満やメタボを解消することも重要だ。

 さらには、BMIが正常範囲におさまっている人でも、内臓脂肪がたまった状態にあると、やはり心血管疾患のリスクは上昇するという。

 「肥満と判定されない、一見やせている人でも、腹部脂肪がたまっていると、健康リスクは高くなります。そうした人は、"自分は全体的には健康だ"と思いこむことが少なくありません。行動変容に導くために工夫が必要です」と、米国国立衛生研究所(NIH)のティファニー パウエル-ワイリー氏は言う。

 「個々の人が食事や運動などの生活スタイルを改善し、健康的な体重を維持し、さらには社会経済や環境などの社会的な課題を解決することで、心血管疾患の最大90%を防ぐことができると考えられます」と、パウエル-ワイリー氏は指摘している。

 腹部脂肪が多すぎるかどうかは、通常はウエスト周囲径と身長の比率、あるいはウエスト周囲径とヒップの比率を使用して判断されるとしている。この測定値は、身長と体重にもとづく肥満の尺度であるBMIとは関係なく、心血管疾患を予測するのに有用としている。

 食事や運動などの生活スタイルを改善することで、体重を減少でき、肥満やメタボを解消でき、そこから引き起こされる高血糖や高血圧、中性脂肪やコレステロールなどの脂質異常も改善できる。減量により、心房細動や睡眠障害の改善も期待できる。

 肥満症の治療では、GLP-1受容体作動薬やSGLT-2阻害薬といった糖尿病の治療薬も期待できるとしている。

 GLP-1受容体作動薬は、インスリンの分泌を刺激し、血糖値を下げるだけでなく、食欲を抑え満腹感を感じやすくするので、体重管理にも役立つ可能性がある。

 またSGLT-2阻害薬は、過剰なブドウ糖の尿中への排出を促し、血糖値を下げる。心不全のリスクの低下や、腎機能の低下を防いだり遅らせる作用も期待されている。

Combo of bad cholesterol and high blood pressure may increase heart attack or stroke risk (米国心臓学会 2022年12月13日)
Association of Lp(a) (Lipoprotein[a]) and Hypertension in Primary Prevention of Cardiovascular Disease: The MESA (Hypertension 2022年12月13日)
Too much belly fat, even for people with a healthy BMI, raises heart risks (米国心臓学会 2021年4月22日)
Obesity and Cardiovascular Disease: A Scientific Statement From the American Heart Association (Circulation 2021年4月22日)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「特定保健指導」に関するニュース

2024年04月30日
タバコは歯を失う原因に 認知症リスクも上昇 禁煙すれば歯を守れて認知症も予防できる可能性が
2024年04月25日
厚労省「地域・職域連携ポータルサイト」を開設
人生100年時代を迎え、保健事業の継続性は不可欠
2024年04月23日
生鮮食料品店が近くにある高齢者は介護費用が低くなる 自然に健康になれる環境づくりが大切
2024年04月22日
運動が心血管疾患リスクを23%低下 ストレス耐性も高められる 毎日11分間のウォーキングでも効果が
2024年04月22日
職場や家庭で怒りを爆発させても得はない 怒りを効果的に抑える2つの方法 「アンガーマネジメント」のすすめ
2024年04月22日
【更年期障害の最新情報】更年期は健康な老化の入り口 必要な治療を受けられることが望ましい
2024年04月22日
【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い
2024年04月16日
塩分のとりすぎが高血圧や肥満の原因に 代替塩を使うと高血圧リスクは40%減少 日本人の減塩は優先課題
2024年04月16日
座ったままの時間が長いと肥満や死亡のリスクが上昇 ウォーキングなどの運動は夕方に行うと効果的
2024年04月15日
血圧が少し高いだけで脳・心血管疾患のリスクは2倍に上昇 日本の労働者8万人超を調査 早い段階の保健指導が必要
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶