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産業保健スタッフのメンタルヘルス対策実施事業所は34.5% 令和4年 労働安全衛生調査より

 厚生労働省はこのほど、令和4年労働安全衛生調査(実態調査)の結果を公表した。

 事業所調査と、そこで働く労働者を対象にした個人調査の2つを実施しているもので、事業所にはメンタルヘルス対策など、労働者には職業生活における受動喫煙の状況などについて聞いている。

過去1年間にメンタルヘルス不調者がいた事業所は昨年より3,2ポイント増加

 同調査は事業所の安全衛生管理や労働災害防止活動、そこで働く労働者の不安やストレス、受動喫煙などの実態について把握するのを目的に実施。無作為に選ばれた全国の約14,000事業所と、そこで雇用されている常用労働者と派遣労働者約18,000人を対象としている。
 原則として令和4年10月31日現在での回答とし、有効回答数は事業所調査が8,144(有効回答率57.1%)、個人調査が7,959(同43%)だった。

 事業所調査ではメンタルヘルス対策について聞いている。過去1年間にメンタルヘルス不調で連続1カ月以上休業した労働者または退職した労働者がいた事業所の割合は全体の13.3%。令和3年調査に比べて3.2ポイント増加していた。

 メンタルヘルス不調による連続1カ月以上の休業または退職について、「該当する労働者がいた」割合を規模別に見ると、従業員「1,000人以上」の事業所では93.5%、「500〜999人」では89.4%など、規模が大きいほど割合は高い。

 同様に産業別では、「情報通信業」の36.3%が最も高い割合で、「電気・ガス・熱供給・水道業」(28.2%)、「金融業、保険業」(24.8%)が続く。

 連続1カ月以上休業した労働者がいた事業所の割合だけで見ると、全体の10.6%。同様に、退職した労働者がいた事業所の割合は全体の5.9%だった。産業別で退職者の割合を見ると「情報通信業」の17%に続き、「医療、福祉」も12.2%と高かった。

産業保健スタッフによるメンタルヘルス対策の実施率は減少
 そのような中、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は63.4%で、令和3年調査に比べて4.2ポイントの増加。取り組み内容(複数回答)は「ストレスチェックの実施」(63.1%)、「メンタルヘルス不調の労働者に対する必要な配慮の実施」(53.6%)が多い。

 「健康診断後の保健指導等を通じた産業保健スタッフによるメンタルヘルス対策の実施」と答えた事業所は全体の34.5%。令和3年調査に比べて1ポイント減少している。事業所規模別では「50人以上」の事業所では47.7%が回答している一方、「30〜49人」は36.2%、「10〜29人」は29.6%となっている。

 産業保健に関する事項では、過去1年間に一般健康診断を実施した事業所のうち、所見のあった労働者がいる事業所の割合は69.8%だった。またがんや糖尿病など傷病を抱え、何らかの配慮を必要とする労働者に対し、治療と仕事を両立できるような取り組みがある事業所の割合は58.8%で、令和3年調査に比べて17.7ポイント増えた。

 取り組み内容(複数回答)は、「通院や体調等の状況に合わせた配慮、措置の検討(柔軟な労働時間の設定、仕事内容の調整)」が86.4%と最も多かった。「両立支援に関する体制の整備(産業医等産業保健スタッフの配置、対応手順の整理等)」は18.5%だった。

 一方、治療と仕事を両立できる取り組みをしている事業所のうち、困難や課題を感じている事業所の割合は81.8%に上った。具体的な困難(複数回答)としては「代替要員の確保」(77.2%)、「上司や同僚の負担」51.2%などだった。

 個人調査では、仕事や職業生活における不安やストレス、喫煙に関する事項などについて聞いている。

 このうち喫煙については、職場で受動喫煙がある労働者の割合は、「ほとんど毎日ある」と「ときどきある」を合わせて20.6%。このうち「不快に感じること、体調が悪くなることがある」と答えた労働者の割合は42.7%で、年齢階級別で見た場合、60歳以上は68.7%を占めた。

令和4年「労働安全衛生調査(実態調査)」結果の概要(厚生労働省)
令和4年「労働安全衛生調査(実態調査)」の結果を公表します(厚生労働省)
[yoshioka]
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