大人は6時間以上の睡眠を 厚労省「睡眠指針改訂(案)」公表
成人は6時間以上、小学生は9~12時間の睡眠を――。厚生労働省に設置された有識者らによる「健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会」が10月2日に開催され、改訂案が公表された。
約10年前に「健康づくりのための睡眠指針2014」(睡眠12箇条)が出されたが、その後のエビデンスに基づいた推奨事項や注意点なども集積し、検討を重ねたものが、このほど提示された改訂案である。
睡眠時間が短いと生活習慣病などの発症リスク増
睡眠時間が極端に短い場合、肥満・高血圧・糖尿病・心疾患など生活習慣病や認知症、うつ病など発症リスクが高まることが近年の研究でわかってきた。
例えば、5時間未満だと肥満リスクは1.13倍(5時間以上と比較)、6時間未満では心血管疾患発症リスクが4.95倍(7時間以上~8時間未満と比較)になる。
2019年の「国民健康・栄養調査」によると、1日の平均睡眠時間が6時間未満の人は男性37.5%、女性40.6%。労働世代の20~59歳の各世代をみても、睡眠時間が6時間未満の人が約35~50%を占めており、5時間未満の人に限定しても5~12%と高率だ。
経済協力開発機構(OECD)の調査(2021年版)では、日本人の平均睡眠時間は7時間22分で、33カ国のうち最短だった。33カ国の平均睡眠時間は8時間28分と8時間を超えている。
睡眠不足はうつ病のリスクが高まる
「令和5年版 過労死等防止対策白書」でも指摘
先ごろ厚労省が発表した「令和5年版 過労死等防止対策白書」でも、睡眠時間が理想より不足すればするほど、うつ病などになるリスクが高まるという調査結果が示された。「心身の健康を保つためには、睡眠時間の確保が重要」と指摘している。
白書によると、理想とする睡眠時間は「7~8時間未満」が最多の約45%だったが、実際に確保できているのは「5~6時間未満」が最も多く約36%だった。
睡眠時間と精神状態の関係を比較したところ、うつ病や不安障害の疑いがある人の割合は、理想の睡眠時間を確保している場合や、理想より1時間不足している場合では20%未満だった。一方、理想から2時間不足すると約28%、3時間不足すると約37%に上り、理想と実際の睡眠時間の差が広がると、精神状態が悪化する傾向がみられた。


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