ニュース
減塩の新しい考え方「かるしお」を提唱 塩分を控えて高血圧を予防・改善 循環器病研究センター
2023年11月20日
国立循環器病研究センター(国循)は、減塩の新しい考え方として「かるしお」を提唱している。
これは「塩を軽く使っておいしさを引き出し」、上手に減塩するということ。
塩分のとりすぎは高血圧の発症に大きく影響する。心血管疾患や脳卒中、腎臓病を予防するために、高血圧を予防・改善することを考えながら、食事を改善していくことは重要となる。
減塩をさらに啓発するため、「かるしお認定制度」も推進している。
これは、生活者が手軽にはじめられる食スタイルの提案と、企業の経済活動とを関連づけて、減塩を持続させ発展性させようという試みだ。
「かるしお」は減塩の新しい考え方 食塩を控えるからこそおいしい
国立循環器病研究センター(国循)は、減塩の新しい考え方として「かるしお」を提唱している。これは「塩を軽く使っておいしさを引き出し」、上手に減塩するということ。 塩分のとりすぎは高血圧の発症に大きく影響する。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、食塩の摂取量の目標量は、成人では1日あたり男性7.5g未満、女性では6.5g未満と設定されている。高血圧や腎臓病のある人は、さらに少ない量が推奨されている。 しかし、日本人の食塩摂取量の平均は、男性 10.9g、女性 9.3gとなっている。とくに高齢者は、食塩摂取量が多い傾向がある。この10年間で、日本人の食塩摂取量は減ってはいるものの、まだまだとりすぎているのが現状だ。
日本人の食品摂取量の現状と目標
出典:国立循環器病研究センター
心血管疾患や脳卒中などの循環器病を予防するためにも、高血圧を予防・改善することも考えながら、食事を改善していくことは重要となる。
国循では入院患者などを対象に、栄養バランスをかねそなえつつ、1日の塩分を6g未満におさえたおいしい病院食を提供してきた。その経験や研究成果、ノウハウをいかし、「知的資産の把握・発掘」をかねて、塩を軽く使って食材のうまみを引き出す「かるしお」を提唱している。
「食塩を控えるからこそおいしい」がコンセプトの、かるしおレシピも提供している。
【おいしく減塩!かるしおレシピ】牛肉すき焼き風
関連情報
「かるしお認定制度」を推進 認定企業とプロモーション活動を展開
国循では減塩を啓発するため、「かるしお認定制度」を推進している。これは、生活者が手軽にはじめられる食スタイルの提案と、企業の経済活動とを関連づけて、減塩を持続させ発展させようという試みだ。 減塩しょうゆ、減塩みそ、減塩だしをはじめとして、加工食品、レトルト食品、生鮮食品、弁当、定食など、さまざまな製品が登録されている。 たとえば、弁当や飲食店の定食などには、1食あたり550kcal〜650kcal、タンパク質25~30g、脂肪エネルギー比25%以下、食塩相当量2g未満、さらには海藻やきのこを含む野菜を150g以上使うことなどを求めている。 しょうゆや味噌などの調味料類や、インスタント食品などの加工食品にも、食塩を30%以上カットすることなどを求めている。 国循では、「かるしお認定基準」にもとづいて、食品事業者から申請のあった商品の審査を実施し、おいしさと栄養バランスをかねそなえた商品に対して、「かるしお認定マーク」の表示を認めている。 認定された企業とともに、かるしおのプロモーション活動を行い、店頭では、かるしお認定商品の販促に活用できるPOPなども作成している。 「かるしおプロジェクト」の公式サイトでは、かるしお認定商品の一覧をみることができる。
かるしお認定マークと国循認定ロゴ
出典:国立循環器病研究センター
おいしい減塩食を発掘するためのレシピコンテスト
さらに国循は、循環器病予防のための地域での取り組みを支援し、各地の地産地消・地域振興も促進する目的で、おいしい減塩食を発掘するためのレシピコンテスト「S-1g(エス・ワン・グランプリ)」を、2013年度から開催している。 「S-1g」には、塩(Salt)を1g減らそう(-1g)という意味が込められている。塩分摂取量を1食1g×3食分減らすと、血圧が2~3mmHg下がり、循環器病による死亡を2~3万人減らすことができるとしている。 過去のS-1g大会に出場したチームが、受賞レシピを活用して料理講習会を実施するなど、全国各地で循環器病予防のための減塩に対する取り組みが広がっている。 2021年に発表した「第5回S-1g大会 おいしい減塩レシピ」では、シイタケご飯、卵焼き、シラスを入れた減塩和え、キノコとサツマイモのソテー、コンニャクとオクラの豚肉巻などを加えたレシピ(以上で食塩は1.9gに相当)などが受賞した。 誰もがおいしく手軽に食べられるお惣菜レシピとして「まずは1品から!おいしく減塩お惣菜コンテスト」も開催。「第6回S-1g大会」の最終審査の結果は、来年2月に発表される予定だ。企業×流通×自治体との連携で減塩生活を加速
国循では、大阪府吹田市と連携し、子供も親も楽しく学び食育を実施できる「グルメな減塩!かるしお大作戦」を展開。 食育講座「小学校給食の工夫を家庭の食事にも」を開催するほか、「かるしお」の考え方を取り入れた給食メニューを提供している。 さらに国循では11月10日に、「第3回かるしおサミット~国立循環器病研究センター×かるしお認定企業×流通×自治体の連携で減塩生活を加速しよう!~」も、健都(北大阪健康医療都市)で開催した。 「かるしお認定制度」に参加している企業や、自治体、健都エリアの関係者などの「横のつながり」を促進し、「かるしお」の取り組みをさらに広げたいとしている。 第1部では、参加企業が「減塩の工夫点」「商品開発における最近の動向」「海外への展開」をテーマに発表。第2部は、参加企業同士で情報交換や交流を行う。 吹田市×国循「グルメな減塩!かるしお大作戦」 (大阪府吹田市)~国立循環器病研究センター×かるしお®認定企業×流通×自治体の連携で減塩生活を加速しよう!~ 第3回「かるしお®サミット」11月10日に開催
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「特定保健指導」に関するニュース
- 2024年01月09日
- 1日7時間以上座っている女性は乳がんリスクが上昇 座りすぎにご注意 こまめに運動をすると効果的
- 2024年01月09日
- 「ヘルスリテラシー」に関する国際調査で日本は最下位 健康診断やがん検診の受診控えが課題に
- 2024年01月05日
- 肥満・メタボのある人は「メンタルヘルス不調」のリスクが高い 早い段階で保健指導を提供 3つの方法で対策
- 2024年01月05日
- 睡眠を改善するとメンタルヘルスが改善 認知症を予防するのにも有用 【睡眠を改善する7つの方法】
- 2023年12月19日
- 「糖質制限ダイエット」と「脂質制限ダイエット」のどちらが向いているかを予測 1人ひとりに合わせた指導を実現 モデルを開発
- 2023年12月18日
- 超加工食品を食べすぎているのはどんな人? 食に対する理解などの「フードリテラシー」を向上 日本人成人を調査
- 2023年12月18日
- 高齢者の孤立は認知症と死亡のリスクの上昇をまねく? 1人暮らしだと影響は弱い ペットを飼っている高齢者はリスクが低い
- 2023年12月18日
- 【新型コロナ】ワクチン接種を受けた女性で月経周期の遅れ 「過度に心配する必要はない」と指摘 「ルナルナ」のユーザー1万人を調査
- 2023年12月18日
- 「食育健康サミット2023」を無料配信 ライフステージにそった保健指導 日本型食生活で支える 日本医師会など2月28日まで
- 2023年12月14日
-
「健康日本21(第三次)」アクションプラン策定へ始動
実効性を高めるための情報発信のあり方・好事例公開を検討