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座りっぱなしの時間が長いと女性の子宮筋腫のリスクが2倍に上昇 閉経後はとくに深刻 身体活動を増やすことが必要
2023年12月04日

1日に座ったまま過ごす時間が、余暇に6時間以上あり、運動不足の女性は、子宮筋腫の発症リスクが2倍に上昇することが、30歳~55歳の女性を対象とした中国の大規模な調査で明らかになった。
「ふだんの生活で、無理のない範囲でできるかぎり身体を動かす時間を増やしていくことが、健康につながると考えられます。女性を含めて、身体活動レベルを高める対策が必要です」と、研究者は指摘している。
座位行動や肥満により女性ホルモンが乱れる
1日に座ったまま過ごす時間が、余暇に6時間以上あり、運動不足の女性は、子宮筋腫の発症リスクが2倍に上昇することが、30歳~55歳の女性を対象とした中国の大規模な調査で明らかになった。 子宮筋腫は、子宮にできる良性の腫瘍で、30歳以上の女性のおよそ4人に1人にみつかる身近な病気だ。通常は命に関わることはないものの、月経痛・頻尿・骨盤痛や腰痛・貧血などのある場合は、薬物療法や手術が必要になることもある。 大きな痛みをともなうような子宮筋腫のリスクは、日中に座ったまま過ごす時間が長いと、それに比例して上昇することが研究で示された。 子宮筋腫は、女性ホルモンであるエストロゲンが大きく影響する。子宮筋腫はエストロゲンにより増殖する性質があり、出産が少なくなった現代では、その分泌期間が長くなり、女性で筋腫が増大しやすくなる。 また、座りがちな行動はエストロゲンを増やし、子宮体がん、卵巣がん、乳がんなどの、エストロゲンが関わる他の腫瘍とも関連しているという。できるかぎり体を動かす時間を増やすことが大切
子宮筋腫の発症が増える理由として、(1) 座位行動と運動不足が、子宮筋腫の危険因子である肥満を増やすこと、(2) 座位行動と肥満がともに女性ホルモンであるエストロゲンを増やすことを挙げている。 「他にも考えられることとして、座りがちな行動と代謝障害、慢性炎症、ビタミンD欠乏症との関連があります」と、メン氏は述べている。 女性の運動不足や肥満傾向は、年齢を重ねてから肥満やメタボ、2型糖尿病を発症するリスクを高めることが知られている。世界保健機関(WHO)の調査によると、WHOが推奨する1日1時間以上の運動をしていない若い女性は8割以上に上る。 仕事や運動などで身体活動量が高い女性ほど、がんや心疾患の発生リスクが低くなることも報告されている。 「ふだんの生活で、無理のない範囲でできるかぎり身体を動かす時間を増やしていくことが、健康につながると考えられます。女性を含めて、身体活動レベルを高める対策が必要です」と、メン氏は強調している。 関連情報とくに閉経を迎えた女性で長い座位行動の影響は深刻
研究は、中国の昆明医科大学が、中国南西部の地域ベースの前向き長期研究である「中国多民族コホート研究」に参加した、30歳~55歳の女性6,623人のデータを分析したもの。 「今回の研究で、座ったまま余暇を過ごしている時間の多い女性ほど、子宮筋腫のリスクが高いことが示されました。余暇に1日6時間以上の座ったまま過ごしている女性は、2時間未満の女性に比べ、子宮筋腫のリスクは2倍に上昇します」と、昆明医科大学公衆衛生学部のチオン メン氏は言う。 余暇時間に座ったまま過ごす時間が長いことは、とくに閉経を迎えた女性で、子宮筋腫の有病率の上昇と関連していた。座位時間が1日6時間以上の女性は、2時間未満の女性に比べ、子宮筋腫のリスクが5倍に上昇した。 「今回の研究は、自己申告データにもとづく観察研究であり、原因を特定することはできませんが、潜在的に影響をもたらす要因がいくつか考えられます」と、メン氏は指摘する。子宮筋腫のリスクを高める他の因子は?
研究グループは今回、参加した女性の月経/生殖歴、子供の数と初産時の年齢、避妊薬の使用、余暇の座位時間、身体活動、食事、身長と体重などの基本的な背景情報も収集した。 その結果、参加者が初潮を迎えた平均年齢は13~16歳、初出産は20~24歳で、84%が2人以上の子供を産んでいた。 参加した女性の10人に6人(61%)は、余暇の1日の座位時間は、2時間以上4時間未満だった。 8.5%の女性が治療の必要な子宮筋腫を発症し、その有病率は年齢とともに増加し、50歳以上では2.5倍に上昇した。 参加者の座ったままの行動としては、テレビなどを見ているスクリーンタイム、読書、編み物、ボードゲームなどがあり、そうした活動のエネルギー消費量は1.5メッツ(METs)以下と判定された。 子宮筋腫のリスクを高める因子は、座位時間が長かったり、運動不足であることの他には、「体重(BMI)が高い」「出生数が多い(2人以上)」「月経困難」「最後の出生からの時間が経っている(13~17年以上)」ことなどが挙げられている。 6+ hours/day of sedentary leisure time linked to doubling in fibroids risk: Risk seems to be linear in women who've not yet gone through the menopause (BMJ 2023年11月28日)Association between leisure sedentary behaviour and uterine fibroids in non-menopausal women: a population-based study (BMJ Open 2023年11月28日)
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