働き盛りの「AYA世代」のがん、女性が7割超
―院内がん登録における小児・AYA集計報告公表
AYA世代には就労支援など多方面からのサポートが必要
AYA世代ががんに罹患すると、学業や就労、育児、家事、介護、恋人・友人などの人間関係などライフステージに与える影響は、非常に大きい。
国立がん研究センターが2018年(平成30年)に実施した患者体験調査では、がん診断時に収入のある仕事に就いていた患者は全体で5割弱、AYA世代に限定すると8割にも上っていた。
がんと診断された後も、働き続けたいと考える人は多い。経済的な理由ばかりでなく、仕事をすることで、社会とのつながりが感じられたり、生きがいを得られたりするからだろう。今回の調査結果ではAYA世代に多いがんの種類は、年代によって違いがあることが大きな特徴と指摘している。
AYA世代は、ちょうど「働き盛り世代」である。子育てや就労、妊孕性の問題など、多方面からのサポートが必要だ。昨年7月に調査が実施された「がん対策に関する世論調査」によると、AYA世代に該当する年代(18歳から39歳)で「がんの治療や検査のために2週間に一度程度病院に通う必要がある場合、働き続けられる環境だと思うか」の問いに、6割以上が「そう思わない」と回答していた。世論調査では全体の53.5%が「そう思わない」と回答しており、AYA世代は治療と仕事を両立できる環境が整っていないと思いやすい傾向にあることがうかがえる。
治療技術の向上により生存率も高まっており、働きながら治療を続けることが可能なケースも多い。医療の専門家である産業保健スタッフは、AYA世代のがんの特徴を十分に理解し、事業主や周囲のスタッフも巻き込んでいけるような「仕事と治療の両立支援」の環境整備に努めたい。
本稿での「がん」「癌」の使い分けは、下記の本報告書に拠っている。
出典:2018-2019年 院内がん登録小児AYA集計 報告 P.15(2023.11)より
参考資料
院内がん登録2018-2019年 小児AYA集計報告書公表-小児がん中央機関による2回目の報告-(国立成育医療研究センター)
院内がん登録2018-2019年 小児AYA集計報告書公表-小児がん中央機関による2回目の報告-(国立がん研究センター)
AYA世代のがんについて~15歳から30歳代でがんと診断された人へ~(国立がん研究センター)
がん対策に関する世論調査(令和5年7月調査)概略版(内閣府)
平成30年度患者体験調査(国立がん研究センター)
がん対策情報:仕事と治療の両立支援(厚生労働省)


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