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仕事や職場に関連するストレスが欠勤の原因に【ストレスを効果的に減らす2つの方法】

 仕事に関連するストレスは、欠勤の原因になることが、新しい研究で分かった。

 職場でのストレスが、糖尿病や心臓病のリスクを高めることも明らかになっている。

 「マインドフルネス」を行うことが、健康を促進し、メンタルヘルス不調を予防するのに役立つ。

 自然にふれる時間をつくることが、ストレスの解消とメンタルヘルスの改善に役立つことも分かった。

 1日にわずか10分でも、自分をみつめなおす時間をつくることが大切だ。

仕事関連のストレスが欠勤の原因に

 仕事に関連するストレスは、欠勤の原因になるという研究を、スウェーデンのヨーテボリ大学が発表した。

 「人間関係などの対立の多い職場や、女性が仕事の決定に参加できていない職場では、健康を害しやすい可能性があります」と、同大学で健康科学統計学を研究しているキルステン メーリグ氏は言う。

 研究グループは、スウェーデンで実施されている大規模調査である「ヨーテボリ女性ポピュレーション調査」(PSWG)に参加した、38歳と50歳の2つの異なる年齢の女性573人を対象に調査した。

 その結果、仕事に関連するストレスを経験している中年女性は、将来的に病欠するリスクが大きく上昇することが示された。

 4人に3人が、仕事などに関連する精神的ストレスを経験しており、病欠のリスクともっとも関連していたのは、仕事上の対立(1.98倍)と、仕事の決定に対する影響力の欠如(1.71倍)だった。

 「女性の社会参加を促進するうえで、女性に特有の脆弱性についても配慮した職場の環境整備が必要です」と、メーリグ氏は指摘している。

関連情報

職場でのストレスは糖尿病や心臓病のリスクも高める

 職場でのストレスが、糖尿病や心臓病のリスクを高めることが、ドイツの研究でも明らかになっている。

 職場で強いプレッシャーにさらされ、ストレスが多く、自分でコントロールできないと感じている人は、2型糖尿病の発症リスクが45%高いことが示された。

 研究グループは、ドイツで実施されているMONICA/KORAコホート研究に参加した29~66歳の就労者5,300人以上を対象に、13年間追跡して調査した。

 「働いている人のおよそ5人に1人が、職場で多くのストレスに悩まされています。ストレスを効果的に減らす方法が求められています」と、ヘルムホルツ センター ミュンヘン疫学研究所のコルネリア フート氏は言う。

ストレスを軽減する効果的な方法1
「マインドフルネス」でメンタルヘルス不調を予防

 それでは、働く人のストレスを軽減するために、効果的な方法はないだろうか?

 短時間でも、「マインドフルネス」を毎日行うことが、健康を促進し、不安症やうつ病などのメンタルヘルス不調を予防するのに役立つという研究を、英国のバース大学が発表した。

 マインドフルネスを日本語に訳すと、「気付くこと」「意識すること」という意味。

 ストレス緩和やリラックスに役立つウォーキング、ヨガやストレッチ、瞑想などを実践することが、メンタルヘルスの改善に役立つという研究は多く発表されている。

 たとえば、1日のなかで10分間、自分に注意を向けるための時間を確保し、深く呼吸をしながら集中力を高めることなどが、マインドフルネスの実践になる。

 研究グループは、91ヵ国の1,247人の成人を対象に、30日間のマインドフルネス教室に参加する人(マインドフルネス群)と、参加しない人(対照群)に分けて比較した。

 その結果、マインドフルネス群は対照群に比べて、▼うつ病のリスクが19.2%減少し、▼不安症のリスクが12.6%減少し、▼幸福度が6.9%改善し、▼健康に気を配る行動が6.5%増加した。

 「マインドフルネスのプラス効果は、30日後もほぼ維持されました。実践した人からは、気づき、自制心、忍耐力、喜び、感謝の気持ちなどが高まったという声も聞かせました」と、同大学で心理学を研究しているマーシャ レムスカー氏は言う。

 「マインドフルネスは、短時間でも毎日実践するだけでメリットがあり、メンタルヘルスを高めるためのシンプルで強力なツールとなりえることが示されました」としている。

ストレスを軽減する効果的な方法2
自然にふれる時間がメンタルヘルスの改善に役立つ

 ストレスを軽減できる、もうひとつの効果的な方法がある。

 1日にわずか10分でも、自然にふれる時間をつくることが、ストレスの解消とメンタルヘルスの改善に役立つという研究を、米国のユタ大学が発表した。

 多くの研究で、自然の豊かな環境で過ごすことで、ストレスが軽減され、思考力が向上し、気分が向上することが確かめられている。

 「自然が人間の健康に重要な役割を果たすことは明らかですが、保健指導や医療を提供している専門職の人は、そのことを忘れがちです」と、同大学社会福祉学部のジョアンナ ベットマン教授は言う。

 「都会にいる人も、1日10分くらいであれば自然のなかで過ごすのは可能です。それは費用や時間がかからず、取り組みやすいことです」としている。

 研究グループは、基準を満たした1万4,168件の研究から45件を選び、自然とメンタルヘルスの関連について調べた。対象となったのは、精神疾患と診断された1,492人の成人だった。

 都市公園で1日に10分過ごした例や、1週間や1ヵ月に数回という短い期間に自然にふれる機会が設けられた例や、自然が豊かな環境で何日も過ごした例などさまざまだったが、いずれも自然にふれる経験はメンタルヘルスに肯定的な結果をもたらすことが示された。

 「研究を行ったユタ州は、素晴らしい自然資源に囲まれています。自然とのふれあいをメンタルヘルスの改善に役立てる試みが、今後さらに活発になることを望んでいます。都市などの人工環境に緑地を整備することも重要です」と、ベットマン教授は指摘している。

Work-related stress a clear risk factor for sick leave (ヨーテボリ大学 2024年8月15日)
Exploring the impact of mental and work-related stress on sick leave among middle-aged women: observations from the population study of women in Gothenburg, Sweden (Scandinavian Journal of Primary Health Care 2024年8月7日)
Work-related stress a risk factor for type 2 diabetes (ヘルムホルツ センター ミュンヘン疫学研究所 2014年8月8日)
Job Strain as a Risk Factor for the Onset of Type 2 Diabetes Mellitus: Findings From the MONICA/KORA Augsburg Cohort Study (Psychosomatic Medicine 2014年9月)
Just 10 minutes of mindfulness daily boosts wellbeing and fights depression (バース大学 2024年8月23日)
Mindfulness improves psychological health and supports health behaviour cognitions: Evidence from a pragmatic RCT of a digital mindfulness-based intervention ( British Journal of Health Psychology 2024年8月21日)
Your therapist wants you to go outside (ユタ大学 2024年7月18日)
Nature Exposure, Even as Little as 10 Minutes, is Likely to Yield Short-Term Benefits for Adults with Mental Illness: A Meta Analysis (Ecopsychology 2024年7月8日)
[Terahata]
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