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中年期に内臓脂肪が多いと20年後に認知症リスクが上昇【野菜を食べている人は認知症リスクが低い】
2024年12月16日

40~50代の中年期に内臓脂肪が多くたまっていた人は、20年後にアルツハイマー病を発症するリスクが高いことが明らかになった。
内臓脂肪のレベルが高いことは、アルツハイマー病の発症の原因になる重要な分子であるアミロイドの増加と関連していることが分かった。
野菜をよく食べていて、野菜に含まれる色素成分であるカロテノイドなどのレベルが高い人は、アルツハイマー病などのリスクが低く、認知機能も高く維持できることも明らかになっている。
「40~50代という中年期から、適切な体重管理や内臓脂肪の減少などに取り組めば、アルツハイマー病の発症を予防したり遅らせられる可能性があります」と、研究者は指摘している。
内臓脂肪がたまっていると20年後にアルツハイマー病リスクが上昇
40~50代の中年期に内臓脂肪が多くたまっていた人は、20年後にアルツハイマー病を発症するリスクが高いことが、米ワシントン大学などの研究で明らかになった。研究は、北米放射線学会(RSNA)の年次学術集会で発表したもの。 アルツハイマー病は、認知症でもっとも多い疾患で、日本でも有病者が2040年には600万人近くまで増えると予測されている。 「内臓肥満が脳にも悪影響を及ぼすメカニズムを解明すれば、中年期から食事や運動などのライフスタイルの改善に取り組み、必要に応じて薬物療法を適切に行うことで、脳の血流を改善し、アルツハイマー病のリスクを軽減できるようになる可能性があります」と、同大学放射線研究所(MIR)のサイラス ラジ氏は言う。健康的なライフスタイルがアルツハイマー病リスクを減らす
「65歳以上の米国人のうち、アルツハイマー病のある人は690万人と推定されており、その数は2050年までに1,300万人に増えるだろうと予測されています。米国人の4人に3人が過体重か肥満であり、この研究は公衆衛生に大きな影響を与えると考えられます」と、ラジ氏は言う。 研究グループは今回、中年期の肥満や体脂肪の分布、代謝などとアルツハイマー病の病理の関連について調べた。これらはすべて、健康的なライフスタイルにより改善が可能なものだ。 認知機能が正常な平均年齢が49.4歳の中年期の成人80人を対象に、腹部のMRI検査を実施し、皮下脂肪や内臓脂肪、大腿脂肪、筋肉などの量を計測し、代謝(グルコースやインスリンなど)、脂質(コレステロールなど)について調べ、脳のPET検査も行った。 その結果、内臓脂肪のレベルが高いことは、アルツハイマー病の発症の原因になる重要な分子であるアミロイドの増加と関連していることが分かった。 中年期に内臓脂肪の蓄積や肥満があり、血糖を下げるインスリンが働きにくくなるインスリン抵抗性があったり、HDLコレステロールが低値であることなどは、脳内のアミロイドの増加に与える影響の77%を占めることが明らかになった。内臓脂肪の減少に取り組めばアルツハイマー病リスクは減少
「多くの人は40~50代という中年期にすでに、アルツハイマー病のもっとも初期段階の病理があらわれます。その頃から、適切な体重管理や内臓脂肪の減少などに取り組めば、アルツハイマー病の発症を予防したり遅らせることができる可能性があります」と、ラジ氏は指摘している。 「とくに内臓脂肪型の肥満が原因になるアルツハイマー病のリスクを減らすために、体脂肪の増加にともない生じる代謝や脂質の異常をターゲットにする必要もあります」としている。野菜を食べている人はアルツハイマー病リスクが低い
緑黄色野菜のカロテノイドの多い人の脳は健康
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