男性の「健康寿命」低下 新型コロナ感染症拡大が影響か
2022年の「健康寿命」公表
平均寿命と健康寿命の差は、縮小傾向に
高齢化が急速に進むなか、生活の質を維持しながら、社会保障制度を持続可能なものとするためには、平均寿命の伸びを上回る健康寿命の延伸、つまり健康寿命と平均寿命との差を縮小することが重要だ。
ややもすると「健康寿命の延伸」だけが強調されがちだが、その本質的な目標は、平均寿命と健康寿命との差を短くしていくことである。
2022年の平均寿命から健康寿命を引いた「日常生活に制限がある期間」をみてみると、男性が8.49年、女性が11.63年で、調査を開始して以降、最も短くなっていた。
また、今回は都道府県別の健康寿命についても公表されている。健康寿命が最も長かったのは、男女ともに静岡県で、男性が73.75歳、女性が76.68歳だった。最も短かったのは、男女ともに岩手県で、男性が70.93歳、女性が74.28歳。
重要とされる「日常生活に制限がある期間」を都道府県別でみると、最も短かったのは、男性が青森県で7.14年、女性が静岡県で10.31年。最も長かったのは、男性が兵庫県で9.48年、女性が神奈川県で12.99年だった。
厚労省は、2019年に策定された『健康寿命延伸プラン』に基づいて、2040年までに健康寿命を男性で75.14歳以上、女性で77.79歳以上に延伸することを目標としており、介護が必要になる前段階の「フレイル」や認知症の予防対策を進めている。
* * *
今年は、団塊世代(1947~1949年生まれ)が75歳以上の後期高齢者となり、国民の約5人に1人が後期高齢者となる、いわゆる医療・介護の「2025年問題」の年を迎えている。
私たちができることは、『健康日本21(第三次)』の目標にあるように、健康寿命を平均寿命の増加分以上に延伸すること、そして地域ごとの健康格差を小さくしていくことだ。
その課題解決に向けて、予防医療の一次予防 ・二次予防に大きく関わる保健活動は、重要な役割を担っているといえるだろう。
参考資料
健康日本21(第三次)(厚生労働省)
第4回 健康日本21(第三次)推進専門委員会 資料(厚生労働省)
第1回 健康日本21(第三次)推進専門委員会 資料2「健康日本21(第三次)の概要」(厚生労働省)
e-ヘルスネット「健康寿命延伸プラン」(厚生労働省)
「調査・統計」に関するニュース
- 2025年02月03日
- 良い睡眠は肥満や高血圧のリスクを減らす 日本人の睡眠は足りていない 3つの方法で改善
- 2025年02月03日
- タバコを吸う人は認知症リスクが上昇 喫煙は歯を失う原因に 全身疾患のリスクが上昇
- 2025年02月03日
-
男性の「健康寿命」低下 新型コロナ感染症拡大が影響か
2022年の「健康寿命」公表 - 2025年01月27日
- 座位時間の長い労働者は睡眠の問題を抱えやすい 立ち上がって体を動かし対策 運動で血流を改善
- 2025年01月27日
- 働く人のストレスに効果的に対策 わずか10分間の「マインドフルネス」でメンタルヘルス改善 スマホアプリの効果を検証
- 2025年01月27日
- コロナ禍のウェルビーイング格差は所得格差に連動 コロナ禍に孤独を感じている人が増加 健康的な高齢化に関する調査
- 2025年01月27日
- 「孤独」と「社会的孤立」は心臓病・脳卒中・感染症などのリスクを高める 人との交流は健康を維持するために必要
- 2025年01月23日
- 大腸がんが50歳未満の若い人でも増加 肥満のある人は大腸がんリスクが高い 予防に役立つ3つの食品とは?
- 2025年01月23日
- 高齢者の要介護化リスクを簡単な3つの体力テストで予測 体力を維持・向上するための保健指導や支援で活用
- 2025年01月23日
- 楽しい食事は骨粗鬆症の予防・改善に効果的 食事の「楽しみ」や「充足感」は大切 タンパク質をとることも