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【女性にも運動が必要】健康的な食事と運動を組み合わせて効果を最大に 運動に取り組むと転倒リスクも減少

 食事スタイルが不健康で、運動不足の女性は、体脂肪が多く、代謝性の炎症のリスクが高いことが、閉経を迎えた女性を対象とした調査で明らかになった。

 一方で、食事が健康的で、運動を習慣として行っている女性は、内臓脂肪の蓄積が少なく、炎症も抑えられていた。

 別の研究では、高齢の女性が運動に取り組むと、転倒のリスクを減らせることも示された。運動を習慣として行うと、寿命を延ばす効果を得られることも示された。

 「健康的な食事と運動の組み合わせは、もっとも効果的な予防効果をもたらすことが示されました。とくに余暇時間に運動や身体活動に取り組むことや、健康的なライフスタイルを維持することは、生物学的老化を遅くし、寿命を延ばすために有用です」と、研究者は述べている。

健康的な食事と運動の組み合わせは予防効果が高い

 食事スタイルが不健康で、運動不足の女性は、体脂肪が多く、代謝性の炎症のリスクが高いことが、閉経を迎えたフィンランドの51~59歳の女性494人を対象とした調査で明らかになった。

 「更年期が進み、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が減ると、体脂肪の分布が変化し、腰や太股に集中していた脂肪が、徐々に内臓脂肪として胴体部に移動します。これにより、低レベルの炎症や心血管疾患が起こりやすくなります」と、ユヴァスキュラ大学スポーツ・健康科学部のハンナマリ ランキラ氏は言う。

 腹部に蓄積された内臓脂肪は、炎症を増やすサイトカインを分泌し、代謝性疾患や心血管疾患のリスクを高めるとしている。

 一方で、食事が健康的で、運動を習慣として行っている女性は、内臓脂肪の蓄積が少なく、炎症も抑えられていた。

 「健康的な食事と運動の組み合わせは、もっとも効果的な予防効果をもたらすことが示されました。多くの女性は、人生の3分の1以上を更年期後に生きるため、更年期を迎えるにあたっての準備は大切です」と、ランキラ氏は指摘する。

運動に取り組むと転倒リスクも減らせる 多剤服用の高齢女性で高い効果

 東フィンランド大学による別の研究では、高齢の女性が運動に取り組むと、転倒のリスクを減らせることが示された。

 とくに、多くの薬を服用している多剤服用の女性で、運動による転倒予防の効果は高かった。

 「運動に取り組み、体の機能低下を防ぐことは、転倒や骨折を予防するためにも重要です」と、同大学筋骨格研究ユニットのアンナ エリカ タミネン氏は言う。

 「高齢者の薬物有害事象は頻繁に観察され、重症例が多いのが特徴です。その多くは、予防が可能と考えられています」としている。

 転倒を予防するために、立つ・座る・歩くといった基本的な身体活動に必要な、下半身や体幹の筋力が重要になる。運動に取り組むことで、歩行、バランス、筋力などの運動機能を高められると考えられている。

 研究グループは、平均年齢が76.5歳の女性914人を対象に、運動教室に参加するグループと参加しないグループに分け、ランダム化比較試験を実施した。

 運動教室では、最初の6ヵ月は週2回のガイド付きの太極拳などの運動セッションに参加してもらい、その後の6ヵ月はレクリエーションスポーツ施設を自由に利用してもらった。

 その結果、運動に取り組んだグループは、転倒のリスクが減少した。とくに多剤服用の女性では、運動に取り組むことで、転倒のリスクは29%減少した。

運動を習慣にすると寿命を延ばせる
 フィンランドのユヴァスキュラ大学による別の研究では、運動を習慣として行うと、寿命を延ばす効果を得られることが示された。

 研究グループは、1958年以前に生まれたフィンランドの双子2万2,750人を30年間追跡して調査した。

 その結果、身体活動レベルが高い人ほど、死亡リスクは低いことが示された。とくに、座ったまま過ごす時間の長い人や、ウォーキングなどの中強度の運動を行っている人で運動の効果は高く、死亡リスクが7%低下することが示された。

 「運動量が少ない人では、生物学的老化が加速しやすいことも分かりました。とくに余暇時間に運動や身体活動に取り組むことや、健康的なライフスタイルを維持することは、生物学的老化を遅くし、寿命を延ばすために有用です」と、同大学スポーツ・健康科学部のローラ ヨエンスー氏は述べている。

Exercise and healthy eating behaviour together provide the best protection against cardiovascular diseases (ユヴァスキュラ大学 2025年3月5日)
A mediating role of visceral adipose tissue on the association of health behaviours and metabolic inflammation in menopause: a population-based cross-sectional study (Scientific Reports 2025年1月15日)
Exercise reduced falls in elderly women with polypharmacy (東フィンランド大学 2025年3月10日)
Exercise reduces the risk of falls in women with polypharmacy: secondary analysis of a randomized controlled trial (Scientific Reports 2025年2月19日)
Does exercise really extend life? Finnish twin study offers new insights (ユヴァスキュラ大学 2025年3月12日)
The associations of long-term physical activity in adulthood with later biological ageing and all-cause mortality - a prospective twin study (European Journal of Epidemiology 2025年1月17日)
Genetic Liability to Cardiovascular Disease, Physical Activity, and Mortality: Findings from the Finnish Twin Cohort (Medicine & Science in Sports & Exercise 2024年10月)

[Terahata]
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