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HPVワクチン接種者が増加-「令和5年度地域保健・健康増進事業の報告」

 厚生労働省はこのほど、「令和5年度地域保健・健康増進事業の報告」を公表した。

 保健所や市区町村が行う保健施策についてまとめたもので、ワクチンの接種状況ではHPVワクチン接種者が増えていることなどがわかった。

 報告書では、地域住民の健康の保持と増進を図るため、地域の特性に応じた保健施策を保健所や市区町村がどのように実施しているかを把握するためにまとめられており、地域保健編と健康増進編がある。本記事では「地域保健編」から一部をピックアップしていく。

「健康増進編」はこちら▶

妊産婦や乳幼児の健診受信率、更なる向上を

 母子保健分野では、妊産婦の健康診査実施状況などを報告。令和5年度に市区町村が実施した妊産婦の一般健康診査の受診実人員は、「妊婦」が95万6635人、「産婦」が54万2095人だった。

 年次推移を見ると「産婦」の健康診査受診者数は年々、増加している。これは平成29年度から産後うつの予防などのため、国が産婦健康診査事業を創設し、実施市区町村が増えていることが影響している。

 一方、乳児の健康診査で受診率が最も高いのは「3〜5カ月」で96.1%、前年比同。そのほか「1〜2カ月」が88.6%、「6〜8カ月」が85.4%、「9〜12カ月」が86.2%と9割に迫っており、いずれも前年比で増加していた。

 幼児の健康診査受診率は、法定の健康診査である「1歳6カ月」が96.9%で最も多く、「3歳」も96%と高い。受信率は年々増加しているが、法定の健康診査であるにも関わらず、100%には至っていないことから、未受診になっている幼児の状況把握が急がれる。

HPVワクチンは接種者が増加

 令和5年度に保健所や市区町村が行う保健指導を受けた「妊婦」は81万1574人、「幼児」は74万5020人などだった。同様に、訪問指導を受けたのは「産婦」が64万5198人、「乳児」が51万3876人など。

 また保健所及び市区町村が行う健康増進関係事業で、指導を受けた延人数は523万7873人で前年比約68万人増。このうち最も多いのは「栄養指導」で322万1917人。次いで「運動指導」が112万32人、「禁煙指導」が23万4698人の順に多かった。

保健指導を受けたのは前年比約68万人増

 定期の予防接種の接種者数の年次推移についてもまとめている。

 このうち「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン」は令和4年度から積極的勧奨が再開され、キャッチアップ接種も行われている関係で接種者数が年々、増えている。

 HPVワクチンには、2価ワクチン(サーバリックス®)、4価ワクチン(ガーダシル®)、9価ワクチン(シルガード®9)の3種類がある。このうち9価ワクチンは子宮けいがんの原因の80~90%を防ぐことができるとされ、令和5年4月から公費で受けられるようになった。

 そのような背景から令和5年度の接種者数は「2価・4価」より、「9価」が大幅に増えた。接種者数は「2価・4価」の1回目が3万112人、2回目が7万4005人、3回目が16万9722人に対し、「9価」の1回目が62万9063人、2回目が43万3815人、3回目が26万380人となっている。

常勤保健師の配置状況、少ない都心部

 令和5年度末現在の保健所と市区町村における常勤保健師の配置状況は、人口10万人あたり「全国」では23.2人。

 都道府県別で最も多いのは「島根県」の49.8人だった。次いで「高知県」の45.6人、「鳥取県」の41.5人が続く。少ないのは「東京都」の13.4人、「神奈川県」の13.6人、「埼玉県」の16.3人、「大阪府」の16.9人、「愛知県」の17.6人などで、人口の多い都心部では手薄になっているのがわかる。

「令和5年度地域保健・健康増進事業報告の概況」(厚生労働省)
[yoshioka]
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