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食育プログラムにガーデニング 子供の食生活が改善

 学校の学習プログラムにガーデニングを取り入れると、子供の食生活が改善することが、オーストラリアの小学校で行われた研究で実証された。

 子供の肥満は米国をはじめ世界的に問題になっている。ファストフードやジャンクフードを多くとる食生活が原因に挙げられることが多い。子供の食事をより健康的に変えていくためにどうすればよいかと、世界中の教育者が頭を悩ましている。

 オーストラリアのメルボルン大学の研究者によると、学校教育にガーデニングを取り入れると、園芸の才能を高めらるだけでなく、子供の食生活が改善し健康的な食品を好むようになるという。

 「小学校の児童が学校でガーデニング・プログラムと料理を学ぶと、食生活が改善し健康的な食品を食べるようになります。子供の食生活にもたらされた変化は短期間で劇的なものでした」と、メルボルン大学の児童健康プログラムの開発を担当しているリサ ギブス氏は話す。

 研究チームは、家庭菜園プログラムとそれに適した校庭をもっている小学校6校と、プログラムを作成していない6校とを比較した。8~12歳の小学校児童764人とその親562人を対象に、2年半の期間にわたりプログラムの影響を評価した。

 プログラムに参加した子供たちは、ガーデニング専門家とともに学校の庭園で週に45分以上を過ごした。栽培したのは、イチゴや桃などの果物、コエンドロやチャイブ、ソラマメ、トウチシャといった野菜やハーブだった。

 子供たちはガーデニングに加え、料理専門家とともに週に90分をキッチンで過ごし、新鮮なハーブや野菜を使った昼食を作る学習にも参加し、調理の準備を行い、自分らの作った料理を同級生といっしょに食べた。

 プログラムで扱われる料理は、パスタやサラダから、カレーや手製のペストリーまで幅広かった。子供たちは食べたことのない新しい食物でも味見をするように勧められたが、プログラムの参加を強制されることはなかった。

 ガーデニングや料理以外の正規の授業でも、理科の授業で植物の識別や成長を記録したり、数学の授業で作物の質量の計測などを行ったほか、国語の宿題として作文を書いた。

 子供とその親の双方にアンケート調査を行った結果、ガーデニング・プログラムに参加した子供たちは、プログラムに参加しなかった子供に比べ、食事に野菜や果物などを積極的に取り入れるようになり、毎日の食卓に上る食品の種類は約2倍になっていた。

 また、家庭でこれまで食べたことのない新しい食品を嫌がらない子供の割合は、研究の開始時には39%だったが、終了時には51%に上昇していた。プログラムに参加しなかった子供では変化はみられなかった。

 プログラムに参加した親にも変化がもたらされ、子供の弁当やおやつや野菜や果物など、健康的な食品を入れる割合が34%上昇していた。

 「学校で行う料理とガーデニング・プログラムが子供の食生活を改善することを示した研究です。子供がガーデニングと料理の生活指導を受けることで、親にとっても食生活を改善する良い機会になるのではないかと期待しています。成人してからの生活習慣にも影響する可能性もあり、今後の研究課題となっています」とギブス氏は述べている。

 一方、ガーデニングを安全に行える教育設備とキッチンを備えた学校は限られており、整備のための財源を確保しなければならないという課題があるいう。また、指導者の確保したり、学習プログラムの成果を定量化する方法も定まっていない。

 「ガーデニングが、テストで高得点をとるなどの学校の正規の学習プログラムを運営する上で、障害になる可能性があるとの指摘もありましたが、実際に行ってみるとそうした影響はみられませんでした」とギブス氏は強調している。

Expanding Children's Food Experiences: The Impact of a School-Based Kitchen Garden Program(Journal of Nutrition Education and Behavior 2013年3月号)

[Terahata]
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