ニュース
アルコールを飲みすぎてない? 知っておきたい「飲酒ルール」
2014年05月15日

世界保健機関(WHO)はアルコール性疾患に関するレポート「アルコールと健康 2014」を5月12日に発表した。世界のアルコールが原因の死亡者の数は年間330万人に上るという。
年間330万人がアルコールが原因で死亡
世界保健機関(WHO)が発表したレポート「アルコールと健康 2014」によると、アルコールの消費量は世界的に増加傾向にある。
調査は、WHOに加盟する194ヵ国を対象に行われた。それによると、アルコールが原因で死亡する人の数は世界中で年間330万人に上る。
亡くなった人の20人に1人がアルコールが原因だったと推定されている。その数は、結核やエイズ(後天性免疫不全症候群)などを上回る。
また、アルコールが原因の死亡の死因でもっとも多かったのは心臓病と糖尿病で、33.4%を占めた。過度の飲酒は、がんの発症リスクも高める。がんは死因の12.5%を占めていた。
日本人男性の3人に1人以上はアルコールを飲み過ぎている
世界の15歳以上の人の平均アルコール摂取量は年間6.2リットルに上る。1日に缶ビールを1本ずつ飲んでいる計算になる。
しかし、深刻なのは深酒する人が増えていることだ。38.3%は年間に17リットル(1日に缶ビール2.6本)のアルコールを飲んでいるという。
日本では、アルコール摂取量の平均は年間人口当たり7.2リットルに上り、飲酒習慣のある人に限ると、男性は平均13.7リットル(1日に缶ビール2.1本)、女性は平均6.7リットル(同1本)のアルコールを消費している。
飲酒習慣のある日本人のうち、男性の36.9%と女性の12.0%は、アルコールを飲み過ぎている。
「アルコールが健康に障害をもたらすことを、もっと多くの人に認知してもらう必要があります。実際には、多くの国で効果的な対策がとられていません」と、WHOの非感染性疾患分野の責任者であるオレグ チェストノフ氏は言う。
アルコールの関税を上げる、飲酒可能年齢を引き上げる、市場に出るアルコール類の量を制限するなどの対策を行っているのは、全体の3分の1の66ヵ国だった。
これだけは知っておきたい「健康を守るための飲酒ルール」

一般的に1~2ドリンクのお酒を限度にすると、飲み過ぎを防げる。これはアルコール量にすると約20~40g、缶入りビール(350mL)だと1~2.3本に相当する。このくらいの量であれば、ほどよくお酒を楽しめるというわけだ。 ・ 定期的に肝臓の検査を受ける
アルコールは主に肝臓で代謝されるので、飲みすぎにより肝臓病が起こりやすくなる。はじめは脂肪肝で、飲み続けているとアルコール性肝炎に進展することもある。定期的に肝機能検査を受けて、飲み過ぎていないかチェックしよう。 ・ ビールを飲むと顔が赤くなる人は要注意
ビールコップ1杯程度で顔面紅潮が起こる人は、フラッシング反応が起こる体質の人だ。アルコールからできたアセトアルデヒドの分解が遅いため、こうした反応が起こる。この体質の人は、食道や咽頭のがんなどのリスクが高いことが分かっている。 ・ 女性・高齢者はお酒を少なめに
中年男性に比べて、女性や高齢者は飲酒量を控えた方が良い。女性の飲酒には「血中アルコール濃度が高くなりやすい」、「乳がんや胎児性アルコール症など女性特有の疾患リスクが高まる」「早期に肝硬変などになりやすい」などのリスクが伴う。缶入りビール1本以下を目安すると良い。 ・ お酒の飲み過ぎは認知症の原因にも
大量飲酒は脳萎縮につながる。大量の飲酒は認知症の危険性を高めることが、いくつかの研究で確かめられている。ただし、適度な飲酒であれば、認知症の予防になる可能性もある。「お酒に飲まれない」ようにして、ほどほどのところで切り上げるのが効果的だ。 ・ 食事と一緒にゆっくりと
空腹時に一気に飲んだりすると、アルコールの血中濃度が急速に上がり、悪酔いしたり場合によっては急性アルコール中毒を引き起こす。体を守るためにも濃い酒は薄めて飲むようにしよう。 ・ アルコールは睡眠の質を悪くする 寝酒を控えよう
アルコールは少量なら気持ちをリラックスさせたり、眠くなる効果があるが、大量に飲むと、睡眠を浅くする。飲むと寝つきは良くなるが、夜中に目覚めてその後なかなか眠れないという現象が起こる。健康な深い睡眠を得るためには、アルコールの力を借りない方が良い。 ・ 薬の治療中は飲酒をなるべく控える
アルコールは薬の効果を強めたり弱めたりする。また睡眠薬などといっしょに飲むと、互いの作用を高める場合がある。薬はお酒で飲まないようにしたい。 ・ 妊娠・授乳中はノーアルコール
妊娠中の女性が飲酒をすると、胎児性アルコール症候群(胎児に発育遅滞や器官形成不全などが起こる疾患)や発育障害を引き起こす。妊娠中あるいは妊娠しようとしている女性はアルコールを断つことが必要。 WHO calls on governments to do more to prevent alcohol-related deaths and diseases(世界保健機関 2014年5月12日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2022 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「アルコール」に関するニュース
- 2021年12月21日
- 肥満や糖尿病の人ではFGF21の抗肥満作用が低下 朝食抜き・毎日飲酒・喫煙といった生活スタイルが影響
- 2021年12月08日
- 「今求められる女性の健康サポート」へるすあっぷ21 12月号
- 2021年11月22日
- 心臓病と脳卒中のリスクを減らす10の食事スタイル 食事はバランスが大切 食品の健康度にも新しい指標が
- 2021年11月22日
- 【新型コロナ】コロナ禍で孤食が増加 孤独はさまざまな健康リスクをもたらす 高齢女性でとくに深刻
- 2021年11月16日
- 認知症を予防できている人は何を食べている? 魚・キノコ・大豆・コーヒーなどの日本食が腸内環境を良好に
- 2021年11月09日
- 【世界糖尿病デー】東京都「今日から始めよう!糖尿病予防」キャンペーン 都民の4人に1人は糖尿病かその予備群
- 2021年11月08日
- 肥満のある人・肥満のない人の両方に保健指導が必要 日本人4.7万人の特定健診データを解析
- 2021年11月05日
- 【新型コロナ】ワクチン接種後6ヵ月後に抗体価は90%減少 中和抗体価も80%減少 細胞性免疫は維持されている
- 2021年11月05日
- 「脳・心臓疾患の労災認定基準改正 働き方改革の一層の推進へ」へるすあっぷ21 11月号
- 2021年10月26日
- 【新型コロナ】良い睡眠は免疫システムを高めるために必要 睡眠を改善するための5つの方法
最新ニュース
- 2022年08月16日
- 食事指導を個別化し肥満やメタボを改善 1人ひとりの好みやスタイルに合わせた食事プログラム
- 2022年08月16日
- 中年女性の肥満を予防・改善するための新しいガイドライン 保健指導は女性にも必要 早期の介入が効果的
- 2022年08月16日
- 【新型コロナ】「子供のメンタルヘルス」を改善 大人のワクチン接種や社会経済的な環境が影響
- 2022年08月16日
- 【新型コロナ】家庭内暴力など家族の問題が増加 児童虐待の不安はどういう人に起こりやすい?
- 2022年08月16日
- 【新型コロナ】感染後3ヵ月で糖尿病と心血管疾患のリスクが上昇 生活スタイル改善のアドバイスが必要
~保健指導・健康事業用 教材~
-
アイテム数は3,000以上! 保健指導マーケットは、健診・保健指導に役立つ教材・備品などを取り揃えたオンラインストアです。 保健指導マーケットへ